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ITALY NEWS

イタリア中小企業訪問
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2006/7/24 
 

イタリア中小企業訪問

食ビジネスにかけるイタリア企業家(8)
KARRUA SAS

シチリア・ラグーザの特産
カッルーバ加工品を製造





みなさんは"カッルーバcarruba"という果実をご存知だろうか。日本語では"いなごまめ"と訳されるが、"まめ"と言っても大きな木になる実のことだ。産地は地中海沿岸から中東地域にかけて。古代から薬剤など様々な用途で利用されてきた。
イタリアではシチリアがカッルーバの大産地だ。特にラグーザ県だけで国内のカッルーバ生産の7割以上を占める。そして、この"カッルーバの王国"ラグーザ県のモディカの町に、地元特産のカッルーバを使った加工食品を製造するカッルーアKARRUA社がある。今回の中小企業訪問では、カッルーア社長ジョルジョ・チチェーロ氏の息子、ジョヴァンニ・チチェーロGiovanni Cicero氏にお話をうかがった。

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カッルーア社について
カッルーア社は1999年に現社長ジョルジョ・チチェーロ氏が興した会社だ。モディカの中心地から8キロ、フリジンティー二地区にある。「カッルーバの木が豊富にある地で、古くから伝わるこのすばらしい木の実の利用法を再発見するべき」という考えから生まれた。会社名は、カッルーバのモディカ方言"carrua"とギリシャ語での呼び名"Keration"を組み合わせたものだ。

会社はカッルーバ加工やそれを利用した菓子作りの世界で働いてきた人たちの経験を活かしつつ、それまでになかった技術的な革新を加えた。約400平米ある建物内には、実を粉砕する機械から、製造加工機械、包装用機械などが置かれている。加工製品のいくつかは特許を得ている。

家族経営のカッルーア社では、社長の息子で現在24歳という若さのジョヴァンニさんも活躍している。
「商業・会計士高等専門学校を卒業した後、18歳の時に父親の会社で働き始めました。最初の数年は家族の者に付いて仕事を覚え、それから営業販売に従事するようになりました。当初は地元のエノテカや特産品店、ホテルなどへ販売していましたが、見本市に参加するうちに県外への販売も増やしてきました。
現在は、継続的に顧客を訪問し、お互いの信頼関係を強化することに努めています。そうすることで、カッルーア社製品の可能性をより広げることができると思っています。」

カッルーバの特性を活かした多様な製品群
カッルーバの木は平均5〜6メートルの高さもある大きな木だ。何世紀も生きることができ、12メートルほどの高さにまで成長するものもある。岩の隙間にも根を生やすというこの頑丈な木は、30〜100歳の間に最もよく実をつけるのだそうだ。毎年8〜9月ごろに実が熟す。
「カッルーバは種と果実の部分に分けられ、それぞれ栄養分に富んでいます。様々な種類があるので木によって少しずつ違いますが、果実の部分は、水分(4〜25%)、たんぱく質(2〜16%)、脂質(0.3〜4%)、繊維質(3〜15%)、灰質(1〜4%)、ブドウ糖(3〜20%)、蔗糖(7〜44%)、粘質(20〜58%)、タンニン(1〜15%)という構成です。」

カッルーア社は、仕入れたカッルーバを果実と種に分け、それぞれを粉末状に加工する。
「果実部分を粉末にしたものは自然の糖分がたっぷり。たんぱく質、ビタミン(A,D,B1,B2,B3)、ミネラルも含んでいます。繊維質やペクチンもかなり入っていますので、消化吸収にも役立ちます。脂質や塩分は少な目です。当社の製品には保存料や着色料は一切使用しません。」
この粉末はチョコレートに似た風味があり、ケーキやプリン、クリーム、ジェラート等のお菓子を作る時に、カカオの替わりに使うことができるという。手打ちパスタの中に入れてもいい。また、整腸作用、あるいは香り付けの目的で薬剤にも使われる。

