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ITALY NEWS

イタリア中小企業訪問
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2008/02/29 
 
 

イタリア中小企業訪問  

Hotelplan Italia

大胆なマーケティング戦略でイタリアからの
訪日旅行をリードするツアーオペレーター会社


日本とイタリアと旅行というと、少し前までは、日本からのイタリア旅行と相場が決まっていた。ところが、最近事情が変わってきたようだ。多くのイタリア人にとって遠い国、何でも高い国と考えられてきた日本がこのところ、観光旅行の対象として浮上しつつあるのだ。実際、JNTO国際観光振興機構のデータでも2007年(1月ー10月期)のイタリアからの訪日観光旅行客数は絶対数こそ25,150名と少ないが前年比27.6%を記録した。イタリア最大の旅行見本市、BITにも日本スタンドが6年ぶりに出展し話題をまいた。

イタリアにおける日本旅行への関心喚起のさきがけとなったのがイタリアの代表的ツアーオペレーター、Hotelplan Italia社が2003年11月に行った大胆な日本旅行キャンペーンだ。1週間に7百名のイタリア人観光客を東京に送客し業界をあっといわせた。
この大イベントの仕掛け人、同社CEOのアンナ・シュブバックAnna Schupbachさんを同社ミラノ本社に訪れた。なお、同社は上記BITのBIT Tourism Award を2007年、2008年と連続して受賞している。
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Hotelplan Italia の沿革を教えてください。
ホテルプラン・イタリアはスイスに本社を持つHotelplan Internationaleの子会社として1947年にミラノ設立されました。私はスイス人でもともとはチューリッヒ本社にいましたが、22年にミラノ勤務となり現在に至っています。当時は総勢20名程度のスタッフでした。昨年2007年にイタリアの当社創立60周年を祝ったところです。なお、Hotelplan Internationale は、1935年、スイス・チューリッヒに本部をもつMIGROSというスイス最大流通グループ内の旅行会社として設立されたものです。

ホテルプラン・イタリアは設立当初はスイスからイタリアへのインバンド旅行を主として手配してきましたが60年代以降はイタリア人の海外旅行を手がけるようになりました。
当社の本部はミラノにあり、ローマにもオフィスがあります。さらにミラノとトリノ、ボローニャに直営旅行会社の4事業所を持つとともに、イタリア各地にセールススタッフ30名ほど配置しています。社員数は総計450名です。
現在、イタリアのツアーオペレーター会社としては、Alpitour, Viaggi Ventaglio に次いで取扱高では業界第三位の位置を占めています。当社の2007年の取扱高は3億ユーロ、手数料ベース収入は26万2千ユーロです。

現在の活動内容の特色はどのような内容ですか
弊社の特色はマスマーケットのツーリズム扱わず、中・高レベルのターゲットを対象とした旅行に特化していることです。
現在、4つのブランドを持っています。第一は遠隔地へのアウトバンド旅行を手配する「HOTELPLAN」。第二に2000年に買収したエジプトや中近東などを専門とする「TURISTAND」。 第三は3年前にスタートした新企画「T-CLUB」で、世界中のハイクオリティな小ホテルを手配します。特に環境に配慮したホテルで知的な旅行者むきの企画です。そして第四のブランドは2008年にはじめた「Italian Secret」というイタリア各地の珠玉の小ホテルを集めたものです。当社としてははじめて、イタリア人を対象としたイタリア国内の旅行手配を着手しました。
これら4ブランドとは別途、社内にはイタリア企業および海外企業のインセンティブツアーやコングレスなどの運営を行うビジネスユニットもあります。

