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ITALY NEWS
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2007/03/31 
 
 

イタリア中小企業訪問  


食ビジネスにかけるイタリア企業家(13)
VILLA MASSA SRL

ソッレント特産レモンを使った
リモンチェッロ・メーカー


 


有名なナポリ民謡「帰れソレントへ」で広く知られるソッレントSorrentoは、切り立った海岸線、美しいパノラマが訪れる人を魅了する町。青い空と紺碧の海に浮かぶ半島全体に特産のレモンが栽培されている。ソッレントの特産レモンは、大きさ・皮の厚みが通常の約2倍というこの地でしか採れない特別な品種でIGP(保護指定地域表示)に認定されている。この地で、地元レモンを使ったリモンチェッロLimoncello のメーカーとして活躍するヴィッラ・マッサVilla Massa社の代表取締役 ステーファノ・マッサStefano Massa氏にお話をうかがった。

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会社のこれまでの沿革を教えてください
私はナポリ生まれ。現在50歳で娘が2人います。大学の法学部を卒業後、いくつかの仕事を経験した後で、弟のセルジョとともに起業家の道を歩みはじめ現在も兄弟二人で経営にあたっています。1983年にパスタ・オリーブオイルなど農産物・食品の貿易商社を創業後、現在4つの会社を経営し、売上げも総計で3500万ユーロに達するまでになりました。

4つ目の会社がリモンチェッロなど酒類製造メーカー、ヴィッラ・マッサVilla Massa社で1991年にソッレントで誕生しました。このソッレントの地には、父方が昔から所有しているヴィッラ(邸宅)やレモン林などがあり、我々家族と深いつながりを持つ土地です。我々の「VillaMassa」の社名自体がこの古くから所有しているヴィッラの名前からとったものです。この会社は起業家としての本能と地域への使命感から生まれたものです。我が家にはレモン林があり、そこで採れるレモンを使って自家用として昔から特別なレシピーでリキュールをつくっていてそれは我が家を訪れるお客様からとても好評でした。ところが、残念なことに、当時、この地域のレモン栽培が消滅の危機にありました。というのは、低品質で安価なレモンが市場に出回りこのソッレント地域に古くから続いてきたレモン栽培が経済的に成り立たなくなっていたのです。この現実をみて我々は、我が家で長年味わってきたマッサ家のレモンのリキュール、すなわち"リモンチェッロ"を、市場用として生産することで、地域のレモン栽培を守ることを決意したのです。
我々の使命は、1890年代にまで遡る我々ファミリーが厳格に守ってきたレシピーをまったく変えずに維持しつつ、我々の大地が生むこの果実、そしてレモン栽培の結果として世界中からの旅行者や訪問者を何世紀にもわたって魅惑してきたこのソッレントの風景そのものを守り評価を高めることなのです。

「リモンチェッロ」はどのようにしてつくるのですか。
リモンチェッロはリキュールの一種です。ヨーロッパの法律ではリキュールとは砂糖が10%以上入っているアルコール飲料と定義されています。リモンチェッロは蒸留酒ではなく、アルコールに「漬けて」つくる甘い飲み物です。われらのリモンチェッロは伝統的な我が家の手づくりレシピーを忠実に再現した製法で作られています。すなわちソッレントのレモンの外皮の極めて薄い皮を純アルコールに浸します。それによりレモンの皮の一番外側の部分からレモン芳香油がアルコールに排出されるようにします。数日後、この「アルコール液」からレモンの薄皮を取りよけ、濾過し、その上で砂糖水のシロップと混ぜあわせることで、着色料、合成保存料、濁り剤などのまったく入っていない混ざりけなしのアルコール、レモン、砂糖だけを原料としたリキュールができあがるのです。ですから、ヴィッラ・マッサのリキュールは100%自然飲料なのです。

我々の挑戦は、この伝統的な手づくりレシピーを変えることなく「生産の工業化」を可能とすることでした。そのために、非常に革新的な生産プロセスを開発しなければなりませんでした。いかなる保存料、着色料、濁り液なども使用せずに、要求する品質のパラメータを厳守しつつ、生産することのできるシステムをつくるために大変な努力をしました。
現在では、レモン・リキュール類の生産量は年間に約1百万リットルに達し、米国、ロシア、南アフリア、日本、アーストラリアと世界32ケ国に輸出しています。とはいえヨーロッパ市場が我々にとっては最も重要な市場であり、特にスペインが弊社にとって特に大事な市場となっています。現在正社員23名、契約社員5名の会社です。

