0
ITALY NEWS
0
2002/07/01 

イタリア中小企業訪問日伊ビジネスインタビューBACK NUMBER



zoom-up


イタリアのお役所(税務局、地方公共団体等)のオンラインサービス状況について


八木宏美 (やぎ ひろみ)
トリノ大学契約教授





税金の申告
5月6月は、イタリアでは恒例の税金の申告・支払いシーズンであるが、イタリアは納税関連ではかなりのオンライン化が進んでいて、ほとんどの申告書のダウンロードができるばかりでなく、特殊な税金を除いた一般的な税金(所得税、付加価値税(消費税)、市税である不動産税、事業所得税等)は、全て一括してオンラインで申告できるようになっている。まず、税務局のオンラインページで納税者番号と前年度の申告所得額を入力して税務局のデータとヒットすると、申告アクセスコード番号の最初の4桁の取得ができ、数日後に郵送で下6桁が送られてくる仕組みから始まる。税務局のホームページから申告書入力専用ソフトをダウンロードし、「昨年中に引っ越したか」、「家を購入したか」、「何人就学中の子供がいるか」、「家の修理をしたか」などの質問にYes/No、あるいは用意されている答えの中から選択方式で答えていって、いくつかの金額数字を入力すると、その年の増・減税率、公定地価の修正率、控除分などを自動的に計算してくれて、リラでの入力でも、トータル支払い金額をユーロで出してくれるという、かなり進んだ便利なシステムで、この記入済み申告書を、先に取得しておいた独自のアクセスコード番号を使用してオンラインで送付するシステムである。前年に既にオンライン申告をしている場合には、前年と変わらない基本データなどが既に記入された自分専用の用紙を直接利用でき、いくつかの数字の変更のみで申告できるシステムである。国税、州税、市税など、徴税機関が違う税金間も全て相互相殺ができるので、例えば源泉徴収などで払い戻し分のある場合などは、他の税金に適用でき、全税金の合計差額の一括払いとなる。

支払い方法も、市によって導入時期に差はあるものの、オンラインかまたは電話一本で可能になっていて、郵便局で並ばずにすみ便利である。電話支払いでは、たとえば筆者は2年前からテレビ視聴料や市不動産税の支払いで利用しているが、TAXTEL税務フォンサービスセンターに電話をかけて、納税番号と税金の種類、金額を言うだけで、クレジットカードからの引落としで支払え、数日後に納税領収書が送られてくる。このサービスは、コンピュータやキーボートにアレルギーのある世代、細かい数字の記入などに困難を覚える老眼鏡世代には、書き込み作業が全くなくて利用しやすいが、但しクレジットカードを持っている必要がある。オンライン支払いはクレジットカードではなく、銀行のオンラインシステムが利用されている。

自治体のオンラインサービス状況
イタリアでは、中央省庁や自治体などのオンラインサービスは、北欧や中欧諸国と比べ開始が出遅れたものの、上記のようにいくつかの個別部門では、むしろ質の高い最新サービスを提供している場合もある。現在、極めて質の高いサイトから初歩的なサイトまで千差万別で混沌とした状況を呈しているが、それでも、数年前よりは自治体サイト構造の方向性が整理されてきており、また、単にいろいろな情報を提供するというだけでなく、インタラクティヴの質や、サイト自体の質も、情報の質だけではなく、ユーザーの使いやすさ、目的情報への到達容易度の視点から詳細に分析されるようになっている。分析のための客観的なパラメーターも定着していて、特に自治体サイトの質に関しては、96年度より毎年、内閣閣僚会議、公共サービス局の協力の下に、RUR、CENSIS、FORMEZの三機関が合同調査を行って、詳細な成績表を発表している。 総合評価の下に、情報内容の質評価、サービスの質評価、利用しやすさ評価、インタラクティヴ度評価、地域マーケティング度評価、技術クオリティ評価などの主項目があり、さらにそれぞれの項目が、3ないし4のサブ項目に分けられて、データの収集、分析評価がなされている。 以下は、2001年度末の同調査結果を中心に、イタリアの自治体のオンライン状況の概要である。

まず、イタリアの自治体のオンラインサービスの数量的なデータであるが、2001年11月時点で、全20州中20州、全102県中100県、全106の県庁所在地中(複数都市に県庁機能が分散されている県あり)103都市、県庁所在地以外の人口5000人以上の市(以下、その他の市)全2261市の62.9%がホームページを開設している。

自治体サイトの質の分析評価であるが、
1.情報更新度:調査時から遡って1ヶ月以内に内容の更新が行われているサイト、州:95%、県:81.4%、県庁所在地82.1%、その他の市28.1%。
2.アドレスの定型度:アドレスを知らなくても見当がつく、アドレスのスタンダード性(例えばwww.県名.it、www.市名.itなど)、州:100%、県:95%、県庁所在地:91.3%、その他の市:61.1%。
3.サーチエンジンGoogleでの到達容易度:州:95%、県:85%、県庁所在地:92.3%、その他の市:88.2%。
4.担当部署連絡先/担当者明記度:州:75%/65%、県:75%/67%、県庁所在地:76%/60%、その他の市:56%/37%。
5.情報公開度:決定議事/歳出入:州:45%/45%、県:15%/17%、県庁所在地:34%/22%、その他の市:15%/6%。
6.申請書類ダウンロード:州:100%、県:94%、県庁所在地:93%、その他の市:33%。
7.証明書類オンライン申請:州:25%、県:9%、県庁所在地:16%、その他の市:6%。
8.備品購入・公共事業入札等の申請書ダウンロード:州:80%、県71%、県庁所在地:33%、その他の市:42%。
9.入札オンライン申請:州:5%、県:11%、県庁所在地:20%、その他の市:12%。