どのようなマーケティング戦略を持っておられるのですか
非常にシンプルな戦略を持っています。どの分野でも常に質も量も業界3位以内に入ることです。たとえば、イタリア人に人気のリゾート地、マルディブでもモーリシャスでもNO1です。
他社に比べ価格も高く、質の高い旅行商品が弊社の特色です。2月にミラノで開催されるイタリア最大の旅行見本市であるBit(Borsa del Turismo Internazionale)で2007年、2008年と連続してBIT Tourism Awardをいただきました。これはイタリア全国の旅行代理店に対して「貴社の一番いい顧客にはどのツアーオペレーターの商品を勧めますか?」というアンケートで最高得点を取得したためです。また「最も旅行経験の高いエクスパートの旅行者にはどのツアーオペレーターの商品を勧めますか」というアンケートでも、旅行代理店からの弊社への投票が一位を占めました。 

イタリアには約12000社の旅行代理店がありますが、その中から、いいお客を持ち、質の高いサービスをしている代理店約4千社をセレクトして取引をしています。弊社の旅行商品は他社と比べると価格が高いため、上質な顧客を持つところを選んでいます

仕事の進め方の特色は?
会社内にプロフィット・センターを設け、旅行目的地ごと、商品ごとにプロダクト・マネージャをおいています。プロダクト・マネージャは対象地域のエキスパートであり企画から営業まで一環して統括します。カタログは誰かがつくって他の人が営業をするのではなくどの市場もどの地域もプロダクト・マネージャがみています。
したがって、各地域への知識も深いため、カタログに入っていないプランにもフレキシブルに対応できます。マスマーケット用大量生産のつくり方をしているところではスタンダードな商品しか扱えませんし数量をあげることが重要でしょう。しかし、弊社はよりパーソナライズした商品、特化した商品を提案できます。

イタリアからの訪日旅行造成のパイオニアと聞いていますが
2003年春にイタリアのツアーオペレーターとしてはじめて、日本旅行だけのカタログを発行しました。そして同年11月にイタリア人観光客を7百名、日本に送りこむという大規模イベントをルフトハンザ航空と協力して実現しました。東京滞在4泊で往復飛行機代をいれて549ユーロ(プラス空港税)という破格の金額の商品を開発し、700名を東京に送り込みました。 イタリア人にとって日本は遠くて高い国というイメージがあり、それを払拭するにはともかく現実に「旅行してもらう」のが必須と考えたのです。そのため、航空会社としてはルフトンザ、ホテルでは京王プラザなど一流ホテルの強力な強力を得て価格を最大限抑えました。具体的にはイタリア各地の旅行代理店の方に日本を知ってもらうことが重要な目的でした。そのため、旅行代理店各社にそれぞれお得意さんや友人知り合いなど20-30名程度のグループをつくってもらい、飛行機1便に200名前後乗せて1週間に3便で送客し、700名全員がそろう日に京王プラザホテルで大パーティを開催しました。そして7名のジャーナリストを招聘しました。大変な反響を呼びました。滞在が短いので東京だけにしましたが、別世界だった日本をアクセシブルな場所であることを意識づけることに成功し、マスコミなどからも大きな反響をよび日本を大きく紹介するのに大きな役割を果たしました。

なぜこのような大胆なプロジェクトを実行したのでしょうか
そもそもこのアイデアは、2001年の9.11事件、旅行業界が大打撃を受けた事件が引き金となって生まれたものです。実は、誰もが怖がって米国に行かなくなった2002年冬に弊社ではNEW YORKの大キャンペーンを実施して三千名を送客しました。その頃、SARSの事件があり、オリエントに対する不安がイタリア国内に濃厚になったのを案じ、それを払拭するために、本気で日本マーケットに取り組む決意をしました。
遠い、高い、それにSARSなど不安、こうしたネガティブ要因を取り払うためには、多くの方に「Viaggiare」つまり、「旅行してもらい」、現実をみて体験してもらうしか切り抜ける方法はありません。これが唯一の方法なのです。このプロジェクトは大成功でした。
そこで今申し上げた2003年11月の日本プロジェクトが誕生したのです。
この日本旅行については、20名30名の参加者をつれて参加した旅行代理店の方々、旅行会社としてのコミッションはゼロ、しかも、旅行会社の方にも549ユーロプラス空港税の参加費を払ってもらいました。協力パートナーのルフトハンザ航空も弊社ももちろんモウケはゼロです。しかし、我々はこれこそがマーケティングと考えており、実行しました。マーケティングと広告のための投資として行いました。

