イタリア経済概況(現状と見通し)
東京三菱銀行ミラノ支店
1.イタリア経済の現状
イタリア経済は、米国テロ後の世界的な景況感悪化を受けた国内外の需要不振から、このところ減速傾向を強めている。需要項目別内訳は、未発表だが、減税や失業率の緩やかな低下をうけて、個人消費が比較的堅調だったのに対し、輸出と設備投資の減速が続いているものと推測される。特に、米国テロ後の指標をみると、企業景況感、特に受注・生産見通しが急激に悪化しており、2001年通年の成長率は2.0%を下回る可能性が高い。
| 年(四半期) | 2000/Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | 2001/Q1 | Q2 | Q3 | | GDP成長率 | 3.3 | 3.0 | 2.7 | 2.6 | 2.5 | 2.1 | 1.9 |
(前年同期比%)
個別項目では、失業率は順調に低下を続け、7月には8年振りの低水準となる9.4%まで低下してきているものの、雇用者数の前年比伸び率は、緩やかに鈍化しており、景気減速の影響が、雇用にも波及しつつあることが窺える。
| | 2000年/7月 | 10月 | 2001年/1月 | 4月 | 7月 | | 失業率(%) | 10.5 | 10.0 | 9.8 | 9.6 | 9.4 |
消費者物価指数(CPI)は、春先は家畜伝染病等の影響から上昇傾向にあったが、エネルギー・食料品価格の落ち着きなどから、4月をピークとして、緩やかに低下している。一方、原油価格下落とユーロ相場の落ち着きをうけて、生産者物価指数(PPI)も前年比下落に転じてきた。
| | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | | CPI | 2.7 | 2.6 | 3.0 | 2.9 | 2.9 | 2.8 | 2.8 | 2.6 | 2.5 | 2.3 | | PPI | 4.9 | 4.1 | 4.3 | 2.9 | 2.4 | 1.4 | 1.2 | 0.4 | -0.6 | N.A. |
(CPI:EU基準,前年同月比 %)
また繊維・革製品など、伝統的な輸出品目が多く、IT不況の影響が比較的小さかったことや、ユーロ安を背景に、7月まで比較的堅調だった輸出も、世界景気減速の影響から、米国・EU向けを中心に、8月以降急激に落ち込んでおり、内需減退に伴う輸入の減少により、黒字基調が続いた貿易収支も、9月には小幅ながら赤字に転じた。
| | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | | 輸出 | 245.8 | 220.0 | 239.5 | 234.2 | 248.1 | 169.2 | 207.3 | | 輸入 | 238.8 | 216.2 | 234.5 | 229.7 | 225.0 | 115.1 | 212.1 | | 貿易収支 | 7.0 | 3.8 | 5.0 | 4.6 | 23.1 | 14.1 | ▲4.8 |
(億ユーロ)
2.来年の見通し
来年のイタリア経済は、世界的な景気後退の影響を受けた輸出減などから、減速が続くとみられるが、比較的良好な雇用・所得環境やインフレ沈静化を背景に、個人消費が緩やかながら拡大を続け、景気を下支えしよう。設備投資についても、テロ後の企業マインドの悪化や受注減少・設備稼働率低下などから減速が続くと予想されるが、ベルルスコーニ新政権が打ち出した投資減税の下支え効果が、ある程度は期待できよう。2002年半ば以降は、他のユーロ圏諸国と同様、金融緩和の効果の浸透などによる内需の持ち直しや輸出の回復から、再び緩やかな景気回復軌道に復帰するとみられる。結果として2002年通年の成長率は、1%台前半程度は達成可能と思われる。
(東京三菱銀行ミラノ支店)
(注)本稿は12月中旬の諸与件を踏まえたものである点をご了承ください。
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