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ITALY NEWS

イタリア中小企業訪問
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2003/04/1 
 

イタリア中小企業訪問



Lagente

クリエーティブ・ビジネス・コンサルティング




ラジェンテ社の業容を一口で説明するのは難しい。平たく言えば、主に繊維・ア パレル業界において、フリーランスのクリエーターと企業のマッチングを行い、 クリエイティブ・プロジェクトが成功するべく必要な諸サポートを提供するこ と、とでも言えようか。ファッション、デザインの首都ミラノならではのビジネ スである。

具体的に説明しよう。まず第一に、クリエーターの活動へのサポート。これは、 クリエーター一人一人の個性をよく理解した上で、クリエーターにもっとも適し た仕事場を探しあてることから始まる。ここでいうクリエーターとは、八割が ファッションデザイナー、残りの二割はアーティスト、建築家、コンサルタン ト、そしてその他の専門家(教授など)である。たとえばあるデザイナーが、自 身では「ゴルティエ」タイプの仕事ができると思っていても、実のところは 「マックスマーラ」向きだということがある。そのあたりを的確に見極め、アド バイスしていくことのできる確かな鑑識眼が、ラジェンテ社が持つ大きな付加価 値の、まず一つである。
コラボレーション先の企業が定まってからも、契約などの法的な部分や実務面で クリエーターをサポートし、プロジェクトがよりよい結果を生むよう、両者の円 滑な関係を最後までコーディネートする。
第二に、企業のクリエイティブ・プロジェクトへのサポート。自前の幅広いクリ エーターネットワークを生かし、企業のニーズに最適なクリエーターを探しあ て、プロジェクトを成功に導くべく、クリエーターと企業をコーディネートす る。さらに、必要な場合には、一人のクリエーターのみならず、企業のプロジェ クトの実現に必要な専門家からなるチームを構築し、プロジェクトの遂行をサ ポートする。

活動分野は主にアパレル分野で、オートクチュール、プレタポルテ、ニットウエ ア、皮革アクセサリー、高級ジュエリー、スポーツウェア、下着、ジーンズ、テ キスタイルと、幅広い部門を取り扱う。クライアントリストにはイタリア内外の 一流のデザイナーブランドがごっそりと名を連ねる。

創業は94年。ダヴィデ・ダッローモ社長はもともと法律関係の仕事に携わってお り、企業との契約の上でサポートを必要とする多くのクリエーターたちの支援に 当たっていた。やがて、独立。当初は肖像権や著作権の保護も含めた、クリエー ターの法的・契約面でのバックアップ、そしてクリエーターが彼らの創造性を最 大限発揮できるような仕事場探しなど、クリエーターへのサポート業務を専門に 行っていたが、クリエーターの仕事先を探す過程でさまざま企業と関係を構築す るうちに、徐々に企業側からも「実はこういう人材を探しているのだが…」とい う依頼を持ちかけられるようになった。さらに、一人のクリエーターにとどまら ず、企業のプロジェクト遂行のために必要な諸人材を特定し、プロジェクトチー ムを立ち上げるというように、業務の幅が徐々に、「結果的に」広がっていった という。

ときに「ヘッドハンティング」業務をしていると誤解されることもあるが、クラ イアント企業のために他の企業から人を引き抜くことは行っていない。あくまで も、フリーランスのクリエーターや専門能力を持った人材の紹介だ。
企業のフリーランスクリエーターに対するニーズは、何よりも「変化」。とくに 年二回のコレクションごとに人々を驚かせることが要求されるファッションの世 界では、自然、フリーランスの“新鮮で自由なアイデア”が求められる機会が多 い。
もともとイタリアの場合、雇用制度の特性もあって、企業のお抱えにならずに、 フリーランスとして働くクリエーターが多いのだ。

今日、ファッション業界も世界的な景気停滞の影響を受け、企業経営は決して楽 ではない。業界に共通する深刻な問題は減少する一方の売上げ。いかに利益を出 すか ― そのために戦略を立てるのはいいが、真の問題は、多くの企業自らが抱 える問題が何かということをきちんと把握できていないことだという。あるい は、問題が何かということをわかっているつもりでいて、見当違いをしているこ ともある。しばしば企業の問題というのは内部からは見えにくいものだ。そこ で、企業からあるプロジェクトの遂行支援の依頼を受ける際には、まずそのリク エストがその企業の真のニーズに見合うものであることかどうかを分析すること から始まる。

