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ITALY NEWS
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2011/7/31 


zoom-up


新著『「バチカンの聖と俗」 - 日本大使の一四〇〇日』 
発行に寄せて


上野景文


2010年秋まで4年間に渡り日本国駐バチカン大使として活躍され、その間、5回にわたってJIBO当欄に連載「バチカンに考える」を執筆して下さった上野景文氏から、新著発行のおたよりが届きましたのでご紹介させていただきます。   

JIBO編集部 大島悦子

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この7月14日に、かまくら春秋社から上梓した「バチカンの聖と俗」(日本大使の一四〇〇日)は、昨年秋迄の4年にわたる駐バチカン大使の時代の体験を綴ったものです。特に2008〜2010年には、JIBOのSPECIAL REPORTS 欄に 「ZOOM UP: バチカンに考える」シリーズを連載しましたが、新著はそれらを柱にしていますので、一部なりともお読みになられた方もおられるかと思います。

全体として、「文明論としてバチカンを論じること」を主眼としており、バチカンで「発見」した様々な特質に触れました。

たとえば、
●「俗」にも根を張っていることが、 バチカンに「懐の深さ」を与えている。換言すれば、「聖」だけで成り立っていたとすれば、カトリックは他の諸宗派と何ら変わらないものになるだろう。

●キリスト教から見て本来異質と思われるものすら次々と「呑み込んで」来たことで、バチカン・カトリックは世界中に根を張ることになった。

●イデオロギーの純粋性を求めないという点で、バチカン・カトリックは、日本の「お仲間」と言える。

●一五〇〇年、一〇〇〇年の昔のことを、今日か昨日のことのように見做し、「過去にこだわる」バチカンの姿勢は、数十年前のことすら「古い」の一語で「切り棄てて」しまう今日の日本人に、反省材料を提示してくれている。

●西欧北部で進行中の「キリスト教離れ」は、時として、「神なき新たな信仰」を生んでいる。伝統的生命・家族倫理に挑戦する新思潮・新信仰は、伝統を守らんとするバチカンを困惑させており、両者の「対決」は、「ミニ文明摩擦」の様相を呈している。

●社会経済問題に絶えずコメントするバチカンの姿勢は、社会経済問題にかかわろうとしない(ように見える)日本の宗教者の姿勢と好対照をなす。
等々です。

以上の諸点をご参照の上、ご関心ありという場合には、(イタリア・欧州在留者でもアマゾン、楽天等を通じて簡単にご入手頂けますので)是非ともお読み下さい。<

  上野景文
杏林大学客員教授




◆執筆者プロフィール
新著紹介
  2011年7月14日発売                            
上野景文著 『バチカンの聖と俗』 -日本大使の一四〇〇日  
    かまくら春秋社  1,575 円(税込)

懐深い巨人・バチカンの真実の姿とは!?
世界一小さな独立国家バチカンの特異な「歴史」と「今」、
そして「未来」を熱く語る!!

「聖」「俗」併せ飲むバチカンの聖と俗
宗教機関であると同時に独立国であり、卓越した外交プレーヤーでもある。そんなバチカンの本質に、前バチカン大使が鋭く切り込んだ1冊!
3つのステップでバチカンの“ ミステリアス” で“ 複雑” な全貌が明らかに!

内容構成

ステップ1(第T部) 「バチカン・カトリック教会」について、その「容姿・風貌・特質」の観察。
ステップ2(第U部) バチカンから欧州・世界を眺めると、どのような景色が見えるか。
ステップ3(第V部) それらの観察が日本、そして日本人に投げかける意味を考察。

◆執筆者プロフィール
上野景文(うえの・かげふみ)

1948 年東京生まれ。1970 年東京大学教養学部を卒業後、外務省入省。1973 年英ケンブリッジ大学経済学部卒業、のちに修士課程修了。国際交流基金総務部長、スペイン公使、メルボルン総領事、駐グアテマラ大使、国際研修協力機構(JITCO)常務理事を経て、2006 年10 月より2010 年9 月まで、駐バチカン大使、2011 年4 月より杏林大学外国語学部客員教授。著書に『現代日本文明論 神を呑み込んだカミガミの物語』(第三企画)ほか。論文、エッセイ多数。

 

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