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ITALY NEWS
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2010/7/31 


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イタリア<食>イベント・見本市事情
第1回 全国各地で開催される特産品振興の多彩な催し


文/写真 山本薫

1.収穫を祝う祭りSAGRA (サグラ)

イタリアといえば、地方色豊かな郷土料理の数々。その土地と密着した食材から美味しい郷土料理が生まれる。イタリアでは季節によってSAGRA(サグラ)と言われる収穫を祝うお祭りが各地で開かれる。旬の食材全てが当てはまるといってもいいかもしれない。
ポルチーニ茸、ズッキーニ、かぼちゃ、アスパラガス、レモン、さくらんぼ、ブドウ、栗、ヘーゼルナッツ、さらに地元産のチーズ、ヨーグルト、ソーセージ、ワイン、オリーブオイルなど数えだしたらきりがなく、常にどこかで何かのサグラが行われていると言ってもおかしくない。
ブドウの粒で装飾された山車のパレード
2.特産品をテーマにした祭り・イベント

サグラが地元の祭りであるのに対し、さらに希少価値が高く規模が大きくなった祭りやイベントとして、その地方だけにしかない特産品をテーマにしたものが多くある。
例えば、エミリア・ロマーニャ州パルマの生ハム、フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州サンダニエーレの生ハム、サルデーニャ島のマグロ、シチリア島トラパニ近郊のマグロ、カンパーニア州のモッツァレッラ、ピエモンテ州アルバの白トリュフなど。
これらの多くはイベント開催中に試食だけでなくセミナーなども開かれ、生産者の方から生産工程やシェフから料理方法など、特産品について身近に学ぶことができる貴重なイベントでもある。また各地からシェフが参加し特産品を扱った料理でのコンテストが行われるものもある。地元からだけでなくこれらの祭り・イベント目当ての観光客も多く、地域の活性化にも大きく貢献している。

ワインについて言えば、その土地ならではの気候風土や多様なブドウ品種のおかげでイタリアの20州でバラエティに富み個性的なワインがつくられている。したがって、各地で規模の大きいものから小さいものまでワインに関するイベントが多々開催されている。

白トリュフ祭りはピエモンテ州のアルバで毎年10月から11月の1ヶ月半の期間、週末に開催される。今年は2010年10月9日〜11月14日の週末。普段は値段が高くて気軽にお近づきになれない白トリュフだが、この時ばかりは路上の露店でもお目にかかれる。トリュフの香りが充満している会場内(入場料が必要)では宝石のようにガラスケースに入った白トリュフを手にとらせてもらい香りを楽しむことができる、もちろん購入も可能だ。会場内や町の広場にはポルチーニ、サラミ、パスタ、チーズ、ワインなどのブースや露店がでて、日本の夏祭りで行われるような昔懐かしいゲームも各広場で繰り広げられる。

白トリュフ祭り会場内  白トリュフ

一般の観光客も十分に楽しめる祭りである。と同時に、最終日にはグリンザーネ・カブール城でオークションが行われTV中継なども入り、世界でも注目されているイベントである。

これらのイベントはどれも地域性が濃く、広場や路上に地域の特産品の露店が並び、民族衣装に身をまとった住民による催しなど、楽しい雰囲気を盛り上げている。住民はそこの住民であることに誇りを持ち、地域の特産品と密接に結びついて、胸を張って地元の食文化を紹介している。

今でこそ日本にもピッツァの文化が浸透しているが、イタリアではピッツァ祭りや大会、選手権などが各地で行われている。ピッツァがイタリアでどれだけ市民権を得ているかが窺える。さらにイタリアからだけでなく海外からも毎年多数の参加がある。技術や知識を惜しみなく伝授し正しい文化を広げようという努力が実を結んでいると言えよう。
もちろん日本からも毎年多くのピッツァ職人が参加して素晴らしい成績を収めている。最近では今年5月末にナポリ近郊のノーラで開催されたナポリピッツァ職人世界選手権で名古屋「チェザリ」の牧島昭成氏が見事に優勝したニュースはイタリアのメディアだけでなく、日本でも大きく取り上げられている。これらの話題については次の機会に紹介させていただこうと思う。
ピッツァ職人選手権・牧島昭成さん優勝の瞬間

3.食品見本市・フェスティバル

さて、今まで小規模、中規模の食にまつわるイベントを駆け足で述べてきたが、大規模な見本市や食のフェスティバルについてご紹介しよう。

まず4月にヴェローナのVeronafiere(ヴェローナフィエレ)で開催されるイタリア最大の国際ワイン見本市「VINITALY(ヴィーニタリー)」。最新ヴィンテージや国際的なニーズや傾向を知る重要な見本市で、世界中からバイヤー、ジャーナリスト、レストラン関係者等が訪れる。同時にオイルの見本市「SOL」も開催される。開催期間5日間。2010年度(第44回)の出展メーカーは4200以上、全体で訪問者15万人以上、海外からは112ヶ国から4万7千人であった。9万1千平方メートル(東京ドーム約2倍の広さ)の敷地内に、各州のパビリオンが立ち並び、外観は各々趣向が凝らしてあり個性的である。出展メーカーは各自のブースを持っているところ、他のメーカーと共同しているところ、組合で参加などと様々である。

