0
ITALY NEWS

イタリア中小企業訪問
0
2004/11/1 
 

イタリア中小企業訪問


Prometeo

アルト・アディジェの伝統、陶器製ストーブを製造、販売





JIBO読者のみなさんは陶器製のストーブStufe in ceramicaをご存知だろうか。北イタリアのアルト・アディジェ州で伝統的に使われているストーブで、陶器で覆われており、薪を燃やして暖める。経済的で健康によく、美しい陶器が部屋のインテリアにもなる優れた暖房器具なのである。

今回は、ミラノで陶器製ストーブを製造・販売している会社プロメテオPrometeoを訪問し、代表のアレッサンドロ・アッツォーニ氏Alessandro Azzoni氏にお話を伺った。

*******************

プロメテオは約10年前にアレッサンドロ氏が1人で始めた会社。現在は3人の従業員と1人の秘書、計5人で活動している。ストーブのデザインから設置、アフターサービスまで一貫して手掛ける。

陶器製ストーブは、アルト・アディジェ州からオーストリア、スイスなどアルプスの山岳地帯で普及しており、この地方では一家に一台はあるほどだとという。普通のストーブだけでなく、台所用に窯やコンロと一緒になったタイプもある。長い伝統があり、16世紀に使われていたものがアルト・アディジェのお城などにも残っている。

寒さの厳しい山岳地帯で使い続けられているこのストーブは、だいたい人の背丈くらいの高さがある大きなものだが、すべてが手作り。外側は陶器で覆われ、内部には薪の煙がぐるりとくまなく移動できるような通り道が特殊なレンガで造られている。他の暖房器具と違うのがまさにこの点だ。すなわち、約900度の薪の熱は、この全長約5〜10メートルにもなる通り道を移動しながらレンガに伝わり、最後には冷たくなって煙とともに外へ出る。一方、レンガと外側の陶器は吸収した熱を少しずつ放出するという性質を持つ。結果、90%という高い熱効率が得られるわけだ。「薪を1時間燃やせば、火が消えた後でも12時間〜24時間はストーブの熱が残ります。12月までなら一日に1回、最も寒い時期でも一日に2回薪を燃やすだけで部屋の暖かさが保たれるので、大変経済的です。」

さらに健康に良いという利点がある。エアコンや金属でできたストーブなど他の暖房器具の場合、近くの空気を暖め、その暖まった空気は上に昇り、冷えて下がるという動きをする。空気は乾燥するうえ、循環運動する際に床のほこりを持ち上げてしまう。イタリアのアパートで壁に取り付けられたセントラルヒーティングの周囲が黒ずんでしまうのは、持ち上げられたほこりが付着するからだそうだ。また、暖められた空気は冷えやすく、暖房を切ると部屋はすぐに寒くなってしまう。
一方、陶器製ストーブの場合、熱を吸収した陶器が赤外線を放出し、私達の身体を刺激して暖める。赤外線の熱は均一で、極端に温度が高くなることもなく、持続性がある。そして、空気を乾燥させることもない。さらに、私達の交感神経をリラックスさせる効果もある。それは太陽の赤外線の作用と同じであり、アレッサンドロ氏曰く「家に太陽があるようなもの」。環境や健康に配慮するバイオ建築にふさわしい。

製造過程はどのようなものだろうか。
「まずはストーブを設置する場所に行って実査します。部屋の設計はどうか、何キロワットの熱量が必要かなどを調べます。そして、見た目にも機能的にも部屋に適したストーブをデザインし、プロジェクトします。依頼主からOKが出れば、必要な陶器やレンガを注文します。陶器はTHUNというボルツァーノの会社から購入しています。質の高い陶器を製造することで知られる業界のリーダー的な会社で、一枚一枚の陶器を手作りしています。この陶器作りだけで約2ヶ月かかります。陶器やレンガが届いたら、設置工事です。中くらいの大きさのものを設置するのに二人で1週間くらいを要します。従って、プロジェクトから設置終了までだいたい2〜3ヶ月はかかります。」
工事以外の実査からプロジェクトまではすべてアレッサンドロ氏が手掛けるという。
「できあがったストーブは試運転期間も必要です。従って、特に冬の時期に忙しいということはありません。年間を通して仕事があり、だいたい1年に50台近く設置しています。」

プロメテオの活動範囲は、ロンバルディア州、リグーリア州、ピエモンテ州などイタリア北西部、そしてスイスにも及ぶ。「プロメテオでは特にデザインのリサーチに重点を置いています。ミラノのあるロンバルディア州などは陶器製ストーブの伝統のない場所ですし、現代的な家も多い。それでもストーブの利点を知り、設置したいという人がいる。こういった需要に合わせて、従来の伝統的なものとは違うモダンなデザインを研究し、イメージマニュアルを作成しました。プロメテオの強みはまさにこのデザインのリサーチにあります。常に新しいデザインを提案することで差別化を図っているのです。」

一台一台が異なるオーダーメイドの陶器製ストーブ。一台がおよそ8,000ユーロから、と値段は必然的に高くなる。しかし、一旦購入すれば生涯使うことができるうえ、燃料費は安く、しかも健康によい。そしてアレッサンドロ氏が言うように「ストーブというより家具の一部」として部屋に設置することができる。
「お客さんの大半は個人です。新築する際に購入する人もいれば、既存住宅に設置する人もいて、その割合は半々くらいです。」
また、最近はイタリアやドイツでサウナや温泉を併設する健康に配慮したホテルが増えており、そういったホテルではサウナ、レストラン、スイートルームなどにこの陶器製ストーブを設置することが多いという。しかも、薪をくべる手間を省くために、温水を循環させて暖めるタイプのものが出ているのだそうだ。

「ストーブのデザイナー」と自らを称するアレッサンドロ氏。陶器製ストーブの良さを知り、そして新しいデザインへと展開できる魅力ある製品だと思い、この仕事を始めた、という。質の高い製品、そしてプロジェクトから設置後の維持管理まで質の高いサービスを提供し、顧客に最大の満足を与えるよう努めており、それがプロメテオの競争力にもなっている。
「プロモーションの場として、毎年12月にミラノで開かれる職人工芸品の見本市Fiera di Artigianatoへ出展しています。また、幸いにも多くのお客さんがプロメテオの製品に満足してくれ、そこから人伝えでさらにお客さんが広がっています。」
「日本でも使われるといいですね。陶器製ストーブの場合、実際に火を使うのは一日に1回か2回なので、地震の多い日本には良いのではないでしょうか?」

最後にプロメテオという会社名の意味について尋ねてみた。 「ギリシア神話の登場人物の名前です。ジュピター神から火を奪い、人間にプレゼントしたのがプロメテオでした。」 古い伝統あるものを大切にし、そこに新しいアイデアを加えて顧客へと伝えていく。アレッサンドロ氏がおこしたプロメテオの火は、きっとこれからも多くの人を暖めてくれるにちがいない。   (K.Maruyama)



Prometeo
23, Via Fratelli Wright
Settimo milanese
20019 Milano
tel:(+39)02-418117
fax:(+39)02-418117
mobile:(+39)348-3186185
e-mail:info@prometeostufe.it
(ホームページ)http://www.prometeostufe.it/


 

トップへ  
    

www.japanitaly.com