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ITALY NEWS

イタリア中小企業訪問
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2006/5/31 
 

イタリア中小企業訪問

食ビジネスにかけるイタリア企業家(7)
IASA s.r.l.

アマルフィ海岸からイタリア初の
瓶詰ツナを製造





みなさんは瓶詰のツナ(まぐろ)を食べられたことはあるだろうか。フレーク状になった缶詰のものとは違い、しっかりと身の形を残し、ツナの風味も保たれたものだ。今回の中小企業訪問では、アマルフィ海岸の小さな町から高品質の水産物加工品を製造販売し、瓶詰ツナ製造のさきがけともなったIASA社の社長、ジョヴァンニ・ディ・マウロGiovanni Di Mauro氏にお話をうかがった。

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IASA社について
IASA社の歴史は、ディ・マウロ氏の先祖が1900年代初頭にアマルフィ海岸の漁村チェタラCetaraで始めたアンチョビの塩漬け業に遡る。1969年に、現在のIASAの名前で有限会社形態になり、場所をコローニャ・ディ・ペッレッツァーノという町に移した。そして、1980年にはツナの缶詰、85年にはツナの瓶詰製造を開始。現在ではこの瓶詰ツナが同社の主力製品となっている。

「製品ラインは6つあります。最も古くから製造しているアンチョビの塩漬け、アンチョビの缶・瓶詰、そしてチェタラに古くから伝わる伝統の品コラトゥーラ・ディ・アリチColatura di Alici。これはアンチョビから採れる魚醤で、パスタやサラダ、魚料理などの調味料として使われます。その他に、アンチョビのペースト、鯖の瓶詰なども製造しています。そして、主力が瓶詰ツナの製造です。背の高い瓶に加工したツナの切り身を入れて蓋をしたもので、1985年に当社が発明して市場に導入しました。」
この瓶詰ツナは大成功を収め、その後多くの追随者が出て、今ではすっかり市場に定着している。
「瓶詰ツナにはいくつか種類がありますが、当社の特徴は"白ツナ"の瓶詰も製造していることです。"白ツナ"とはびんながまぐろのことですが、デリケートな味わいで専門家に大変評価されています。」

現社長のディ・マウロ氏はチェタラ出身だが、大学はミラノのボッコーニ大学へと進み、1965年に経済学部を卒業した。そして、兵役に就いた後、ミラノ近郊の会社で6ヶ月の研修を行い、家業に携わるために地元に戻ったのだという。

高品質で身体に良いツナ
現在、IASA社の社員は42名。原材料購入から製造プロセスまで、高品質を維持するために細心の注意を払っている。
「最も大事にしてることは、最高品質の素材をリサーチして獲得すること、そして製造加工段階での配慮です。アンチョビ、鯖などはすべて地元の会社から新鮮なイタリアのものを購入しています。ツナに関しては、"イエローフィン"と呼ばれる種類はインド洋から冷凍されたものが、そして"ブルーフィン"と呼ばれるものは地元の企業から新鮮なものが届きます。"ブルーフィン"は夏の時期に地中海で獲れる高価なものです。日本で人気のある赤身のツナです。ツナは小さなサイズのものを選んでいます。その方が肉が柔らかく、味わい深いのです。」

ツナは衛生管理された工場で切り身にされ、洗浄の後に蒸し煮にされ、乾燥。それから、手作業で身に残った皮や骨などを手早く取り除く。この段階が従業員の衛生管理に最も気を使うそうだ。そして、瓶に詰め、オリーブオイルと塩を加えて、真空にして蓋を閉める。その後、消毒、冷却で一連の加工作業は終了。出来上がった瓶詰は、オイルと塩がツナの身にまんべんなくいきわたるよう数ヶ月ストックされる。
「添加剤や着色料などは一切使用しません。従って、当社の製品は安全で身体に良いものです。リン、たんぱく質、コレステロールを減らすのに役立つ不飽和脂肪酸に富んでいますよ。」

あくまでも品質が大事
「当社の製品は国内外の大手卸売業者を通し、イタリア国内の高級品に特化した店で販売されています。
90年代初頭までは、当社製品の多くが北イタリアの大部分の大手チェーンスーパーマーケットで売られていました。というのも、この時期まで瓶詰のツナを販売していたのは当社だけだったからです。しかし、その後、外国勢を含めいくつかの競合他社が、見た目は同じような瓶詰めの、しかし品質の劣る価格の安い製品を市場に出してきました。卸業者たちは、私たちに同じような価格で販売するよう言ってきたのですが、そのためには質の悪い素材を利用しなければならないし、加工段階もいい加減にならざるを得ない。私たちは堂々と拒否しました。しかし、そのために大手チェーンスーパーから私たちの製品は退出せざるを得ませんでした。
ところが、現在、あらたに3つのスーパー(一つは大手、2つは中規模)で売られるようになりました。おそらく、市場のグローバル化に伴い、大手ディストリビューターの政策が変わってきてるのでしょう。彼らのいくつかは、高品質かつ適正価格の商品を扱うことで顧客の満足を取り戻そうとしています。」

製品の品質の高さについてどのように訴求しているのだろうか?
「私たちの製品の質の高さは、重要な見本市に参加したり、オペレーターに紹介することで宣伝しています。また、代理店を通して販売場所を定期的に訪れて、新製品の宣伝にも努めます。予算の範囲内でテレビ広告なども行っています。」

では、ディ・マウロ社長が経営上大切にしていることは何だろうか?
「現在も市場は消費減退の影響を受けていますが、当社としては"高品質"を目指し続けることが大切だと思っています。しかも、競争力を維持するには、品質と価格の釣り合った製品を出す必要があります。そのために、コストをなるべく抑える経営をし、素材の品質はハイレベルに。製造プロセスでは最大の注意を。そして、革新的な製品をリサーチしていくことにも気を配っています。古くからの伝統をベースにした特別な食材分野、あるいは全く新世代の分野で、先鋭的な製品を出していきたいですね。」

1980年にそれまで扱っていなかったツナ製品へ進出したのは、あまり品質の高くない缶詰ツナ市場に高品質のもので打って出ることができる、という判断だったという。そして、85年に瓶詰のものを開発したのは、同社のツナの質の高さをより良く味わってもらえるうえ、中身が外から見えるという利点もあったからだそうだ。現在でもIASA社の瓶詰ツナはどこよりも最良のものだと胸を張っておっしゃる姿が印象的だった。私も試食させていただいたのだが、とにかく「美味しい!」の一言。ツナ缶なんて別物、一体今まで何を食べていたのか、と思ってしまった。
南イタリアの小さな町で、水産加工の伝統と新しいアイデアを融和させて、倦まず弛まず質の高い製品を作り出すIASA社のような会社が、イタリアの食文化をしっかりと支えているに違いない。  (K.Maruyama)



IASA s.r.l.
Via Nofilo, 43 - 84080
Cologna di Pellezzano (SA)
Tel: 089-566347/089-566562
Fax: 089-567058
E-mail:iasasrl@tin.it
URL:http://www.iasa.it


 

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