大手のブースは立地的にも目立つ場所で華々しく、手前に一般客用のカウンターがあり、顧客用の商談用ルームは奥に作ってあるところも多い。入り口が狭くて外から内部が窺えないような一般の者には立ち寄りがたい造りのブースもある。一方、小規模のブースでは手前に小さいカウンター、中にテーブルとイスが置けるだけのスペースのところなど様々である。ブースの大小に関わらず、どのメーカーにとっても国内市場だけでなく、海外進出の大きなチャンスの場である。見本市の期間中には優秀ワインの表彰や、セミナー、講演、試飲会、イベントなどが満載である。
 「ヴィーニタリー」のバビリオン

2年に1度5月にパルマのFIERE di PARMA(フィエレ・ディ・パルマ)で開催される国際食品見本市「CIBUS(チブス)」。イタリアの食品見本市の中で一番規模が大きい。市場のニーズや美食を求めて世界中から食品業界関係者、ジャーナリストが訪れる。2010年度(第15回)は開催期間が1日短縮して4日間。出展メーカーは15ヶ国から2324社、訪問者は6万人、バイヤーは70ヶ国から1000人であった。イタリアのありとあらゆる食品が勢揃いする。

パルミジャーノ・レッジャーノ、モッツァレッラなどの乳製品、生ハム、サラミなどの食肉加工品、パスタ、バルサミコ、オリーブオイル、生鮮食品、保存食品、冷凍食品、水、飲料、コーヒー、スパイス、塩、パン、同時に開催される「Dolce Italia(ドルチェ イタリア)」ではチョコレート、ビスコッティなどの製菓類。パビリオンは、乳製品、食肉加工品、水・飲料、混合、そして製菓類といったカテゴリーで大きくわかれていることからも、充実している食品分野が明らかである。
CIBUSは多数の出展メーカーを始め、最新の情報、ビジネスサポート、イベント等が充実しており、食品ビジネスにおいて非常に重要な役目をしている。
「チブス」の生ハム試食

ミラノのFieramilano(フィエラミラノ)で開催される食品見本市「TUTTOFOOD(トゥットフード)」。2007年から始まったまだ新しい見本市で、先のパルマ国際食品見本市「CIBUS」の裏年にあたる隔年の5月に開催される。期間は4日間。輸入業者、バイヤー、卸業者、レストラン関係、ジャーナリスト、大手のチェーン系スーパーなど業界向けで、乳製品、食肉加工品等、多くの食品メーカーにビジネスの場を提供している。
期間は4日間。輸入業者、バイヤー、卸業者、レストラン関係、ジャーナリスト、大手のチェーン系スーパーなど業界向けで、乳製品、食肉加工品等、多くの食品メーカーにビジネスの場を提供している。第2回目の2009年は出展数1749社で、前年に比べると海外からの出展者は13%増。訪問者は102ヶ国から3万人で35%増であった。2007年は初年度ということで、訪問者も少なめで活気に欠けているがゆったりと商談するには適しているという印象であったが、統計数にもあるように2年目は認知度が上がってきている感があった。ミラノの中心街から地下鉄でアクセスできるという立地も便利である。
「トゥットフード」の会場内

ペルージャで毎年10月に開催される大規模なチョコレートのフェアー「Eurochocolate(ユーロチョコレート」。(今年の開催期間は10月15日〜24日) このイベントはヴェネツィアのカーニバルや、ヴェネツィア映画祭、シエナのパリオに次いでイタリアで4番目に訪問者数が多いそうだ。イタリアの各地から、大手メーカー、手作りの職人などのチョコレートが集結し、チョコレート好きにはたまらないイベントである。試食、購入はもちろん、セミナー、チョコにまつわる催しなどが行われる。週末は歩けないくらいの人出になる。

ご覧の通りの人・人・人!チョコレートの露天が並ぶ

トリノのLingotto Fiere(リンゴット フィエレ)で11月に2年に1度開催される食の祭典「Salone del Gusto(サローネ・デル・グスト)」。2010年の開催は第8回目となる(10月21日〜25日)。主催は地元に密着した高品質の食材を推奨しているスローフード協会。出展は農家や生産者で、小規模の生産者も支援している。チーズ、ハム、パスタ、野菜、穀物、菓子類など。農家、生産者、職人、料理人、美食家、正しい食を求める者などが自由に交流できる場を提供している。沢山のイベントなどを通して教育の場をも目指している。

以上イタリアの食品見本市・イベントについて紹介したが、もちろん全てを挙げることができたわけではない。それにしてもイタリアの食に関する関心の強さとその土地にしかない高品質な特産品への追求には感動さえ受ける。



◆執筆者プロフィール
山本 薫 (Yamamoto Kaoru) 

三重県出身。金城学院大学短期大学部卒。 キリンビール株式会社勤務を経て、2000年からイタリア在住。フィレンツェ、ナポリ、サレルノにて語学留学。シエナ外国人大学主催イタリア語能力検定CILSレベルQuattro(C2)取得。イタリアソムリエ協会ソムリエ資格取得。イタリアの食品・ワイン見本市の企業通訳や食品・ワインの輸出サポート、ピッツァスクール・研修の手配(通訳含)、企業視察・見学、コーディネート等を行う。
HP:イタリア・デグスタツィオーネ http://italiadegustazione.web.fc2.com
BLOG:イタリアを楽しもう! http://infoitalia.exblog.jp

   

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