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ITALY NEWS

イタリア中小企業訪問
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2004/12/1 
 

イタリア中小企業訪問


Baldassare Agnelli Spa

コック向けにプロフェッショナルな調理器具を製造





イタリアに来れば美味しいイタリア料理を食べずに帰るわけにはいかない。日本と同様に豊かな食文化を持つ国であり、海の幸から山の幸までその素材を活かした料理は誰からも愛されている。そんなイタリアの食文化を陰で支えている、とも言えるのが調理器具。優秀なイタリアのコックたちは使用する調理器具もおろそかにはしていない。

今回は、イタリア料理の陰の立役者、プロフェッショナル用の調理器具を製造販売するバルダッサーレ・アニェッリ社を訪問し、輸出マネージャーのエリカ・グロッシさんにお話をうかがった。

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バルダッサーレ・アニェッリ社の歴史は1907年に始まった。ベルガモの小さな工場でこの年、イタリアで初めてアルミニウム製の鍋がつくられた。製作者はバルダッサーレ・アニェッリ。現社長の祖父にあたる人であり、その功労によりイタリア王国の騎士勲章を若くして得た人だ。会社は、アルミの特性を活かした質の高い製品を幅広く製造し、成功を収めた。

その後、息子のアンジェロ、そしてその息子で創設者と同名の現社長バルダッサーレ氏へと会社は引き継がれ、プロフェッショナル用の調理器具製造に特化した会社として、業界でもリーダー的存在となった。ベルガモのリッリオという町にある本社では現在約60名が働いている。製造もすべてリッリオで行っており、今ではアルミ製だけでなく、銅製、スチール製鍋など各種素材を使った大小さまざまなサイズの調理器具を手掛ける。鍋を中心に、その数は約3,000にもなる。
「私達の会社の第一の特徴は、料理をする人の要求を満足させるためにプロフェッショナルに徹しているということです。標準化したものやグローバル化したものが広がっている時代ですが、私達はいまだにそれぞれの必要性に合わせた鍋を供給しています。各自の要求に応じてあらゆる素材のあらゆる形の鍋をつくることができます。アルミ製の深鍋から銅製、テフロン加工、そして最近では金の鍋もつくりました。」と、エリカさん。

この”金の鍋”、銅製の片手鍋を24カラットの金箔で覆ったもので、均一で確実な調理を保証するのだそうだ。金には殺菌性があり、食物の酸に侵食されないと言う。
このように各金属はそれぞれの特性を持っている。特に大切なのが熱伝導。スチールの熱伝導率は16W/mkと低く、アルミは295W/mk、銅は392W/mkと高い。スチールよりアルミ、アルミより銅の方が熱が早く伝わるというわけだ。調理する食材、調理する段階などに応じて最も効果的に熱が伝わる素材を使うことが大事であり、それがエネルギー節約にもつながる。さらに考慮すべきこととして、素材の厚さや重さ、そして衝撃や摩擦などに対する耐久性なども挙げられる。衛生に関する法律に適したものでなければならないし、見た目も大切だ。また、鍋をつかむ取手部分もおろそかにしていない。

このように鍋製造にはさまざまな要素が考慮されている。使用する者もその特性を知らなければ、非効率な使い方をしてしまう可能性がある。鉄製の鍋はフライにしか適していないし、ステンレススチール製の鍋はお湯でゆでる料理に適している。食材が直接鍋に触れる調理にはアルミや銅製の鍋が適している。
「私達の顧客は、すばらしい料理を作るのにふさわしい器具をさがすシェフたちです。彼等は、食材だけでなく鍋の素材や形に大変注意を払います。最近は、プロ用の調理器具を探すグルメや料理愛好家も増えてきていますので、アマチュア向けにプロが使う調理器具一式を”プロメッシ・クオーキ”というセットで出しました。販売は基本的にホテルやレストラン向けに調理器具を供給する店を通しており、イタリアだけでなくヨーロッパの他の国にも出しています。」

「現在の市場についてですが、とても注意深くなっています。価格も大切ですが、それ以上に製品をより良く使うにはどうすればいいかという情報を顧客は求めるようになっています。そこで、私達はSAPSという非営利団体を設立しました。調理器具の素材や形、利用法を研究し、従来にはない方法でコミュニケーションすることを目的としています。」
SAPSの代表はバルダッサーレ現社長の息子アンジェロ氏が務める。有能なシェフたちが参加、協力して、本社リッリオにあるSAPS内で教室が開かれる。
「魚を料理する鍋、蒸し器、ダイエット用の鍋、パスタあるいは肉をサービスする際のフォークやナイフなど、プロ用の調理器具は増える一方です。その器具が生まれた理由などの歴史や製造過程、そして実際の正しい使い方を勉強するわけです。」
「本物のシェフなら知っておかなければならないこと」であり、イタリア料理大学などイタリア国内の料理学校やホテル学校、イタリアシェフグループNIC、スローフードマスターなど多くの団体や個人が参加している。

SAPS内には”鍋の博物館”もあり、創設者バルダッサーレ・アニェッリがつくった1900年代初頭の工場の様子が再現されている。1907年から始まった会社の歴史を誇る博物館だ。しかし、前進も忘れない。
「数年前に私達は、会社をどう発展させるかというポリシーについて明確にしました。それは、顧客側からの”知りたい”という要求に応えるということです。以来、技術や品質に関する情報を正確に伝えるように努めています。それにはエネルギーが必要ですが、最良の料理を実現しようとするプロフェッショナルな人たちにとって最良のパートナーでいたいと思っています。それが、さらなる製品の改良にもつながっていくのです。」

SAPSの授業で使われる”プロの調理器具”という冊子には、調理器具の歴史が書かれている。それは人間が火を使い始めた頃に使われた粘土製のものから始まる。今まであまり深い考えもなく使っていたが、調理器具には長い歴史があり、イタリアの豊かな食文化は調理器具の発展なくしてはあり得ないことを思い知らされた。そして、このバルダッサーレ・アニェッリ社のようなロンバルディアの小さな町で”プロフェッショナル”に徹して活動する会社が、その発展に貢献しているということを忘れてはならないだろう。   (K.Maruyama)



写真上:社長のバルダッサーレ・アニェッリ氏
写真下:製品の一部とSAPSの教室内

Baldassare Agnelli Spa
Via Madonna, s/n
24040 - Lallio (BG)
tel:(+39)035-204-711
fax:(+39)035-693-668
e-mail:info@agnelli.net
(ホームページ)http://www.pentoleagnelli.it, http://www.sapsitalia.com


 

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