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1999/12/1

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イタリア経済
景気動向と構造的な変化



ミラノ国立大学政経学部
ボッコーニ大学東アジア経済・社会研究所


コラード・モルテーニ


1999年は、イタリア経済にとって困難な年として記録されるであろう。金利の低下にもかかわらず、内需と外需が停滞して、結果的に今年の成長率は1〜1.2 %にとどまるであろう。その背景には、他のヨーロッパ諸国よりもイタリアの経済に大きな影響を与えた、アジア、南米、ロシアと東欧の経済危機、および、コソボの紛争という外生的要素もあったが、マーストリヒト条約の基準を満たすための増税政策も、国内消費と投資を圧迫したという内生的要素もある。

ただし、最近、欧州大陸の経済回復とともに、イタリアの景気も上昇局面に転換したことは事実である。それは、製造業部門の経営者の短期(3〜4ケ月)観測調査のデータをみると明らかである。今年の4月、業況に関する経営者の期待は底に着いていた。その時期にネガティブな見解を抱いていた経営者はポジティブな期待を持っていた経営者をはるかに越えていた。しかし、その後、景気が回復の方向に向かうとともに、経営者の見方は変わり始め、9月の時点では、ポジティブな期待を持っている経営者は過半数を占めるようになった。工業生産の指標も5月から上昇し続けている。輸出回復の兆しも見えている。イタリア政府の予測では、来年の経済成長率は、2.2%に達するが、最近発表されたOECDの予測では、2.4%まで伸びるとされている。

しかし、不安定な要素もある。まず、政局の不安が、経済回復に暗い影を落としている。予算法が成立した後の1月に起こり得る政変の影響が心配されている。それは、単なる内閣改造にとどまるかもしれないが、新しい政権の誕生から、場合によっては、国会解散と総選挙という可能性にまで発展する事も充分に考えられる。勿論、後者の場合、経済への悪影響は避けられない。

次に、石油の依存度の高いイタリア経済にとって、石油価格の昇によるインフレ率の上昇と、ユーロ11(ユーロを採用した11ケ国)とインフレ率格差の拡大が懸念されている。現時点、インフレ格差は1%以下であるが、その格差が更に開かれ定着すれば、イタリアの企業の競争力が低下してしまう。従って、インフレ再発の防止の観点からも、経済システムの効率化と、柔軟性を高める構造的な改革の採用、継続が必要である。とりわけ、行政、サービス部門と労働市場の改革は、最大の課題である。

サービス部門でいうと、銀行再編の過程が進行しつつある。イタリアの銀行制度は、1000以上の銀行の存在で、大変分散していた制度であった。ところが、この5年間で行われた再編過程 ―グローバリゼーションと、欧州統合過程に促進された再編過程―によって、イタリアにおいても合併、買収、株式持ち合い等の形で、5つの大手銀行グループが誕生した。これらのグループ(San Paolo-IMI, Banca Intesa, Unicredito, Banca di Roma, Monte dei Paschi)は、少なくとも規模の面では、ヨーロッパでの競争に対応できる銀行グループになったが、激化する競争に勝ち残るためには、今後、積極的な事業と資産の整備、合理化を実行しなければならない。そうする事により、2〜3年後EUレベルで展開される予定の再編過程において、イタリアの銀行も受け身的な存在(買収される対象)としてではなく、主役として積極的な役割を演じる事ができよう。

国有企業と国営業の民営化も進んでいる。とりわけ、11月に政府はENEL(イタリアの電力会社)の株式の35%を売却した。34兆リラを超える記録的な金額を調達し、その金額を累積財政赤字の縮小にあてた。労働市場に関しては、規制緩和政策が進んでいるが、他のヨーロッパ諸国に比べると、イタリアの労働市場の硬直性は、依然として際立っている。

上記のように、イタリアの経済仕組みの近代化、強化を促進する諸政策が着々と実行されているが、政府に求められているのは、一層の積極的な姿勢である。とりわけ、経済回復を支える意味で、積極的な減税政策が求められている。

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