などとなっている。また職員採用情報、保健医療サービス情報、交通機関情報、道路地図情報、社会福祉情報、労働情報、環境関連情報、文化情報、教育・研修情報、若者への情報、イベント情報、納税情報など様々な部門の情報の充実度については、オーストリアとの国境地帯、イタリアチロル地方のボルツァーノ県が飛びぬけて高い他、都市の中ではミラノ市、トリノ市、プラート市などが高く評価されており、州ではリグーリア州、トスカーナ州の評価が高い。 せっかく存在する情報にたどり着けずにユーザーが諦めてしまう問題は、サイトの質チェックの大きなポイントである。ユーザーの使い勝手のよさのポイントとしては、全頁の統一性と一瞥で提供自治体が判別できるかどうか、ホームページへの戻りやすさ、各ページの階層構造の明示、検索エンジンの存在、サイトマップの存在、訪問済みページ・リンクの色変え表示等の点がチェックされている。特に成績の悪い項目は検索エンジンとサイトマップで、内容の刷新と共に常に検索エンジン、サイトマップを自動的に刷新できるシステムの開発が望まれる。扉ページの機動性・軽さと共に、目次事項は一目で分かる9つ以下が最適とされるが、この条件を満たしているのは、州50%、県60%、県庁所在地40%、その他の市72%などとなっている。上記全項目を考慮した総合的な使い勝手のよさでは、州の7割、県と県庁所在地の5割、その他の市の3割が一応及第点で、最優秀はリグーリア州とボローニャ市である。
他の自治体や中央省庁、その他の公共・民間団体、大学などのサイトとのリンク度もユーザーの使い勝手のよさを向上させるポイントであるが、他サイト上のリンク量をチェックすると、イタリアの自治体の相互連帯協力度は全体的にかなり高いといえる。州は9割が1000以上の他サイトからリンクされており、県と県庁所在地の60%以上も少なくとも100以上のサイトから直接アクセスが可能となっている。

地域マーケティング関連では、地域内向け情報、地域外向け情報があるが、助成金情報、優遇税制情報、地域の産業構造情報、有利な投資情報、経済計画情報、観光情報、宿泊施設申し込みサービス、イベント情報、観光名所情報などがある。地域産業の構造に関する情報掲載は全体的に少なく、全自治体で18%程度に止まっている。観光情報が特に充実しているのは県庁所在地のサイトであるが、ホテル情報等は州のサイトの方がむしろ充実している。しかし、これらの地域マーケティング情報を英語など少なくとも1外国語でも掲載している自治体は、州50%、県16%、県庁所在地23%、その他の市12%に止まっている。投資・助成金・優遇税制関連等、企業向けの情報は州が扱い、項目によって、約70%から85%の州が掲載している。 昨年と比べて内容的にかなり変化が見られたのが、州、県、市のどのレベルでも観光情報の量が減っていることで、この理由は、EUのIT民主主義路線を反映して、より市民サービスのためにサイト展開を利用する方向にシフトしていることと、特に県レベルでは、観光専用情報サイトの設置が増加しているためでもある。

オペレーションシステムに関しては、州の85%、県の66%、県庁所在地の52%、その他の市の55%が、マイクロソフトシステムを使用している。州と県でもっともマイクロソフト普及率が高いのはイタリア北東部で、市レベルでは逆に南・島部での利用率が高くなっている。

サイトの技術管理・内容更新のアウトソーシング率は、州20%、県24%、県庁所在地26%、その他の市38%。
100点満点で総合成績が最も良いサイトは、では、エミリア・ロマーニャ州77点、トスカーナ州75点、リグーリア州70点。
では、モデナ県68点、アスティ県67点、トリノ県66点などとなっており、また、県庁所在地では、ボローニャ市79点、トリノ市78点、フィレンツェ市74点で、県庁所在地は他の自治体と比べて相対的に点数が高くなっている。これらの優秀自治体は、ほとんどアウトソーシングを行っていない。しかし同報告書は、小規模都市には、技術的なアウトソーシングと内部側チェック体制の確立、内部の内容定期更新スタッフの設置を柱に、連絡を密にとるグループワークを構築する方法を、サイトの質向上への効果的なアプローチ方法として推奨している。
イタリアの自治体は現在、デジタル身分証明カード導入を待っており、市民や企業へのサービスの質を、さらに一段階上げるための具体方法を模索中である。

*****

著者プロフィール:日伊コミュニケーションコンサルタント、日伊文化交流協会(AICIGミラノ)理事長、Imput Italia Japan srl取締役社長、ボッコーニ大学での10年の教鞭を経て、現在トリノ大学外国語学部日本語マネージメント専攻コース契約教授。著書に「Comunicare Giapponese 」 EGEA Bocconi 1998。



トップへ  

www.japanitaly.com