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ITALY NEWS
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2006/10/31 
 
 

イタリア中小企業訪問  

食ビジネスにかけるイタリア企業家(10)
Agroindustry Advanced
Technologies S.p.A.

シチリア・カターニア発、
赤オレンジのスプレムータが簡単に
出来る機械


 


イタリアを代表する果物と言えば、オレンジ。特にシチリア名産の赤いオレンジはイタリアでも人気だ。そのまま食べても美味しいし、絞りたてのオレンジジュースもとびきり美味しい。イタリアでは絞りたてのジュースのことを"スプレムータ"と呼ぶが、オレンジのスプレムータはビタミンCを豊富に取れるので、この時期、風邪予防に飲む人も多い。赤いオレンジは抗酸化作用のあるアントシアニンも多く含んでいる。
ただ、スプレムータを作るのにオレンジを1個1個絞っていたら、けっこう面倒な作業となる。バールやレストランなどお客に素早く対応したいところではなおさらだ。しかし、そんな悩みは無用。オレンジのスプレムータを簡単に作れる機械を世界中に販売してる会社が、赤オレンジの産地シチリア州カターニアの町にあるのだ。
今回の中小企業訪問では、その会社アグロインダストリー・アドヴァンスト・テクノロジーズ株式会社(略してA.A.T.社)の社長、サルヴァトーレ・トッリージSalvatore Torrisi氏にお話をうかがった。

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AAT社設立までの経緯
A.A.T.社は、トッリージ氏が設立したアグリカルチャー・インダストリアル・ディヴェロップメント社(略してA.I.D.社)から分離する形で1998年に誕生した。オレンジのスプレムータを自動で作る機械"オランフレッシュOranfresh"を中心に、新鮮な野菜や果物のジュースを作ることができる"ヴィタジューサーVitajuicer"、水のディスペンサー、製氷機などを製造し、バール、レストラン、ホテルなどに販売している。

「A.I.D.社を設立したのは1969年です。私は大学で農学を修めた後、65年に米国へ渡り、カリフォルニアのシトラス・リサーチ・センターで柑橘類のミネラル成分などについて勉強し、生理学の博士号を取得しました。その後、地元のカターニアに戻り、アグリカルチャー・インダストリアル・ディヴェロップメント社を設立したのです。英語名がシチリアの人にはなじみがなく発音しづらかったため、A.I.D.社と略称を作りました。」
A.I.D.社はシチリア農業にとって敵だった水不足や凍結被害を食い止めるため、新しい灌漑技術を導入したり、凍結防止装置などの農業関連機器を製造。さらに、70年代にはイラク、リビア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦など中近東の国々へとこれら機器の輸出を開始した。トッリージ氏は農業発展のために役立つ技術コンサルティングを今も行っている。

「その後、A.I.D.社のノウハウを活かしながら、柑橘類加工分野のリサーチを開始しました。そうして約10年後の90年代半ばに、自動的にオレンジを絞ってスプレムータを製造する機械"オランフレッシュ"を開発したのです。そして、このハイテクノロジーを利用した機械を広く販売するべくA.A.T.社を設立しました。」
A.I.D.社の顧客は農業関係者だが、A.A.T.社の顧客はスプレムータを提供する飲食関連業界。販売先が異なるのだから、別会社化して製品の特徴をよりアピールできる体制にしたわけだ。

オランフレッシュの特徴
A.A.T.社のオランフレッシュは、現在、世界で最も優れた自動スプレムータ製造機と言える。
「バールやホテル、レストランの従業員が簡単に素早く美味しいスプレムータを作れるように開発しました。機械にオレンジを入れれば、自動的に2つにカットされ、果実部分が絞られます。その際、皮の苦い油分が混じらないようになっており、美味しい絞りたてのジュースが出来るのです。ジュース部分はコップに注がれ、皮の部分は分離して外に出されます。しかも、ステンレス製で清浄も簡単。清潔な状態が保たれるようになっています。ちなみに、一時間に70リットルのジュースを作ることができます。コップ一杯(180cc)には約3個のオレンジが目安です。オレンジを入れれば自動的にジュースを絞り、終われば自動的に止まります。」

さらに、オランフレッシュには様々なタイプがある。最新のものは幅24センチと場所をとらず、バールなどのカウンターに置くことができる。あるいは、セルフサービスレストランに置くタイプ、ホテルで見栄えがするクラシカルなスタイルのものなどもある。ハイテク製造装置の部分は変わらないが、外観や大きさを変えて顧客の要望に対応している。

オランフレッシュは欧州だけでなく、米国、日本でも特許を取っており、今では世界40カ国で販売中だ。イタリアではチェーンのセルフサービスレストランを展開する大手企業アウトグリルなどに販売している。世界の主要見本市への参加、関連雑誌への広告などを通じて製品の宣伝をしていると言う。ミラノ、ローマに支店を持っているが、これらは地元を担当。世界市場への営業はカターニア本社が担当している。
「日本ではドトールコーヒーで使われています。皆さん、ご覧になったことがあるでしょうか?」

カターニアだから生まれた機械
実は、私は故郷の町にあるドトールでこの機械を見て、「イタリアっぽいな」と思ったことがある。しかし、本当にイタリア製だったとはこのインタビューでお話を聞くまで知らなかった。
シチリアにこんなに世界中に広まっている機械を製造している会社があるなんて意外な気がしました、と正直な感想を述べたところ、こんな答えが返ってきた。
「カターニアだからこそ出来たのだと思います。ご存知ですか?シチリア州の柑橘類の栽培面積は約10万ヘクタール。イタリア全体の6割を占めています。特にカターニア周辺はIGP認定を受けているシチリアの赤オレンジの産地でもあります。スプレムータの原料であるオレンジが近くにある。だからこそその特徴を良く知り、有効に利用する機械を製造できるのだと思います。
しかも、カターニアにはシチリアで最も古い大学があり、優秀な人材もいます。」
ちなみに、カターニア空港はミラノ、ローマに次いでイタリアで3番目に輸送量が多い空港なのだそうだ

現在のA.A.T社の従業員は50名。うち15名がリサーチに携わっている。今後も技術開発リサーチに余念はない。「これからもリサーチを続け、製品の幅を広げていきます。最近開発したばかりのものとしては、お金を入れるとスプレムータが出てくる自動販売機、シチリアンレシピで作る正真正銘のグラニータ(シャーベット)製造機などがあります。また、現在当社製品はバール、レストラン、ホテルなどの法人向けオンリーですが、家庭用に使えるオランフレッシュも検討中です。」

「オランフレッシュに関して言えば競争相手はスペインにいるんですが、利便性で当社製品が優っています」とおっしゃるトッリージ氏。「農業インダストリー分野での研究開発」という視点にブレはない。A.A.T.社の発展は、地元農業の振興にもつながっていくのだ。
若くして世界へと視野を広げ、そして故郷の産業に根ざした製品を世界中に広めることに成功したトッリージ氏に、シチリア人の熱い思いを感じることができた。
(K.Maruyama)

Agroindustry Advanced Technologies S.p.A.
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Tel: 095 291233
Fax: 095 291117
URL: http://www.oranfresh.com
Email: info@oranfresh.com


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