ソッレントのレモンの栽培について教えてください。栽培農家とはどのような関係にあるのですか。
ヴィッラ・マッサでは、I.G.P認定を受けている「ソッレントのレモン」の栽培林を自社で保有しています。しかし、それだけでは量がたりませんので、ソッレント半島全体で約300に及ぶレモン栽培者からなる最大の共同組合に所属しています。各栽培者は収穫したレモンを組合に届けます。組合ではレモンの洗浄、乾燥をした後で、食品用の無菌処置を施されたポリプロ袋でレモンを包んで、プラスチック・ケースにいれて温度調整された場所に一時保存します。このプレスチック・ケースに「ソッレント・レモン保護組合」のロゴマークと通し番号ラベルが貼られたものが弊社の工場に届きます。通し番号ラベルは工場で保存されますので、購入したレモンと生産されたリモンチェッロと重量の比率を管理するとともに、市場から返品された商品について、その製品に使用されたレモンの栽培者をトレースすることが可能となっています。
このようにして、製品の品質の維持、ひいては最終消費者の保護のためにレモン栽培農家とレモン加工工業との間に総合的な農業・食品産業のネットワークが構築されているのです。

御社の強さは特にどこにあるのでしょうか。
弊社で働くすべての社員が会社の具体的で明確なビジョンを共有すること。あらゆる企業のプロセスにおいて"トータル・クオリティ・マネージメント"システムに従った自己評価モデルが社内すみずみまで適用されること。我々の関心の中心を「株主」だけではなく、カスタマー満足度へ置くことです。この結果、2006年11月に、まさに、ヨーロッパ品質管理財団(EFQM)の「カストマー・フォーカス」部門で、審査員特別賞を授賞しました。ヨーロッパにおける品質管理において最も権威あるこの賞の受賞は、これまでに授賞してきたいくつもの賞を完成させるものであり、優れた企業組織をつくるための道程に対する弊社としての継続的な緊張感を証明するものに他なりません。

なぜ、「カンパーニア&エミリア・ロマーナ州食文化の競演」、あるいは、「ヴィッラ・マッサ大賞」などの特別イベントを実施するのですか。
昨年12月に我々はソッレントでこれら食文化振興イベントを主宰しました。特に「ヴィッラ・マッサ大賞」では、「外国人シェフ部門」「イタリアの食文化部門」「食ジャーナリスト部門」の3部門で最も優れた人材が表彰されました。これは地域の若者にレストランや食産業、食文化の部門で活躍してほしいと思うからです。我々の使命は、先ほども申し上げたように我々の大地と大地が生む果実の価値を高めるために尽力することにあります。したがって、この大賞の創立を通して高水準の食文化に対して賞を与えることで、地域の若者に対してこの分野の世界的なスターの経験を身近に知る可能性を与えたいのです。この分野で一生懸命努力することで、今回、大賞を受賞した各界のキラ星にまで到達する可能性のあることを地元の若い学生に知ってほしい。この地域に根ざした豊かな農食産物をベースとした食産業の成長を若者に託したと考えたのです。
さらには、地域の観光促進の意味からもこの地域の食文化を知らしめるために貢献するものとなるはずです。地域の成長は、地域の専門性、そして、優れた生産の成長こそが善い弾みを生み、そして弊社にとってもよい企業イメージの浸透として肯定的にその結果が返ってくるものと思います。

この地で企業を経営していくうえでの難しさは?
我々はこの素晴らしく魅惑的な土地で働くという特権を持っていますが、同時にこの地域は個人主義的気風が非常に強く企業活動の難しい土地でもあります。地元の地方自治体や他の生産組織などとのチームプレイをしようとしても巻き込むのは難しいのが現実です。他者への不信感や警戒感も強く、さらには地域のインフラストラクチャー、公共事業や役所のサービスの欠如など、問題点は少なくありません。

今後の挑戦課題は何でしょうか?
正直いうと、あまり順調でない時には、この難しい市場環境の中で、自分の会社および社会に対して富を生み出すことができる企業を生き残らせておけること自体が、わが国では大変な功績に値する「挑戦」ではないかと思えてきます。一方、元気よく前向きに将来を見る時には、近い将来、地球経済の中心になるであろう遠い国々に大きなチャンスのあることが見えます。何百万、何千万もの新しい消費者が、生きるために食べるだけでなく、文化、自然、伝統が提供する多様な食品や飲料を楽しむことを求めるようになるはずです。そのとき、イタリアはこれらの要望に山のように応えることのできる宝庫です。 (E.Oshima)

Villa Massa s.r.l.
Via Mortona S. Liborio 126, 80063 Piano di Sorrento (NA)
Tel. 081 5333282 Fax 081 5333830
URL: http://www.villamassa.com
email: villamassa@villamassa.com   


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