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ITALY NEWS

イタリア中小企業訪問
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2004/07/1 
 

イタリア中小企業訪問


J.AND.C. S.A.S.

コモから、絹たんぱく質セリチーナの
化粧品を発信





ミラノから電車で30分余り、風光明媚なコモ湖畔にあるコモ市一帯は、絹の産地として世界的に有名だ。1500年代にミラノ公爵ルードヴィコ・イル・モーロが養蚕をロンバルディア州で始めたことに起源を遡る。現在同地域では1000以上の企業が紡績、織物、染色といった絹産業に関わっている。

コモ市中心地から車で15分ほどのところにあるJ.AND.C.は、蚕の繭から絹糸を製造する段階で得られる絹たんぱく質セリチーナSericina、及びセリチーナを配合した化粧品を販売している。絹産地コモならではの商品だ。そして、高級絹を生産するコモだからこそ、高品質のセリチーナが得られる。

ミエーリ姉妹が二人で切り盛りするJ.AND.C.の活動について、妹さんのジャーダ・ミエーリJiada Mieliさんに詳しいお話をうかがった。

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J.AND.C.は1999年に設立された。ジャーダさんのお父さんがコモでも高級な絹の染色加工をする会社を経営しており、そこから絹たんぱく質セリチーナを販売するアイデアが生まれたという。

簡単にセリチーナについて説明すると、セリチーナ(日本ではセリシンと呼ばれる)は絹糸の周りを覆うたんぱく質成分で、21のアミノ酸からなる。絹糸自身もフィブロイーナ(フィブロイン)というたんぱく質からできているが、それを覆うセリチーナは、風雨や強い太陽の陽射しなどから繭の中の蚕を守るため、さまざまな大切な役目を持つ。中でも大きな役割が、繊維の中の水分を保つ、というもの。これで糸が切れない仕組みになっている。

では、どうやってセリチーナは作られるのか?「絹糸製造の際、繭から撚られた糸を浄化槽で洗いますが、ここでセリチーナは糸から分離します。そこで、この浄化槽の水をろ過します。これは24時間続きますが、そうするとジェル状のセリチーナが得られるわけです。それをすぐに調剤して使えるように粉末にします。ろ過用の機械は私達が特別に製造したもので、特許を持っています。この機械によって100%純粋なセリチーナを得ることができるようになりました。1,000リットルの水からだいたい80〜120キロのセリチーナが取れます。この機械を開発し、99年に会社を興したわけです。」

当初は薬品会社や化粧品会社にセリチーナを販売していた。しかし、販売しながら、彼らが化粧品に配合するセリチーナの量は0.001〜0.002%と本当にわずかで、単にラベルに「絹たんぱく質配合」と示すためだけに使っていることがわかってきた。そこで、2003年3月、セリチーナを3%も配合したオリジナルの化粧品ラインを立ち上げた。石鹸、ボディクリーム、フェイス・クリーム、髭剃り後のクリームの4点を揃えている。

セリチーナ3%配合の化粧品は他にはないと言う。「私達の祖父が絹糸事業を始めました。その後、父や叔父が会社を引き継いでいます。姉のクリスティーナも最初はこの会社で働いていました。そこで彼女はセリチーナの機能について研究したわけです。そして、3%というのが人体が吸収するのにちょうど良い数字であることがわかり、私達は自分たちの小さな化粧品ラインを出すことにしました。まずは保水効果を発揮しやすいしわ取りのフェイス・クリームから始めました。」

3%配合だけではない。J.AND.C.のセリチーナは特別な繭から作られ、高い品質を誇る。それは、お父さんの会社がアルマーニなど有名なスタイリスト向けにハイレベルな絹糸の染色・加工を行っているからだ。「繭の段階から特別なものです。実は、蚕の飼育はコモでは行っていません。すべて中国で繭まで作り、輸入しています。蚕の飼育は全くの手作業ですから、コスト的にイタリアでやることはもはや無理なのです。父の会社が中国で働いおり、そこでイタリア人スタッフが指導しています。従って、我々のセリチーナも高品質です。他のものと比べればすぐにその違いはわかります。」

桑しか食べない蚕が吐き出す糸なのだから、セリチーナの成分は全く自然なもの。オリジナル化粧品は薬品ではないが、皮膚科医が皮膚炎などに処方する。セリチーナが皮膚の繊維組織がくっつき合うのを助けるのだ。

販売方針も、このセリチーナの優れた効果を前面に押し出すようにしている。「粉末状のセリチーナの主な顧客は日本、米国です。今年からはイタリアの大手薬品会社ジュリアーニも購入してくれています。一方、私達のオリジナル化粧品はイタリア国内の薬局や私達の事務所で販売しています。化粧品店では売っていません。セリチーナの機能が何かよくわかって購入してもらうには薬局の方が良いからです。」

昨年3月から販売されたこのオリジナル化粧品の販売は上々だと言う。「昨年3月は市場はあまり良い時期ではありませんでしたが、私達はプロジェクトを前進させてきました。工業製品ではありませんから、販売量は多くはありません。大事なのは何よりも質です。一方で、購入しやすい価格で提供するようにもしています。幸い販売数が増えており、近々値下げの予定です。フェース・クリームは現在60ユーロですが、これが40ユーロに、ボディクリームは50ユーロから36ユーロになります。」
10月からは液体石鹸、シャンプー、リンスも新しくラインアップに加わる。「製造は外部に依頼していますが、技術者にはセリチーナ3%配合という高い品質に見合うものをつくるようリクエストしており、彼らもそれに応えてくれます。様々な人にテストする必要があり、ひとつの商品を出すまで9ヶ月はかかります。」

彼女のお祖父さんは自然の絹(seta selvatica)の染色に成功した人物。そんなお祖父さんを尊敬しているという。「祖父の代から"質"を大事にする精神が伝わっています。そして、現在は父や叔父の支えが常にあります。お互いに信用しあい、そして楽しみながら働いています。」
セリチーナ配合化粧品をもっと知ってもらうためにどういったコミュニケーションの方法があるか考えているところだというジャーダさん。「まずは姉妹二人が交替で薬局に宣伝していきます」と顔を輝かせながら話してくれた。祖父の代から続く絹に関わり、自身の商品を信じて正直に仕事をする姿が非常に印象的であった。   (K.Maruyama)




J.AND.C. S.A.S.
Via Oltrecolle, 32 22100 Como
tel:(+39)031-281569
fax:(+39)031-282250
e-mail:jandc-gm@libero.it


 

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