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ITALY NEWS
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2006/12/27 
 
 

イタリア中小企業訪問  

食ビジネスにかけるイタリア企業家(12)
Natura & Cucina Srl

プーリアの食文化普及のための
イベントやツアーをオーガナイズ


 


バロックの町レッチェ、三角屋根のトゥルッリで有名なアルベロベッロなど魅力的な町が点在するプーリア州は、農業の盛んな土地だ。イタリア一のオリーブオイル生産量を誇る州でもある。そして、南イタリアの大地と太陽に育まれた食材は、オリーブオイルと一緒になってシンプルで美味しい料理を生み出す。
そんな地元の食文化を世界中に普及させようと頑張る女性が州都バーリにいる。Natura & Cucina社を経営するロッセッラ・スペランツァRossella Speranzaさんだ。今回の中小企業訪問では、このロッセッラさんにお話をうかがった。

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日本人女性に刺激を受けて
ロッセッラさんは、プーリア州バーリ近郊の町ビトントBitonto出身。バーリ大学経済学部を卒業後、「アメリカが好き」という理由で米国カリフォルニアへとわたり、サンタクルーズ大学でアグリビジネスを勉強、MBAを修めた。その後、イタリアに戻り、バーリ商工会議所の外国セクションに11年間勤務。イタリア外務省でコンサルタントとして働いたこともあるというキャリアの持ち主だ。

現在は、バーリ商工会議所を退職してフリーランスとなり、プーリア州を中心とするイタリア南部地域におけるアグリビジネス分野のマーケティングコンサルタントを行っている。また、Natura & Cucina社を設立し、エノガストロノミー関連イベントを企画する。
「1996年にNatura & Cucinaを設立しました。私が一人で切り盛りしています。設立するきっかけは、日本人女性北村光世さんとの出会いでした。料理研究家でオピニオンリーダーでもある彼女が、オリーブオイルに関する本を執筆するためプーリアにやって来たのです。彼女の仕事に大変刺激を受け、プーリア発展の道は食文化にあるのではないかと考えるに至りました。私は郷土の料理が大好き。だから、世界にプーリアの食文化を広めたい、そんな思いでNatura & Cucinaを始めました。
フリーになったのも会社を設立したのも、"キャリア"を捨てて"情熱(パッション)"を取った結果と言えるかもしれません。」

プーリアの食文化を広めるために
平野部と丘陵地帯の割合が大きいプーリア州は、南イタリアで最も高い農業生産性を誇る上、葡萄、オリーブ、小麦の他、ピーマン、トマトなど多くの野菜の生産量で国内一、二位を争う。オリーブに関して言えば、昔からの古木オリーブの生えている面積がイタリアで最も広いのもプーリア州なのだそうだ。石灰質の土壌、少ない水資源というハンディはあるが、それだけにプーリアで出来る作物は力強い味がする。そして、海に面した土地柄から魚を多く食す。プーリアの食卓では、海と陸の風味が融和するのだ。

Natura & Cucina社は、そんなプーリアの食文化をイタリア国内外にプロモーションするイベントを企画している。オリーブ産地ビトントに生まれたロッセッラさんらしく、特にオリーブオイルの普及に熱心だ。
「プーリアの食文化は"地中海式ダイエット"を代表するものだと思います。すなわち、野菜や豆類、パン、パスタを幅広く豊富に使い、生にしろ火を通したものにしろ魚をかなり消費します。肉はあまり食べません。そして、エクストラバージンオリーブオイルをたっぷりと使います。プーリア州の食文化を語る上でオリーブオイルは欠かせません。生産量はイタリア一ですからね。」

イベント企画にあたっては、地方自治体や生産者組合の協力を得ることが多い。
「地方自治体との協力関係はバーリの商工会議所で働いていたことが役立っています。また、私のマーケティングコンサルタントの主な顧客は、個々の生産者や生産者組合です。特に小さな生産者達が販売促進のために私を必要としています。大きな企業は自身でマーケティングができますからね。ただし、私がフォローするのは質の高いものを生産するところだけです。生産量は少なくても高品質のものを提供する、そんなニッチな分野を大事にしています。」

今年の11月にはOLIVITA(www.olivita.it)というイベントを開催した。プーリア州のエクストラバージンオリーブオイルに関する知識を深めるため、6日間にわたり、トークセッションの他、サレントの搾油所やアンドリアのオリーブ農場の見学、ムルジャ料理の昼食などを企画。プーリア州各地を回りながら地元産オリーブオイルの素晴らしさを体験できる内容だった。「さぁ買ってください」と製品を陳列するだけの見本市ではなく、プーリアの土地をより良く知ってもらうために企画したのだという。
このOLIVITAには国内外から食分野の関係者が大勢集まった。日本からは北村光世さんの他、15名が参加。「トスカーナがメインだと思っていたが、プーリアのオイルの質と量に驚いた」、「実際にオリーブオイルを使った数々の料理を食べてみて、その広い適用性に感心した」、「オイルだけではなく、他の食材、歴史的遺産、快適な気候を持つプーリア州の魅力を発見できた」といった感想が参加者の間で出てきたそうだ。

日本向けに注力
イベントだけでなく、プーリア州へのエドゥケーション・ツアーも企画している。ターゲットは米国、そして日本だ。
「アメリカ市場に対してはOldwaysというボストンにある食のシンクタンク会社とコラボレーションしています。日本に関しては、先ほどもお話した北村さんの協力を得て、2001年から日本人グループに来てもらうようになりました。これからもっと日本向けに力を入れたいと思っています。というのも、日本の人たちはアメリカの人たちと比べてより"質"を大切にする傾向があるからです。」

個人的な印象ではあるが、私が今までミラノで出会ってきたプーリア出身者は概ねとてもおおらかで親切だ。そんなことを話すと、「確かにプーリアの人は開かれたメンタリティを持っているかもしれません。古い時代から海を通じて外とのつながりがあった土地ですからね。」と同意してくださった。
そんなロッセッラさんもとても活発で、オープンな人だ。そして、仕事もてきぱきと速い。
「外国からのお客様がプーリアの美味しい料理を知って喜んでくださる時、とても嬉しいです。地方自治体など公的機関が絡んだ仕事では、"役所仕事"の効率の悪さに困らされる時もありますが、そんな苦労も吹き飛びます。」

「Natura & Cucina社を設立してから今までの10年間は、公的機関を通じた仕事を多く手掛けてきました。しかし、今や機は熟しました。これからはもっと民間の需要を取り入れて、私のプライベートでの仕事を広げていきたいと思っています。例えば、日本人向けのエドゥケーション・ツアーに力を入れたいというのもその一つです。日本の皆さんがプーリアをより良く知るためのシナリオを描く、いわば"演出家"のような役割を担っていきたいですね。」

プーリア州は豊かな農業生産を誇るにも関わらず、世界的に見るとまだその知名度は低い。これは生産システムと宣伝・販売システムがうまく統合していないことに理由があるのだと言う。しかし、プーリア州のアグリビジネスのポテンシャルが非常に高いことは間違いない。元気なロッセッラさんの今後の活躍に期待したい。
(K.Maruyama)

Natura & Cucina Srl
Corso Umberto I, 18
70127 Bari - S.Spirito
Tel: 080-5333185
Fax: 080-5330280
Email: oldways.italia@tin.it


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