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ITALY NEWS

イタリア中小企業訪問
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2005/3/1 
 

イタリア中小企業訪問


knitwear designer and consultant
Paola Barzano'

自然素材の女性向けニットウエアを製作





イタリアの中小企業を訪問していて感じるのは、「自分の好きなことをやっている個性的な人が多い」ということ。とかく大企業に就職することが大切だったりする日本と比べると、イタリアでは自分のアイデアで活き活きと働いている人が多い。

ミラノに住むパオラ・バルツァノPaola Barzano'さんもそんなイタリア人の一人と言える。ニットを中心にセーターやシャツなど女性向けウエアを製作するパオラさん。アトリエと呼ぶ仕事場は、職人工房のような雰囲気。ニット編み機が置かれた横には様々な色の毛糸玉が積まれ、隣り合う小さなショールームには彼女の手作りの製品が雰囲気良く展示されている。今回は、この素敵なアトリエの主、パオラさんにお話を伺った。

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パオラ・バルツァノさんのこだわりは、”自然素材”にある。ウール、カシミア、アルパカ、麻、綿と、すべての使用素材が自然のもので、化学繊維を使用したものは一切扱わない。それに加え、着色もすべて自然のものを使っている。サンダーウッドなどの樹木、アカネなどの草花、たまねぎ・・・。そんな自然の素材が生み出す色合いはとてもやわらか。若草のようなやさしい緑色を出すには、まずは青色に染め、そして黄色を重ねるのだそうだ。

もともとパオラさんは大学で建築を勉強した建築士。現在の仕事と全く畑違いなのでは?と思ったが、実は一貫性があった。それは彼女がこだわる”自然”。建築でも環境にやさしいバイオ建築家だったのだそうだ。とは言え、建築からニット製作者への転向には迷いはなかったのだろうか?

「なぜ建築家から転身したかというと、ウールなどの自然素材が大好きだったからです。特にその感触ですね。15年前にこのアトリエを開きましたが、問題はありませんでした。4年前に亡くなった親友のマッダレーナ・シストが勇気付けてくれたのです。イラストを描くアーチストでもありジャーナリストでもあった彼女は、ファッション雑誌ヴォーグで働いており、私を助けてくれました。」

「まずは品質の良い素材を求めるためのリサーチを充分に行いました。カシミアはスコットランド、アルパカはぺルーやボリビアなどの南米から、と世界から高品質の素材を集めています。こういった素材は、各種見本市を通してリサーチします。今でも素材のリサーチを最も大切にしています。 また、初めのうちはすでに草木染めされた素材を購入していましたが、現在は染めもすべて私の家でやっています。」

「製作過程を説明すると、まずは何を素材にするかを考えます。それからその素材にふさわしい型・デザインを決めます。デザインに関しては、特に個人のお客様は身体にフィットするスリムなサイズのもの、そしてシンプルで女性らしい物を好みますね。デザインが決まったら、試作品をこのアトリエで作ります。ここで作るのはわずかな量ですが、たくさん製作しなければならない時は外部に依頼します。」

素材選びから染め、製作まですべて彼女が行っている。アトリエには仕事のオーガナイズを手伝う女性がもう一人いるだけだ。無理をせず、自分のできる範囲で楽しみながらやっている、そんな余裕を感じる。
従って、価格もさほど高くならない。
「このアトリエに来る個人のお客様に直接販売、そしてローマにあるいくつかのお店を通して販売しています。過去には日本やスイス、ドイツにも販売したこともあります。直接ここに来るお客様とお店との間で価格の差はつけません。基本的に自分一人でやっているので、価格は抑えられたものです。」

数ヶ月前からは毛布やテーブル掛けなど家庭用ラインも手掛けはじめた。
「最近は特に”ナトゥラーレnaturale(自然)"を前面に出し、このコンセプトを理解してくれるお店を選んでいます。プロモーションはあまりしていません。時折このアトリエに誰かがやってきてくれる、そんな感じです。自然志向の人は増えてきています。」
「こういった草木染めの色合いのものはあまりありませんので、お客様は戻ってきます。ミラノにはたくさんの衣料品のお店がありますが、仕事の仕方をしらないと思います。どこも同じ色で、モノトーン。だから、他の町のお店と働くのが好きです。」

染めは難しくないのかと尋ねた時、「難しくはありません。料理のレシピのような感じです。素材により違う反応をする。動物の毛は染めやすく、植物繊維は染めにくいのですよ」と、楽しそうに答えてくれた。
そんな自然にこだわるパオラは、平和を愛する人でもある。例えばボリビアのアルパカを購入する際、「素材が作り出される過程で子供が労働搾取されていないことをコントロールする」のだそうだ。
「エティカetica(道徳)」という言葉がパオラさんから出てきた。彼女の美学に従って作り出されたウエアを身に付ければ、自然のやさしさとエネルギーを感じられるに違いない。

アトリエには、彼女を励ましてくれたという親友マッダレーナさんのイラストがあちこちに飾られていた。ミラノの町で、友人に支えられて個性的なアトリエを開き、自分の好きなことにこだわり、活き活きと働くパオラさんを見て、イタリアの魅力を再発見できたインタビューだった。   (K.Maruyama)



Paola Barzano'
Via Carlo Farini, 6
20154 Milano
tel:(+39)02-29000834
(ホームページ)http://www.paolabarzano.it,


 

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