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ITALY NEWS

イタリア中小企業訪問
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2003/01/1 
 

イタリア中小企業訪問

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Zeta S.p.A. 

アルチザンの伝統を受継ぐオフィス家具メーカー




ミラノ市の北に、ブリアンツアと呼ばれる地域がひろがっている。元気で小回り のきく中小企業に支えられた豊かな北イタリアの工業地域の一つだ。伝統的には 絹織物を代表とする繊維産業で知られるが、のちに木工業、そして第二次大戦後 は金属・機械産業が発達。今回訪問したオフィス家具メーカー、ゼータ社は、こ こブリアンツァにある。

創業は45年前。現社長、アンブロージョ・ゾルリーニ氏のお父さんが興した。創 業当初は、アルチザンスタイルの家具を、ブリアンツァに典型的な工房様式で生 産していたが、60年代以降の経済ブームによる需要急増の波に乗り、工業生産す るようになる。が、生産規模を拡大した後も、あくまでもブリアンツァのアルチ ザン家具の伝統に根ざした、質の高い家具作りに徹してきた。 80年代、オフィスオートメーションの到来とともに、オフィス用家具に転向。以 降、今日に至るまでオフィス家具の生産、販売に従事してきた。

ブリアンツァはカッシーナを始め世界に名だたるイタリアの有名家具メーカーが ひしめきあう家具産地でもある。競争の激しい今日のマーケットを、ゼータ社は いったいどのようにサバイブしているのだろうか。また、成長を続けるゼータ社 の競争優位はどのような点にあるのだろうか。


●アルチザンの伝統

「ゼータ社の強みは、アルチザンの伝統を受け継ぐ高品質の製品です。たとえ ば、この、木目のパターンをデザインとしてとりいれた会議テーブルも、その裏 には二千年の歴史を持つ木工職人の技が生きているのです」、とゾルローニ社 長。

実際、最新の生産設備を導入する際には、新しい機械を使うのに多少の戸惑いと 抵抗を感じる、常に手で仕事をしてきたジェネレーションと、目を輝かせて新し い機械を使う若い世代の間に葛藤が生じ、その溝をどう埋めるか、などの苦労が あるのだそうだ。ただ、最新の機械を導入しても、「木をどのように扱うべき か」に関する、長年の経験に基づいた人間の目による適切な判断は欠かせない。 木を扱うという古来の伝統的な技と、最先端の技術がうまくドッキングしていな ければならないのだ。

さて、この「伝統に根ざした高品質なオフィス家具」という強みを最大限生かす ためにも大切なのは、マーケットのニーズをいち早くつかみ、それに迅速に対 応、つねにマーケットが満足するような製品をつくり提供すること。たとえば80 年代、デスクまわりのオフィス機器はタイプライターが主流であったが、90年代 に入るとPCが普及、それもここ数年は薄い液晶画面やノートパソコンが増えてい る。このような一連のオフィスの環境の変化に応じ、オフィス家具も当然変化を 求められる。たとえば、今日オフィスはパソコンやその他オフィス機器をつなぐ ケーブル線であふれているが、5〜6年もして光ファイバーが普及すればこれらの ケーブルは不要になり、オフィスの机のケーブルを通すための構造・スペースは いらなくなる。さらに、液晶画面が完全普及すればオフィスの机の幅ももう少し 狭くていいということになるかもしれない。これは機能ということ以外にも、た とえば香港のようにオフィスの家賃が非常に高いところでは、一つ一つの机の大 きさがオフィススペース、ひいては家賃にも影響を与えかねないので、切実な問 題だ。
さらに、これら技術的または機能面での変化への対応に加えて、見た目の美し さ、そしてもちろん流行も取り入れていかねばならない。「とくにここ十年の変 化はめまぐるしいものでしたが、競争力を維持するためには、これらの変化にス ピーディに対応することが求められています」と、ゾルローニ氏。

●トータルなサービスとカスタムメードの実現

ゼータ社のもう一つの強みは、プレマーケット、プロポーザル、そしてアフター サービスにいたるまでのトータルサービスだ。すなわち、クライアントがどのよ うなオフィス空間を実現したいのかを明確にするコンサルテーション、コンサル テーションに基づいた企画提案、デザイン・ブックによるヴィジュアルなプロ ポーザル、家具の製造・納入、そして納入後のアシスタンス・フォローアップ (修正、メンテ、など)と、すべてを一貫して行っている。「クライアントに とって、オフィス家具の単なる一サプライヤーではなく、オフィスづくりのパー トナーとなるような関係を築くように努めています。つまり、ただ家具を作って 売るのではなく、クライアントが何を必要としているのかを理解し、それに対し 最適な解決策を提供するのがわれわれの仕事なのです」。
なかでもコンサルテーションの部分はとくに重要な鍵を握る。オフィス空間を具 現化するにあたりクライアントがどのようなニーズを持っているのか、またはど のような主義・考えを持っているのか。それら基本をまず理解した上で、オフィ スの物理的な条件、エルゴノミー(システム、製品、環境等の、色・デザイン面 などにおける、人間の身体的・精神的特性への調和)、それぞれの職場に必要と される要素などを統合し、もっとも適したオフィス家具を提案する。会社により ニーズは異なるし、一つの会社内でも異なる職場は異なるニーズを持つ。結果と して、高度にパーソナライズされたオフィス空間が実現されることになる。

