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ITALY NEWS

イタリア中小企業訪問
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2003/10/1 
 

イタリア中小企業訪問



Arte del Ricevere s.r.l.

お茶の文化を柱に”もてなしの芸術”を広める




イタリアにはたくさんの元気な中小企業が存在するが、ミラノでは最近、女性起業家の数が増えている。ロンバルディア州が、会社を設立しようという女性に資金援助を行っており、援助への申し込み数が年々増加中だという。今回は、この支援を受けてお店を開いた女性起業家のひとり、フランチェスカ・ナターリFrancesca Nataliさんを訪ねた。

もてなしの芸術

「アイデアを現実にするのは難しい。でも、私の仕事は情熱から始まったの」と語り始めてくれたフランチェスカさん。穏やかな笑みの中に芯の強さを感じさせる、美しい女性だ。彼女の情熱の対象はずばり、会社名にもなっている”アルテ・デル・リチェーヴェレArte del Ricevere(もてなしの芸術)”。家を訪れる客人たちに心地よい時間を過ごしてもらうにはどうすればよいか、というのがこの”芸術”の基本。フォーマル・インフォーマルなパーティーの開き方、インテリアのヒントやテーブルウエアの並べ方、カクテルや食事のレシピ等々を、素人あるいはホテル等に勤めるプロの人たちにレッスンする。インターネットサイトでレッスンの紹介をしたり、つい最近には同名の本”Arte del Ricevere"を出版した。

さらに、ミラノとコモでお茶の専門店を経営する。彼女にとってお茶はまさにもてなしのシンボルだからだ。「一杯のお茶を出すことは客人に歓迎の意を表します。しかも、お茶は世界の多くの国で親しまれている。」

フランチェスカさんの経歴を簡単に紹介すると、ミラノの有名なデザイン学校イスティトゥート・エウロペオ・デザインでグラフィックデザインを学んだ後、父親のグラフィック会社を継ぐ。その後もヴィジュアル・マーケティングや企業経営のためのコースに通い、1999年に”Arte del ricevere”を会社登録。それから2001年までは「創造の時代だった」と言う。夫の転勤でフランスに移り、そこでお茶の店を開く上で重要なパートナーと出会う。「情熱と幸運、そしてグラフィックデザイン、これらのことが一緒になって今の仕事が生まれた。勉強したグラフィック・デザインは、お店のインテリアやパッケージデザインなどに役立っています。」

アイデアが実際に開花したと言えるのが2001年3月。インターネットサイトwww.artedelricevere.comを立ち上げ、”もてなしの芸術”についての考え方をサイト上に形にし、まずは幅広く知ってもらうことに専念。その後2002年9月、前述したお茶の専門店”ラルテ・ディ・オッフリーレ・イル・テL'arte di offrire il te'”をミラノに開く。今年6月にはコモに2店目を開いたばかりだ。

お茶の心

フランチェスカさんのお茶への興味は子供時代に遡る。午後にイングリッシュ・ティーをたしなむ習慣のある家族だったという。そして、現在、彼女の”もてなしの芸術”はお茶を中心に広がりつつある。「お店では、単にお茶の葉を売るだけでなく、水曜日と木曜日にはお茶の入れ方、作法、歴史などを学べる講習会を開いています。というのも、イタリアはコーヒーの国。紅茶の入れ方さえ知らない人が多いのです。まずはお茶の正しい入れ方を教えることから始めます。それから、各国のお茶の歴史や哲学、ひいては”もてなしの芸術”を広めることができればと思っています。お茶を飲みながらお客さんとじかに接することができる利点もあります。講習会に来てくださる方は長居をされるのですよ。それだけ私達の提供する場所が居心地がいいのだと思っています。」

ミラノのお店は、ポルタ・ヴェネツィアに程近い、マチェドニア・メッローニ通りの一角にある。会社のイメージカラーであるボルドーとグリーンの色調でまとめられた店内に入るとすぐに、茶葉の入った缶が並んだ棚が目に入る。モロッコや中国、日本の茶器や湯のみ、お茶を使った石鹸や香水など、お茶に関わるものも色々置かれている。

