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ITALY NEWS

イタリア中小企業訪問
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2004/01/1 
 

イタリア中小企業訪問



PIMARIPI

ピマリピ




今回の訪問先はアクセサリーデザイナーのマリーア・ピナ・ピントゥスMaria Pina Pintusさん。自ら創作したアクセサリーを主に海外に向けて売り出す、クリエイティブな女性である。ミラノのナヴィリオ地区、リンギエーラと呼ばれる昔ながらのアパートにある自宅兼作業場におじゃまし、お話を伺った。

マリーアさんのつくるアクセサリーは非常に個性的だ。樹脂、川真珠、金属、ガラス、陶器などを自在に使い、シンプルなようでいて、華やか、そしてオリジナリティにあふれたアクセサリーを産み出す。高級な宝石・貴金属類は使わない。「高価ではないものを、自分の創造性を使っていかに高価な物にするかがおもしろい」と言う。

PIMARIPIというブランド名(彼女の姓名の頭文字をつなぎ合わせている)で、ミラノのエージェンシーを通して年2回コレクションを発表している。デザインし、モデルを作るのはすべてマリーアさん。コレクション後に発注を受け、注文品を製作する段階で外部の人2名に手伝ってもらうこともあるが、大事な部分はすべて彼女自信が請け負う。あくまでも彼女の嗜好を形にすることが大事であり、それは「金属を細工する技術ではなく、クリエイティビティが実を結んだもの」だからだ。

もともとはモードの仕事をしていた。15年ほど前にミラノのデザイン学校イスティトゥート・ヨウロペオ・デザインを出て、ニット関係のスタイリストとして約4年間働くが、企業で働くことに面白みを感じなかった。「自分の内側にあるクリエイティビティを外に出す必要がある」と感じる中で、ちょっとした冗談としてアクセサリーを作ってみたところ、それが友人達に大変好評だった。そこで、現在ともに仕事をするエージェンシーにコンタクトをとり、作ったアクセサリーを紹介してみたところ、エージェンシー側から彼らのラインとしてデザインするよう提案があり、そこからすべてが始まった、と言う。さらに、以前働いていたモード関係の友人を通じて、彼女のこの新しい仕事は広まっていった。例えば、ミラノにあるウエディングドレスを販売する会社に協力、新婦用ティアラなどを作ったのもそうだ。一昨年トラサルディのために働いたのもそう。友人が彼女のアクセサリーを身に付け、それが宣伝になった。バングラディッシュの女性を助ける基金に協力したりもする。

材料は専門の卸売り屋から購入。どういった素材を使うかを考えるのも楽しいという。製作に広いスペースは必要ない。彼女の自宅にある15ほどの小部屋が作業場、樹脂を固めるのは家庭用オーブンだ。ひとつの作品をつくるのにおそよ半日を要する。年2回発表しているコレクションはちょうどモードの春夏コレクションの時期と一致する。一回のコレクションに約45から50の作品を発表。ネックレス、指輪が主だが、イヤリング、ブレスレット、ベルト、さらには彼女のアクセリーで装飾されたランプやワイングラスなども手掛ける。価格はだいたいネックレスで150ユーロ前後、指輪で120ユーロくらいだ。
「イタリアというのは職人を大切にする国ですが、手作業の仕事をしてくれる人を見つけるのは難しくなってきています。市場をより貴重なものにするという意味では良いことなのかもしれませんが・・・。しかも、私は細かい性格で、人に託すのが苦手です。実際、私の手で作った物でないことが目に見えてわかる時があります。だから、余裕をもって仕事をするようにしています。」

彼女のエージェンシーはミラノとパリにショールームを構えており、主要な客はアメリカや日本など海外のお店だ。
マリーアさんは言う。「イタリアにはたくさんの同業者がいて、あまり”スペース”がないというのが実状。私の作品が高い評価を得られ、そしてそれに見合う報酬があるのは海外なのです。従って、海外に出ていく方を私は好みます。」
今シーズンからは男物アクセサリーの製作を始める。これも実は海外から出てきたアイデアだ。昨年ニューヨークに行った時、彼女のはめている指輪に興味をもったクライアントが、男性用に作ってみないかと持ちかけた。「最初は”男性用の指輪”というアイデアに驚きました。イタリアだと”ゲイがするもの”という偏見がある。そんなことにとらわれない新しい発想をもらうには海外に出ていくのがいい。」
「私は同じことを続けると飽きてしまう性格なのです。今はカバン用のアクセサリーについて考えています。布地と一緒にどう作るか、ある企業と協力して進めています。この企業はイタリアだけでなく、アジアでも製造しています 。」

ほんの冗談のつもりで始めたアクセサリー作りを彼女の才能と幸運がここまでの仕事に広げたと言える。「ラッキーだったと言えばそう言えるでしょう。私自信は自分をPRするのは苦手です。でも、常に自分のやる事に対して愛情と情熱を注いできた。それが受け取る人に通じるのではないでしょうか。納期に遅れたりすることもありますが、作るということに対してはプロフェッショナルに徹しています。大きな問題も今のところありません。」
「税金を多く取られますし、国の援助もない。経済的な面でイタリアはあまり良い国とは言えません。でも、製作の場を海外に持っていこうという考えは今のところありません。先に言ったように、伝統や偏見にとらわれすぎているというマイナス面もあります。特に私が生まれたサルデーニャはそうです。前に進まず、過去ばかり見ている。でも、そういった過去の歴史があるというのは、やはり美しいことでもあります。昨夏ニューヨークに行った時に、そう思いました。すべてが近代的で新しいけれど、イタリアの町を歩いて感じる面白さがない。イタリアでは創作のヒン トが町の中にあります。だから、私はいつも鉛筆とノートを持って出かけるのです。」

「皆が作るような物には興味がない。自分の作るアクセサリーはニッチな層に受け入れられている」とおっしゃるマリーアさん。自らが愛情と情熱を込めて作ったものが受け入れられるということはとても幸せなことなのだろう、と彼女の活き活きした表情を見て思った。彼女の好奇心とイタリアという土壌が生み出す創造性がこれからどのように発展していくか、とても楽しみである。   (K.Maruyama)

写真説明(上から)
上:作業場のマリーアさん
下:アクセサリーの一部(ネックレス、指輪、ネックレスとイヤリングのセット)


PIMARIPI
Corso San Gottardo 3
Tel 3394592128


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