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ITALY NEWS

イタリア中小企業訪問
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2006/2/27 
 

イタリア中小企業訪問

食ビジネスにかけるイタリア企業家(5)
Nonis e Maddalena

アカデミックなマチェッライオが経営する精肉店





豚、牛、鶏、七面鳥など肉を使った料理はイタリアの様々なメインディッシュを構成する。だから、精肉店マチェッレリアはイタリアではとても大切な職業だ。大都市ではスーパーマーケットで買い物をする人が増えているものの、マチェッレリアは町のあちこちに今でも普通に存在している。
今回の中小企業訪問でお話をうかがったのは、イタリア北東部ヴェネト州のチント・カオマッジョーレという町でマチェッレリアNonis e Maddalenaを経営するファブリツィオ・ノニスFabrizio Nonis氏。彼の凄いところは、小さな町の単なるマチェッライオ(精肉店で働く人)に終わっていないところである。彼の活動をご紹介しよう。

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精肉店の未来はガストロノミーにあり
チント・カオマッジョーレは、ヴェネト州ポルトグルアーロ市とフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州ポルデノーネ市との間にある人口約2万人の町。その町の1800年代の建物の中にマチェッレリアNonis e Maddalenaはある。ファブリツィオさんのお父さんチェルソ・ノニス氏が始めた精肉店だ。1982年にルイジ・マッダーレナ氏が共同経営者として加わって会社形態となり、現在の店の名前になった。 ファブリツィオさんがお父さんの後を継いで店の所有者になったのは1996年のこと。以来Fabrizio e Nonisは、単なる精肉店から、お惣菜も置くガストロノミーの部分を拡大してきた。

広い店内に入ると17のショーケースが並ぶ。生肉を扱うコーナーの他、サラミなど地方の特産品、ラザーニアなどすでに調理してあるもの、そして地元のワインなどが置かれている。
「私が所有者になってから店は大きく変わりました。面積を二倍にし、ガストロノミーの部分を加えたのです。それはどうしてかですって?精肉店の未来はガストロノミーへの発展にあると考えたからです。
従来の精肉分野は、大切な共同経営者であるルイジ・マッダレーナが取り仕切っています。彼は25年間、家畜の飼育に携わってきた専門家です。そんなトラディッショナルな部分に、インノベーションな部分として、リングアル(豚の舌をベースにしたソーセージ)など地元の特産品、そしてすでに調理してある品を置くようにしました。調理済みのものを扱うのは「家でゆっくり調理する時間がない」というお客さんのためです。」
扱う肉はどれも高品質、そしてそれらを利用して古くから伝わる地元の特産品を製造することに力を入れている。例えばリングアルはヴェネツィア共和国時代から伝わるもので、ヴェネト州とフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州の境辺りで食される。
従業員は10人。ファブリツィオさんは他の5人と販売面に関わっている。実際に肉の処理作業を行っているのは2人、そして店内の台所で調理する人たちがいる。

ファブリツィオさんの経歴を尋ねてみた。
「私はカナダのトロントにあるカレッジで2年間企業マーケティングについて学び(注:ファブリツィオさんの家族はかつてトロントに住んでおり、彼はトロント生まれ)、その後こちらの家具会社で約1年間働きました。しかし、父親の具合が悪くなり、90年から店の手伝いを始めたのです。
精肉そしてガストロノミーについては、さまざまなイベントやコースに通いながら学びました。今でも常に勉強しています。でも、小さな頃から店のことは見てきたんですよ。私の父は、私が8歳の頃から休みの日には店のレジで手伝いをさせていたのです。」

アカデミックなマチェッライオ
ファブリツィオさんの活動は店の中にとどまらない。99年からはウンブリアにある味覚の大学Universita' dei Saporiの講師を務め、現在は同大学の北イタリア地区責任者である。
「以前、"カルネス・ガストロノミカ"というイベントを開いたのですが、それを見た大学の人が私のことを認めてくれました。大学では、肉の歴史や扱い方、調理法など精肉やガストロノミーに関するアカデミックなことを教えています。」 その他、『Papageno』など有名なグルメ雑誌に記事を書いたり、テレビに登場したり、フリーランスのジャーナリストとしても活躍中だ。さらに・・・・
「晩餐会やパーティーなど大きなイベントを企画するのも私の仕事です。そして、その際には必ず私の発言する場を設けるようにしています。実際に食べ物を口にする前に、それが一体どういうものか、どういった歴史があるのかを知ってもらいたいからです。ガストロノミーには歴史や伝統が隠れています。その土地の文化そのものです。」
「チューリッヒのイタリア領事館のパーティーで食の説明をしたり、先だってはミラノで開かれた旅行博BITのフリウリ州のコーナーに参加しました。それから、 トスカーナでもガストロノミーに結びついた食肉のコースを持っていて、そこでは試食ができるガイド付見学も企画しています。」

土地に根付いた食文化を支え、広めることを使命とするファブリツィオさんは、地元のワイン協会"Strada dei Vini Doc Lison Pramaggiore"にも加盟した。"Strada dei Vini(ワイン街道)"は、各地方のワインを広く知ってもらうため、地元のワイナリーやレストラン、特産品製造販売所などが一体となり、訪れる者を迎える組織だ。Lison Pramaggioreはポルトグルアーロに近いワイン生産地で、ここのStrada dei Viniでは4月末にワイン見本市、5月から9月にかけてはワイナリーでコンサート、11月末には新ワインの発表会などを行っている。

「マチェッライオは歴史ある高尚な職業です。そして、イタリアのすべてのマチェッライオの生きる道はガストロノミーにあると思います。」というファブリツィオさん。実は、彼と同様の考えを持つ友人がトスカーナにいる。「"詩人のマチェッライオ"として知られるダリオ・チェッキーニです。私は"アカデミックなマッチェッライオ"として、時に彼とコラボレーションしています。」

360度満足できる精肉店を目指して
ファブリツィオさんが店を経営する上で大切にしていることは何だろうか。
「品質、そして地元の伝統を守ることの他、客に対して親切丁寧であることを大事にしています。その点、私は従業員たちに大きな信頼をおいています。私は店を不在にすることが多いのですが、彼らがしっかりと支えてくれています。」
「私はNonis e Fabrizioを食文化を知ることのできる出会いの場所にしたいと思っています。肉が欲しいとやってくるお客さんに「それは何のため?」と聞いて、肉の選び方から、調理法、合わせるワインなど新しいアイデアを与えることができ、"360度満足できるマチェッレリア"でありたいです。」

最後に印象に残った彼の言葉をご紹介したい。
「私は、マチェッライオは"肉のサルトリア(洋服の仕立て屋)"だと思っています。かつては"大きな肩を持つ人"が必要だったかもしれませんが、現代の優秀なマチェッライオには、サルトリアのような繊細な仕事が必要だと思います。」

ファブリツィオさんは、とても気さくに、しかしとても熱く自分の仕事について語ってくれた。親から引き継いだ仕事と地元の伝統を守りながら幅広く活動する彼に、大いにエールを送りたい。   (K.Maruyama)



NONIS e MADDALENA
Via Roma, 96
30020 Cinto Caomaggiore (VE)
Tel/Fax: 0421-209592
E-mail:fabnonis@tin.it
URL:http://www.bottegadellacarne.it


 

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