ゼータ社のオフィス家具は、レセプション、スタッフ用・管理職用・役員用オ フィス、ミーティングスペース、と、「オフィスの地階から最上階まで」の全ス ペースをカバーする。小物(照明、洋服かけ、かさタテ等々)は生産していない が、それぞれ質の良いサプライヤーと提携し、クライアントにトータルコーディ ネーションを提供している。現在生産を手がける製品数は2400〜2500。これにさ らに色などのバリエーションが加わると、製品数は無数に近い。



昨年は180万ユーロ投資して、主にドイツ製の、木材を扱うための最先端の機械を購入した。
というのも、たとえば80年代には、ワンロット100台の机を生産する場合、100台 ともスペックは同じで、違うとすれば、そのうち半分が白で、もう半分が黒、と いうような状況であったのが、今日受ける100台の机のオーダーの内容は、25台 はこの机、3台はあの机、そして10台はまた別の机、という具合。業務の複雑 化・専門化にともない、クライアントは二つ、三つの製品ではなく、多様な製品 を必要としている。結果として、生産設備もそのようなニーズに対応できるもの である必要がある。
もちろん、ベースとなる製品はあるが、それを色、デザイン、大きさなど、クラ イアントの要求に合わせて展開させていく。事実、ゼータ社では6人の建築士・ デザイナーが、クライアントのさまざまなニーズに対応する。
たとえば最近こんなことがあった。チューリッヒのある顧客から、非常に個性的 なオフィス空間の実現について相談を受けたときのこと。彼らの要望がゼータ社 のスタンダードの商品ラインには一致していなかったにもかかわらず、クライア ントの設計士の提案をベースに、ゼータ社が肉付け、具体化し、最終的には客の ニーズを満足させる提案をし、クライアントが希望するオフィス空間を実現する ことができたのだ。

クライアントは主に銀行、保険会社、公的機関など。大半はイタリア国内だが、 ロシア、北欧、中東にもクライアントを抱える。4年前には中国にJVを設立し、 極東における拠点もつくった。結果、中国建設銀行の天津支店、そして北京の裁 判所のオフィスインテリアを受注。これらのプロジェクトのために、ゾルローニ 氏は二年間イタリアと中国を往復、「天津ではタクシーの運転手ができる」と笑 う。
残念ながら、現在日本とのビジネスはないが、市場、そしてその背景にある商慣 行、文化などを研究した上で、将来的な可能性を探りたい、とのこと。

●素早く方向転換する小さな蛇

現在、会社の経営にはゾルローニ氏、ゾルローニ氏のおじさん、そしていとこの 三人で当たっている。社員は生産部門に30人、そのほか外部のスペシャリスト、 建築士・デザイナーなどが計15人で、あわせて45人体制。取り扱っているビジネ スの大きさに対して、意外なほどのスリムさに驚くが、「コンパクトな経営がブ リアンツァの産業の強みです。それはひいては、イタリアの産業の強みと言って もいいかもしれません。たとえて言えば、イタリアは小さな蛇です。大きな蛇ほ どの力はありませんが、マーケットや経営環境の変化にともない素早く方向を変 換することができるのです」。
また、しばしば企業が直面する課題は、「問題をどう解決することか」もさるこ とながら、「問題があることを知る」ということ。これは会社が大きくなればな るほど難しくなるが、現在のゼータ社は、常に社員間のコミュニケーションをは かり、問題を即察知し、対応できる規模なのだそうだ。

将来への戦略は、と聞くと、「もちろん《会社の成長》を頭に描きながら、しか し、それを着実なものにするために、常に二歩進んで一歩下がることです」。経 済の状況が芳しくない現在、顧客との関係を維持強化しながら、まさしく過去数 年の成長を踏み固める局面にあるという。また、《会社の成長》とは、「量」で はなく、あくまでも「質」を意図しているという。もちろん売上げは重要である が、売上げを上げながら、同時に良質の製品を提供することを常に心がける。 「小さな前進であっても、つねに正しい方向へ前進することが大切だと思いま す」。
北イタリアのビジネスマンらしい、堅実な答えが返ってきた。

 
 

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