現在の御社の日本旅行はどうですか。
2003年の700名の後、翌年は200名、その後日本への送客を毎年25%ずつ順調にアップし、2007年の送客数は年間1000名に達しました。2007年のイタリアからの訪日旅行客数が全体で約25000名のうち1000名が弊社を使っているというのは意味のある数字だと思っています。
70%は個人旅行でカップルか少数グループです。25%は添乗員付きの大グループ。価格は他社より高く、一人当たりの平均価格は3250ユーロ程度です。ホテルも価格がやや高くても内容の充実したいいホテルを求める人が多いのが弊社の顧客の特色です。日本の宿泊施設の場合一人1泊70-200ユーロと幅がありますが、弊社では平均が150ユーロです。
日本についてもプロダクト・マネージャーを置いています。現在は、日本市場がまだ小さいので、同じ人が、ウズパキスタンなどもカバーしています。

当初は、言葉がわからない日本に自分の大切な顧客を送りこんで迷子になったら困ると心配する旅行代理店もいたのですが5年にわたってイタリア人観光客を送っても、「日本で迷子は一人もでてない!」のでこの不安も取り除くことができました。弊社のお客の大半は個人旅行ですので、行程中、要所にはイタリア語を話すガイドがつきますが、新幹線内やホテル滞在などはイタリア人客だけとなります。日本は英語での表示のない場所も多いのですが日本語を理解できなくても、なんとか大丈夫であることが確認できました。

現在の日本旅行のターゲットはどのような方々ですか
主なターゲットとしては、第一が新婚旅行カップルですので比較的若年層です。ヨーロッパ以外では始めてでかける長距離旅行という場合もあります。したがってせっかく遠くまでいくのだからということで日本滞在の後、バーリやポリネシアなどの海の滞在をつけたプランも新婚カップルには人気です。
この層にとって日本の魅力は料理、文化、建築物、禅、そしてマンガやアニメなどへの関心が主な要素となっています。

もう一つの主要ターゲットは、45歳ー50歳代度の専門職や建築家、医者、企業管理職、中小企業経営者などアクティブな人たちです。学歴、文化、経済レベルが高い人々ですでに世界各地を旅行していて次のバカンスに日本を訪れてみようという方です。中には仕事で行ったことがあって観光で落ち着いてみたいという方もいます。
日本とは違ってイタリアは働き盛りの人も年間数週間のバカンスが可能ですので、退職してからバカンスという発想はありません。旅行が好きで、好奇心旺盛、働き盛りで経済的余裕もある人がターゲットです。日本に行くのは、友人知人などに語るにも、ややステータスシンボル的な意味合いもあります。

ほぼ全員が日本への初めての観光旅行ですので、旅行コースとしては本州、特に東京―京都・関西が中心で後は広島など。第二回や第三回目の旅行の場合は北海道や九州、四国などにも行きます。

イタリア人旅行客を日本に送っての問題点は?
2003年に大掛かりな日本キャンペーンをした際もその後も、残念ながら日本政府や日本の関連行政機関から実質的な協力や援助を得ることのできなかったことです。経済的な支援はもちろん、オーガナイズ上のサポートやコンサルタントも受けられませんでした。その結果、協力パートナーのルフトハンザ空港と弊社とですべて自力で行いました。他の国の場合のように観光振興機関からのなんらかのサポート体制があれば、随分と楽だったと思います。弊社の成功をみて、イタリアのツアーオペレータ各社も日本商品を取り扱うようになっています。15社がすでに日本旅行を扱っています。遠い、高い、そして言葉の問題が、大きなネガティブ要素となっていますがユーロ高のおかげで風向きが変わってきました。