果実部分からは、自然の糖分だけを含むシロップも精製している。これは、スポーツ前後にエネルギー補給のために取ると良いそうだ。飲料にも入れられるし、お菓子屋さんではビスケットやクリーム、ゼリー、マチェドニアなどをつくる時に利用される。さらに、咳やのど痛を鎮める去痰剤にもなる。

一方、種の粉末には高い粘度があり、40倍の重量の水を吸収する。そのため濃縮剤、安定剤、乳化剤として、食品製造や薬剤製造の段階で使用される。お菓子の風味を保つためにお菓子屋さんで、ジェラートの均一性を保つためにジェラート屋さんでも使われるそうだ。

さらにカッルーア社では、果実の粉末やシロップを使って、ペーストクリーム、無糖クリーム、食後酒"Karrubello"、デザート酒"ELISIR di CARRUBA"、ビスケット、プラリネ、モディカチョコレート、キャラメルなど様々な二次製品を製造している。

「主要顧客は、小さな頃からこの食材に結びついている地元の人たちです。主にエノテカ、特産品店、ワインバー(これらの店では試食などをしてもらって宣伝しています)、ホテル、B&B、そして薬草専門店に販売しています。当社の製品はシチリアのほとんどの地域で見られますよ。また、国内のその他の地域への販売も伸びてきています。
この6月には、シチリア州の主催で、サン・マリーノで開催された「シチリア州の特産食品展」(Le tipicita’della Regione Siciliana :A San Marino con i Sapori di Sicilia) にも参加し、様々なバイヤーやジャーナリストと興味深い出会いを持つことができました。
一方、海外へはいくつかのバイヤーとコンタクトを取っているところです。今までに、チェコ、マルタ、米国、ルーマニア、フランス、ドイツの見本市に参加しました。これからも、内外の見本市出展など積極的に行ってゆきたいと思っています。」

顧客との信頼関係が何より大事
市場の状況はどうだろうか?
「カッルーバは生産地域が限られている上、実は加工も簡単ではありませんので、同業者と相争うという状況ではありません。しかし、逆に、生産地以外ではあまり知られていない果実でもあり、そのような場所で当社の製品を紹介するには辛抱が必要です。
チョコレートなど他の製品との競合はありますが、カッルーバの栄養分の高さ、そして美しいパッケージングにより、競争力を付けることができると思います。当社の強みは、何と言っても、製品の質の高さと素材の純良さに裏づけされたオリジナル性にあると思います。」

イタリアの、しかもシチリアの会社と聞くと、"日本の会社と比べて期日などにルーズなのでは?"という考えがつい浮かんでしまうが、律儀なジョヴァンニさんとお話をすれば、そのイメージは払拭されるはずだ。
「私が仕事をする上で最も気を付けていることは顧客への配慮です。約束を守る、私達の会社や製品の情報はしっかりと身に付けておき、新製品についても詳細な資料で説明ができるようにする、製品の引渡しの期日は正確に守る、以上のようなことに気を配っています。そうすることで、会社と顧客との協力関係が続くでしょうし、それこそが企業経営の基本だと思います。」

最後に、今後の展望を尋ねてみた。
「私が今までに働いてきた中で得られたことを大事にしていきたいです。どうしても避けられなかった失敗も私の宝です。そこから自分をより良くしていくことができますし、会社の強化にもつながります。
今後は、決して製品の質の高さを失うことなく、新しい市場を獲得しながら細かな販売網を形成していきたいです。そうして、さらに競争力をアップさせるために、新しい投資を行うことができるようになればいいですね。」

新しいパッケージングや、新しい製造設備の導入、新製品開発などいくつかの重要事項については、社内での議論後、若きジョヴァンニさんが決定することもあるという。 父親の興した会社の発展を担うジョヴァンニさんの今後の活躍に期待したい。
(K.Maruyama)

KARRUA SAS
VIA VANELLA 191 SN
97010 FRIGINTINI - MODICA(RG)
TEL&FAX: 0932/774309
E-mail:info@karrua.it
URL:http://www.karrua.it/


 

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