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ITALY NEWS
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2007/01/31 
 
 

イタリア中小企業訪問  


BIOMASSERIA
Lama di Luna

プーリア州のマッセリアを利用した
バイオのアグリツーリズモ


 


イタリアの田舎を満喫できる宿泊形態として人気のアグリツーリズモ。地方色豊かなイタリアだけに、各地で色々な様相を見せる。中でも南イタリアのプーリア州では、"マッセリアmasseria"と呼ばれる古くからの農場をアグリツーリズモとして再生しているケースが見られる。実は今、イタリアではちょっとした"マッセリア"ブームらしい。今回の訪問先ラーマ・ディ・ルーナLama di Lunaもそんなアグリツーリズモの一つ。"ビオ(バイオ)bio"を謳ったこの特徴あるマッセリアについて、オーナーのピエトロ・ペトローニPietro Petroni氏にお話をうかがった。

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プーリアの歴史を語るマッセリア
マッセリアとは特にプーリア州に見られる古くからの農場のことで、一般的に大きく堅牢な建物があるのが特徴だ。かつてはこの建物には領主だけでなく小作農達も住み、家畜小屋、収穫物貯蔵場なども一緒になっていた。起源は古代ローマ時代に遡り、中世の封建制度の下で発展した。

ラーマ・ディ・ルーナは、プーリア州のムルジェ地方の北東、アンドリア市郊外にあるマッセリアだ。200ヘクタールの広大な敷地内に牧草地やオリーブ林が広がり、その風景の真ん中に、何本もの煙突がまるで飾り物のように突き出た四角い建物が建っている。これがその昔この土地の所有者と小作農達が住んでいた場所だ。
「この建物は、18世紀末にまず建物左翼部分が、そして19世紀に右翼部分ができました。右翼部分は、メッザードロと呼ばれた小作農たちが住めるようにと作られたものです。20平米ずつの部屋が続き、各部屋に小作農たちが家族単位で住んでいました。40室それぞれ暖炉が付いていたので、この建物には40本の煙突が残っているのです。他のマッセリアではあまり見られないものです。」
敷地内にはトゥルッリもある。これは、コローノと呼ばれた住居契約を持たない小作農が自分達で石を集めて作ったもの。コローノ達はこのトゥルッリの中でロバと一緒に生活していた。
その後、19世紀末にファイヴァーノ領主がマッセリアを売りに出して以降、所有者は移り変わった。戦後は羊飼い達に賃貸され、荒廃が進んでしまったのだという。

哲学は"シンプルであること"
1960年生まれのペトロー二氏はプーリア州出身。ペルージャ大学の農学部を卒業した。そして、「美しい風景に惚れ込んだ」彼は、1991年にこの200ヘクタールのマッセリアを購入する。「友達やお客さんを呼べるような農場を自分のアイデアでつくり、そこに住み、働きたい」という夢をかなえるためだった。
そして、思わぬ発見もあった。「購入した後に古い記録を見ていたら、私の曽祖父の姉妹にあたる人が一時期このマッセリアを所有していたことがわかったんですよ。」

戦後住むようになった羊飼い達全員がマッセリアから去ったのが94年。そうして96年にペトロー二氏は、1万本のオリーブ、1万本の葡萄、2千本のアーモンド、千本の桜の他、穀物や野菜畑、そして100ヘクタールの牧草地を持つ農場ラーマ・ディ・ルーナを興した。その後、アグリツーリズモを始めるため、2000年から3年間かけてマッセリアの建物の修復を行った。かつて領主と小作農達が住んでいた場所は、10部屋のダブルルームなどからなる宿泊施設へと生まれ変わったのだ。

「ラーマ・ディ・ルーナというのは"月の谷"といった意味です。自然のサイクル、そして母なる大地に結びついた名前として考え出しました。」
彼の哲学は"シンプルであること"。それが自然を大事にする姿勢へとつながっている。農場はバイオ栽培、そして建物にはバイオ建築法を利用し、風水も取り入れている。温水や暖房は48枚のソーラーパネルが供給する。ベッドは松の木やオリーブの木、あるいは1800年代の真鍮を使ったもの、シーツやタオルは未加工の綿製・・・といったように、哲学は細部にまで行き届いている。

「まず私がバイオ栽培を取り入れたきっかけは、96年に10ヘクタールあまりのトマト畑を栽培していた頃、ひどいアレルギーになったことでした。その時、医者が私に"この仕事を辞めるか、仕事の中で何かを変えないといけない"と言ったのです。そこで私はバイオ栽培へと切り換えました。
また、3年間の建物の修復で気を配ったことは、この土地の美しい自然と歴史を尊重することでした。建物のオリジナルの構造を大切にし、古いテーブル、1800年代のレンガ、窓枠などなるべくもともとあったものを再利用するようにしました。素材も自然のものばかりです。ただ、修復を手伝ってくれた職人達を説得するのは大変でした。例えば、壁に利用する赤土や黄土なども自然のものを利用しているのですが、彼らは簡単に手に入って使える工業品を使いたがるのです。でも、ポンペイの壁画が今も残っていることを考えてみてください。しかも、ほんの少し前まで自然の素材は普通に使われていたのです。今でも好奇心をもって探せば見付かるのですよ。」

こうしてラーマ・ディ・ルーナはその土地の歴史と自然とに調和したものになった。ただし、仕事はまだ終わっていないそうだ。
「プールを作りたいと1年以上前に役所に届けを出したのですが、まだ返事がありません。建物の修復や改修にあたっては、時間のかかるお役所仕事も難関の一つです。」

将来の夢は"もっと美しく"
現在ラーマ・ディ・ルーナではペトロー二氏の他に、アグリツーリズモで2名、農場で10名のスタッフが働いている(ただし、アグリツーリズモは冬の間はお休み)。
「ここにいらっしゃる方たちには、自分の家にいるような気分で過ごしていただけるように、そして同時にこの土地のすべての魅力を味わっていただけるように気を配っています。」というペトロー二氏は、ラーマ・ディ・ルーナから18キロのところにあるユネスコ世界遺産カステル・デル・モンテへの小旅行など、近くにある歴史的遺産や自然公園への小旅行なども提案している。また、11月から1月にかけてはオリーブの収穫、オリーブオイル作りがあるし、一年を通して羊の乳搾りといった"イベント"もある。さらに、ヨガコース、本の紹介といった集会も企画している。

ペトロー二氏は、ラーマ・ディ・ルーナを始める前年の1995年に、夢だった世界旅行を実現させ、インド、イスラエル、中央アメリカなどの国々を回ったのだそうだ。それでは、将来の夢は何だろうか?
「"農場を自分のアイデアでつくり、そこに住み、働きたい"という最初の私のプロジェクトの基本にのっとって、ラーマ・ディ・ルーナをもっと美しくしていくことです。」

自分の夢を大事にし、そして信じた道をひたすら進む人、そんな印象を受けた。
ラーマ・ディ・ルーナは、これからも美しい自然といにしえの時が残る場所であり続けるに違いない。(K.Maruyama)

BIOMASSERIA Lama di Luna
Loc. Montegrosso
70031 Andria (BA)
Tel: 0883-569505
URL: http://www.lamadiluna.com
email: info@lamadiluna.com


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