もう一つの問題は、日本は観光が主たる産業となっている国々と比較すると、観光的に受け入れ体制の整備されていない国といえます。特にイタリア語を話すガイドについて問題点を感じています。他の長距離国ではイタリア語を話すプロフェッショナルなガイドが沢山いてイタリア人観光客に対する対応もなれています。一方、日本では「イタリア語を話す観光ガイド」は増えていますが、かなり問題があります。もともとこの種のガイドのニーズがなかったためでもあるのでしょう。現在は、本業は商談などイタリア語通訳の方が、観光ガイドも行う場合と、逆に観光ガイドの人がイタリア語のガイドもする場合と二通りあります。
通訳とガイドは求められているものが違います。通訳としてイタリア語の翻訳能力が高いだけではガイドとして不十分でイタリア人に日本を紹介し、わかるように教える能力や姿勢、きちんとした準備が必要です。一方、他の言語の観光ガイドの方は日本の歴史や建築物などについて熟知していてもイタリア語そのもののレベルに問題がある場合があります。なかなか、本当の意味でイタリア語を話す優秀なガイドは少ないようです。
また、家庭を持っている方やベテランガイドは若くないため、1週間も観光客について家を離れる仕事は難しいのかもしれません。また商談や見本市通訳に比べるとガイドのペイは低いため、ガイドの仕事に対するインセンティブが低いのかもしれません。ただ、今後、イタリアからの訪日旅行者数が増加することを考えると、イタリア語の優秀な観光ガイド養成も大きな課題でしょう。

実際、日本の旅行から戻ったお客様からイタリア語ガイドについての問題を指摘するコメントも少なくないのです。旅行コストも高いため、現地でのサービスへの期待も高いのですが、必ずしもそれに応えていないようです。イタリア人は世界各地を旅行してどこにいって現地でイタリア語を話すガイドに案内してもらっていますが、それらと比べると日本のガイドは「冷たい」というか「形式的」「距離を置く」という印象を受ける方も少なくないようです。他の国の場合は、自己紹介や家族のことなどざっくばらんに話して旅行客と友達のように親しく話しをすることも多いのですが、日本人の場合は、「結婚しているの?」などと聞くだけでも「そんなことを聞いて」と身構えられたと語る旅行客もいます。
イタリア人が期待している「打ち解けた」関係や雰囲気を旅行ガイドと持つことは少ないようです。交通機関の移動や時間スケジュールの管理などは完璧にこなしてくれるのですが。これはメンタリティや人間関係の距離の置き方や文化の違いでしょうから何ともいえませんが。

今後の訪日旅行の進展については?
イタリア人のバカンスといえばこれまで「海に行く」ことがメインでしたが近年は文化的な旅行などに関心が移っています。その意味では、日本もいい目的地になると確信しています。日本は宿泊も70ユーロから超デラックスな700ユーロまで様々な選択肢がありますし食事も10ユーロから100ユーロも多様に選べるのもメリットですね。もちろん、とはいえユーロ価格や航空料金の動向にもよりますね。
いずれにしても弊社では今後5年後、毎年比25増で伸びが続き、5年後には年間3000名に達するとみています。他のデスティネーションの場合は、成熟市場が多いため、価格競争が激しく値下げ競争がさかんですが、日本はまだ余裕があり、利潤も高い市場です。

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2003年11月の大キャンペーン時から興味を持ってきたHotelplan Italia社。今回、同社訪問をして社内の明るい雰囲気、元気でダイナミックなアンナさんの統率力、スタッフの方々のスピーディな反応に圧倒された。このチームなら、日本人とは別の視点で日本の魅力を発見し、イタリア人旅行客に提案する力強いパワーを発揮してくれるような気がした。
(聞き手 E.Oshima)


Hotelplan Italia S.p.a.
Corso Italia 1, 20122 milano
Tel 02721361 Fax 02877558
URL: http://www.hotelplanitalia.it   

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