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ITALY NEWS
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2001/06/01 


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ELETTROSMOG
イタリアの電磁波スモッグ対策


田中 ちひろ

 





今年2月イタリアの一般家庭にどれだけハイテクが浸透しているかの調査が行われた。それによるとイタリアでは約40%の家庭がパーソナルコンピューターを持っていて、そのうち60%がインターネットへのアクセスを楽しんでいる。パラボラアンテナによる衛星放送を受信する家庭が15%、Pay−TVに加入している家庭が12%だった。 携帯電話に関しては、とにかく携帯電話が大好きなイタリア人のこと、その数字は79%となる。しかもその79%のうち、40%が一家に2台、13%が3台以上の所有となるそうだ。

実際この3年間のこれらのハイテク製品の急増はすさまじいものがある。 これにテレビ、ラジオ、掃除機、電子レンジ等の家電を加えると、かつて電気電子機器なしの生活が存在したなんてもうとても考えられなくなっているというのが現状だろう。

これらの便利な製品、ところがその急激な増加に伴い、ここ数年新たな、そして深刻な問題が発生してきた。

個人がこれらの製品を使用するたびに放出される電波、電子波、電磁波、そして当然のことながらそれらをサポートする送配電線路、アンテナ、テレビやラジオ塔、ステーション(中継局)などの周辺に発生する強力な電磁界、人々は、目にこそ見えないが、日常生活の中でそれらを常に浴び続けている、そしてそれらは今後なおさらもっともっと増え続けていくはずだ。 いわゆるELETTROSMOG、電波、電子波、電磁波スモッグ問題である。

上記の調査が行われたちょうど同じころ、イタリアではこのELETTROSMOGを規制する法律が議会を通過した。

一般の人たちが電波、電子波、電磁波に不当にさらされて健康を損なうことのないように、国が周波数の大きさや電磁波の強さ、放出時間、発信元からの距離などいろんな要素から超えてはならないレベルを設定し、コントロールするという法律は実はこれが世界で一番らしい。

電波、電子波、電磁波が人間の健康に害を与えるのではないか? ガンの発生を促すという説もあれば、電磁波は治療にも使うのだからと否定する説もある。 問題なのは、これらのELETTROSMOG自体の存在がまだあまりにも歴史的に浅いもので、現段階では本当のところはまだわからないという点にある。

たとえば電磁波が本当にガン(特に皮膚がん)の発生を促すのか? アメリカでは最近、この関係の訴訟が起こり始めている。たとえば92年から98年までほぼ毎日携帯電話の使っていた医師が、耳のうしろにがんができて携帯電話の製造元に賠償請求をするなどだが、いまのところまだ最終判決に至ったものはない。

イタリアではELETTROSMOGに関してはヴァチカンラジオが大変な問題になった。局に関する調査では、98年に一応設けられていたリミット(電界1mあたり20V)をはるかに上回るローマのセニオ通りでは幼児白血病の発生率が通常の6倍というデータが出ている。

この法律ができたときのイタリアの実情調査によるとい、イタリアにはなんと、このリミットを越えている電磁気施設が現在152も存在するという。 ロンバルティア州ではブレーシャ県に1ッ箇所、コモ県に3箇所、FM.TV中継アンテナからの電磁波汚染が20V/mのリミットを越える地域が存在する。 新法律では、これらすべてを2年以内に正常化すべく、2670億リラの予算が組まれているが、ENEL、TELECOMの関連施設、また大手携帯電話用のアンテナからの電波、電磁波減少のための工事、設備の移転、中継局排除などがどれだけスムーズに行くのかはかなり疑問視されているのも事実である。 対象になるのは当然のことながら電気、電子通信事業関係の会社だけではない。

法律によると、電磁波の汚染を規定されたリミットを越えて行ったものは法人個人を問わず罰金が課されるとある。 では一般家庭、オフィス、公共の場をどのように取り締まっていくか、 現在各市町村がそれに対応すべき方法を検討中である。

法律によるコントロールの一方で、電磁波を通さない建築材、ガラスなどもすこしづつわだいになりつつある。 2年以内に、電磁波を発生する家電、電子機器製品は(TV,ラジオ、携帯電話、コンピューター、掃除機など)そのパッケージに使用中の電磁波、電界の程度、安全に使うための使用時間リミット、使用距離などが明確に記されること義務ずけられた。 (訴訟社会アメリカではさらに慎重で、タバコ訴訟の前例もあってか、大手携帯電話製造会社は来年から携帯電話を売り出す際、そのパッケージに、‘体を害する恐れがあります‘という表示を入れることを検討しているという)

自分のみは自分で守るように 多くの消費者団体、環境保護団体、医療健康関連機関、科学研究機関などが、いろんな情報をインターネットや街頭でくばっている 具体的な数値入りで危険とみなされうる製品のデータをまとめているサイトもある。

携帯電話を胸ポケットにいれたりしないで、できるだけ体から話して持ちましょう 電子レンジを使うときは1m以上はなれるように(まちがってもお皿が回っているのをガラス越しに見るのはやめましょう) 子供部屋にテレビを置かないように(テレビが危険なのは横と後ろです) PCは50センチ以上離れて使いましょう(ポータブルをひざの上においてつかうことのないように)

はっとさせられることがたくさんあるが、その一方ですべてのことを心配していたらとても暮らしていけないと、ついつい思いがちだ。 が、ふと周りを見回してみるとイタリアでは、携帯電話でイヤホンを使う人が多く、どんなに便利でも昔から電子レンジは信用しなかった。 一見おきらくに見えるイタリアでELETTROSMOGの法律が一番にできたのも、実は忘れがちなそんなイタリア人の一面をあらわしているだけなのかもしれない。







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