たとえば、売上げを伸ばすためにこれまでにないテイストを持つデザイナーによ る商品開発に取り組みたい、という企業からのリクエストがあったとする。する と、売上げを増やすという目的のために、新しいデザイナーを起用することが真 に効果的な解決策であるのかどうか、そうでないとしたら商品開発(デザイン) という部分以外の、製造、PR、販売など、一連の企業活動分野のどこに売上げが 伸びない真の原因があるのか、などについて入念に分析する。その結果、企業か らの要請が「まとはずれな」ものであるとわかった場合には、クライアントが立 てた方法論そのものから軌道修正しなければならない。

プロジェクト遂行のために必要なプロジェクトチームを立ち上げてくれるだけで なく、企業が抱える真のニーズに対するプロジェクトの整合性まで分析してくれ るというのだから、企業にとってこれほどありがたいことはない。しかし、「企 業の中のさまざまな業務のセクションが関わってきますし、またファッション業 界でも集中が進み、ひとつのグループ会社がいくつもの会社やブランドを持って いるケースが少なくありません。そのような環境下でのわれわれの仕事は複雑を 極め、業務を進めるにあたっては細心の配慮が不可欠です。われわれが請けた仕 事に対して真に誠意と情熱を持っていなければ、できることではないかもしれま せん。」

日本企業とのコラボレーションも始まっている。実はラジェンテ社には日本人ス タッフがいるのだ。日伊間でビジネスをする際、言葉の障壁はもちろんのこと、 商習慣や文化の違いなどから本来のビジネスリスク以外に生じうる問題を回避す ることができるというのは大きい。
現在進行中のプロジェクトは、「ヨーロッパのデザイナーを起用して新しいブラ ンドを立ち上げたい」というアパレル企業とのコラボレーション。まずは、ラ ジェンテがもつクリエーターのポートフォリオから、新ブランドのコンセプトを にらみつつ、数人のデザイナー候補を選出し、企業側(プロジェクト)とデザイ ナーをマッチング。デザイナーが決まってからはブランドの立ち上げに向けて、 アパレル企業、デザイナー、ラジェンテの三人四脚が始まった。基本的なデザイ ナーと企業との契約のフォローアップに始まり、プロジェクトがよりよい結果を 生むようにさまざまなサポートを行う。なかでも、デザイナーが毎シーズン提案 するディレクションに対して、企業側の反応をデザイナーにフィードバックし、 次回の提案に反映させていくのは重要なプロセスだ。本来であればメーカー、デ ザイナーの間で直接やり取りを交わすことができれば理想的であるが、やはり微 妙な言葉の問題や生活習慣、季節感などの違いがあるので、そこはラジェンテが 間に入り潤滑油の役目をはたす。
もうひとつ、現在取り組んでいるのはイタリア人デザイナーの独自企画を日本の メーカーにぶつけるプロジェクト。そのイタリア人デザイナーは、以前に日本企 業とともに仕事をした経験から、「日本のマーケットには、このようなことをし かけたらもっと面白いのではないか」というアイディアを持っており、そのアイ ディアを実現させるために日本企業とのコラボレーションの可能性を探ってい る。
日本のマーケットはある意味で特殊であるが、特定のヨーロッパブランドは非常 に成功している。それがなぜうまくいっているのか、ヨーロッパのデザイナーの 視点で分析した上で日本企業に新たな提案する。日本では皆、常に新しいものを 探しており、新しいマーケットをつくれる可能性があるという。

今日でもファッションといえばフランス、イタリアが世界の中心。だが、「日本 はリサーチに始まり、それを入念に分析、企画し、その結果新しいプロダクトを 生み出していける、つまり《プロジェクトする》ことができる、唯一の国です」 とダッローモ社長の日本に対する評価は高い。一方、ヨーロッパやアメリカのア ルタ・モーダは、《プロジェクト》することなしに、すでにあるものの中からア センブルするだけの《スタイリスト》ばかりになってしまった。これではいず れ、先細りしてしまうのでは、と将来を憂慮する。
「将来成果を得るために、今日苦労や努力を重ねることのできるカルチャーが日 本にはあります。独自の文化や伝統を持ち、計画能力にすぐれた基礎力の高い日 本は世界をリードするためのすべての要素を持っているのです。これからも日本 との関係をできるだけ増やしていきたいと思っています」。


Lagente s.r.l.
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Email: lagente@tin.it
HP: www.lagente.it(4〜5月に完成予定)


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