販売の責任者はイザベッラさん。ミラノの高級食材店ペックで紅茶販売を担当していたというお茶の専門家で、親切に店内を案内してくれた。「インドや中国などで生産される紅茶やウーロン茶、グリーンティーなど100種類近くのお茶を置いていますが、あくまで選りすぐりの高品質のものしか扱っていません。それから、バニラの香りだけを付けたようなものは置きません。私たちの販売しているアロマティーは、自然の素材 - 例えばバラの花びらや色々な木の実など - を数種類混ぜ合わせて作っています。その方がずっと美味しくなるんです。日本のお茶は玉露やくき茶、煎茶、抹茶、それに甘茶もありますよ。」

茶葉の生産者は世界中に大小数多くあり、品質の鑑定を含めリサーチはとても難しいらしい。幸いフランチェスカさんの会社は、フランスの有名な紅茶専門店”レ・コント・ド・テ”と提携、同店の茶葉をイタリアで独占販売している上、茶葉に関して大変貴重な情報を得られるという。前述した「フランスで見つけた重要なパートナー」だ。ただし、単独でもリサーチを怠らない。この9月から販売し始めたヴェトナムのお茶は彼女達が探し出した。

店を訪れるお客さんはさまざまだが、一般的な紅茶よりもグリーンティーがよく売れるという。「ただ、日本の緑茶はまだこれからです。イタリア人には日本茶の苦味、香りはまだなじみが薄いのです。」茶葉は基本的には量り売りだが、ホテルやレストランルートを考慮して袋入りにした物も売っている。また、今月からはお菓子屋さん向けに特別包装をした商品の販売も開始する。

競争はないの?とフランチェスカさんに意地悪な質問をしてみたが「競争があるというのはマーケットが存在するということで、むしろ喜ぶべきこと」と、さらりと答えが返って来た。「トワイニングなどスーパーなどのルートをほぼ独占しているところ、茶葉だけを売っておしまいのところとは全く違います。私たちはあくまで “もてなしの芸術”の考えと一緒にお茶を売っているのです。アルマーニ・カフェや有名ホテルチェーンなどが顧客にいますが、こういったプロフェッショナルなお客には、必ずお茶の入れ方や文化の講習を行うようにしています。お店で水曜と木曜に開いている講習会は、来てくれる人が一人でも開きますよ。」 今後の成長に関しても貪欲だ。今年の11月からお茶の講習会をマルゲーラ通りにあるスパツィオ・モンダドーリでも開くことになった。現在、すべてのモンダドーリ書店に宣伝パンフレットが置かれている。さらに、お茶の専門店“ラルテ・ディ・オッフリーレ・イル・テ”を増やしていく方針だ。「簡単に言えば、今イタリアで普及しつつあるフランチャイジング形式。 でも、あまりこの言葉は好きではないので、イタリア語で“boutique mono marca a gestione coordinata(共同経営による単一ブランドのお店)”と呼んでいます。」“もてなしの芸術”の考え方を理解し、一緒に広めてくれるパートナーを求めて、この10月から業界雑誌に広告を出す。「イタリアにお茶の文化を浸透させていきたいと思っています。」

自身の情熱を大事にし、着実に歩を進め、将来を見据えていく。たおやかな雰囲気のフランチェスカさんの中に、大胆かつ冷静な女性起業家の姿を見ることができた。今後の“もてなしの芸術”の発展が本当に楽しみである。   (K.Maruyama)

写真説明(上から)
フランチェスカさん(右)とイザベッラさん
商品のいくつか


Arte del Ricevere s.r.l.
Via Macedonio Melloni, 35 - 20129 Milano
Tel: 02-2826293
Fax: 02-2829753
http://www.artedelricevere.com


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