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ITALY NEWS
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2005/12/20 


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イタリア経済概況(現状と見通し)


東京三菱銀行ミラノ支店

 



1.2005年の景気推移、及び、足許の状況
2005年を概観すると、第1四半期は1ユーロ=1.30ドルから1.36ドルの高値圏で推移し、輸出、設備投資の不振が顕著であった。結果、第1四半期の実質GDP成長率は前期比▲0.5%となり景気が大きく後退。第2四半期はユーロ安を梃子に景気後退を脱した。5月にはユーロ圏の景気減速懸念を受けて、1ユーロ=1.23ドルまで下落し、更に7月初旬には、米欧間金利差拡大等を受け1ユーロ=1.18ドルまで下落。ユーロ安に伴う輸出回復を梃子に前期比0.7%のプラス成長となった。第3四半期の実質GDP成長率は、第2四半期高成長の反動で前期比0.3%へと低下したものの、2四半期連続のプラス成長となった。イタリア経済は、ユーロ安を梃子に景気後退局面を脱し、第2四半期以降、緩やかな回復に向かっていると言える。
直近の第3四半期の内訳をみると、誤差脱漏を含む在庫の縮小が成長率を押し下げたが、個人消費や設備投資は緩やかながら拡大基調を維持し、外需(純輸出)も引き続き成長率の押し上げ要因となった。牽引役の輸出は底堅い伸びを維持し続けており、企業・消費者のマインドも直近11月まで改善を続けている。しかし、鉱工業生産は、夏場に急回復を見せた後、9月、10月と2カ月連続で前月比減少となった。小売売上高も横這い圏にとどまっている。秋口のエネルギー価格高騰が企業の生産活動や個人消費に悪影響を与えたものとみられる。
2005年通期の実質GDP成長率は、第1四半期が足を引っ張り、前年通期実績(1.0%)を大きく下回り、せいぜい0.1%〜0.2%の成長にとどまると予想するものであるが、一方、政府関係筋では相変わらず1%を超える成長予想を掲げているところが多い。ベルルスコーニ首相は、「今のイタリア経済に問題ない」といった発言をするケースが多く、これら強気の予想は首相に迎合したものかと勘ぐってしまう。

【第1図:実質GDP成長率と需要項目別寄与度】



【第2図:為替相場と長期金利の推移】


(個別項目)

-
04/3Q
4Q
05/1Q
2Q
失業率
7.9%
7.9%
7.8%
7.7%

第2四半期の失業率は7.7%へ低下し、1992年以来の低水準となった。雇用者の定義を拡大した新たな雇用統計によると、建設業やサービス業の雇用創出(多くはパートタイムや臨時雇用など)が寄与し、失業率は99年以来緩やかな低下を続けている。

(前年同月比)

-
05/9
10
11
消費者物価(HICP) 2.2%2.6%2.4%
生産者物価3.8%3.9%-
時間あたり賃金3.1%3.0%-

インフレ率は、電力・ガス料金値上げの影響から10月に2.6%へ上昇。11月は、原油高の一服に伴いエネルギー価格や輸送費の伸びが鈍化したため、2.4%へと小幅低下した。

2.2006年見通し
イタリア経済の先行きを概観すると、輸出の回復により景気後退局面を脱したが、今後も割高となった労働コストの調整や財政引締めが必要になるため、他のユーロ諸国と比較した場合、相対的に低めの成長が続くものと見られる。ユーロ圏経済の回復、及び、ユーロ安に助けられ輸出は拡大基調にある。また、内需の緩やかな回復、輸出回復に伴う企業(建設業以外)投資も増加傾向にある。消費者物価は現行の水準を維持するものとみられる。以上より、経済が自立的回復に向かう可能性は以前より高まったと言える。ただし、経済のグローバル化やEU拡大を背景とするエマージング諸国からの競争圧力、財政赤字等の構造的問題がまだ残っており、@原油高の悪影響がラグを伴って顕在化する可能性、A政局混迷(4月に総選挙予定)に伴う経済政策の不透明感、BECBによる性急な利上げ、といった景気抑制につながりかねないリスク要因には留意しておく必要がある。2006年実質GDP成長率は、OECDは1.1%,イタリア中央銀行は1.0%を若干超えると予測している。

東京三菱銀行ミラノ支店
(注)本稿は2005年12月中旬の諸与件を踏まえたものである点をご了承ください。



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