0
ITALY NEWS

イタリア中小企業訪問
0
2002/09/03 
 

イタリア中小企業訪問

photo




BUSATTI G.L.E.S.

今に伝統を伝えるアルチザン・テキスタイル

photo
ジョバンニ・サッソリーニ社長


トスカーナ州アレッツオ県の、オリーブ、ぶどう・小麦畑、そして糸杉がパッチワークのように大地を彩る丘陵田園地帯。この地方の典型的な丘上の中世の小都市アンギアーリに、一世紀半以上にわたってアルチザンスタイルのテキスタイルを織り続けるブザッティがある。

本店の店内
伝統的なパターンを織り込んでいるのに、仕上がりはシンプルでモダン。藍、えんじ、緑、ベージュといったトラディショナルな色の中に、みずいろ、柔らかなオレンジ・紫色などの現代的な色が混じる。見事なカラーコーディネートのもと、店内に美しくディスプレーされたテーブルクロス、ベッドリネンを目にし、どの客も思わず息を止め、そして感嘆の言葉を発する。ここに足を運ぶ客は、イタリア人はもとより、アメリカ人、フランス人、ドイツ人と、実に国際色豊かだ。現在、アンギアーリの本店以外にイタリア国内に21店舗、ヨーロッパに9店舗、アメリカに4店舗のフランチャイズ店を持つ。そのほとんどが、こうして店に足を運びブザッティの布に魅せられた人たちのイニシアチブにより自然に広がっていったものだそうだ。
また、これまでフレスコバルディ家、ヴィスコンティ家などを始めとする貴族、英国王室、バチカン等々にも品物を納めてきた。

タッセル・フィニッシュのテーブルクロス
創業は1842年。ブザッティ家は1508年まで家系をたどることのできる歴史の古いファミリーで、商業的に非常に才があった。18世紀後半、アルノー川流域からアンギアーリに居を移した当初はパンを初めとする食料品から布、銃器まで、幅広い商品を扱うゼネラル・ストアを開いていたが、ナポレオンに軍服を納入していた工場を買い取り、テキスタイルの生産を始める。「農民から公爵のモットーの元に、19世紀後半にはすでに近郊地域に6つの店を出すほどの成功をおさめた。当時は女性が家の外で働く習慣がなかったために、はたおり機を農家に貸し出し、各戸で織られた布を集めるという生産体制であった。20世紀前半、生産の舞台は工場に移行したが、現在でもブザッティのはたおり機を使って家内で織るスタイルの生産ユニットが5つほど残っている。 現在ブザッティを率いるジョバンニ・サッソリーニ氏で6代目。彼の名字がブザッティでないのは、5代目にブザッティ家に男子が生まれなかったため。サッソリーニ家はブザッティ家の上をゆく格式の高い家族で、ルネッサンス時、アレッツオ周辺地域のメディチ家の税収の管理を行っていたそうだ。 はたおり機

ブザッティのしっかりとした、それでいてしなやかな布の秘密は使用しているはたおり機にある。すべてが1920〜30年代のもので、どれも電力化された一番最初の型。舟形のシャトル(杼(ひ))が経糸の間にゆっくりと緯糸を入れていく。もちろん今となっては生産されていない機械なので、こまめにメンテナンスをしながら大切に使っている。スペアの部品もないので、たたまれる古い工場があると聞くと、行って古い機械を買い取るなどしながら、今日まで生産を続けてきた。工場は本店の地階と、近郊にあるものとで計二つ。これまで「中国に生産拠点を移して量産化しないか」というような打診がいくつもあったそうだが、「コカ・コーラとは違うのだから、コストが安いというだけで文化のまったく異なる地で生産するなど、無茶な話だ」と、かたくなに断ってきた。 デザインや色は、15世紀にトスカーナで活躍したデッラ・ロビアによるテラコッタのモチーフ、ボッティチェッリの絵画、ピエロ・デッラ・フランチェスカの美しいフレスコ画の色などを始めとして、トスカーナの芸術や伝統に根ざしている。仕上げのヘム・スティッチ、刺繍、フリンジ、タッセルなどは手作業によるものだ。


できあがったふわふわのウール ウールに関してはすべて近郊地域で生産される羊毛を使い、ゴミを取り除いた後、オリーブオイルで洗いあげる。仕上がったウールはふわふわ。これはやはり20年代の機械を使っているからで、現代の機械を使うとこのふわふわ感が失われてしまうのだそうだ。ウールは染色もナチュラルだ。染料は藍、玉ねぎ(黄色)、エニシダ(緑)、ホソバタイセイ(青)、ヘンナ(茶)、等々。現在、トスカーナ州の援助を得て、ウール以外の布に関しても自然染色を使う研究を進めており、早々商業化する計画だそうだ。
テーブルクロスと食器

テーブルクロス、ナプキン、タオル、カーテン、寝具等の布地製品以外にも、グラス、ピッチャー、カップ、皿、シルバーウエアなどの食器のブザッティ・シリーズを製作している。これらは布同様、トスカーナの伝統的なデザインを絵画や書物を通じて研究した上でつくられている。今後は本店内にコーナーをつくり、自家製の無農薬のオリーブオイルを始めとするトスカーナの伝統的な食品をおくことも検討している。テキスタイルから始まったビジネスは、トータルなテーブルコーディネーションおよび食文化ビジネスへと進化しようとしている。

実際、サッソーリーニ氏が普段口にしている生ハムは、昔のようにどんぐりを食する豚のもの。飼料を食べて育つ豚とはひと味もふた味も違うそうだ。テキスタイルを通じて今に伝統を伝えるということを追求していくと、結局現在のライフスタイルそのものを問うことにもつながる。幸いトスカーナの田園地域には古きよきライフスタイルが今日もまだ残っている。現代というコンテストの中でより大きな意義を持ってくるそれらを、自分なりにより多くの人に伝えていきたい。そしてそのことをブザッティの商品を通じて理解してもらえたとき、大きな喜びを感じる、とサッソリーニ氏。 サンセポルクロ店のジュゼッペ・サッソリーニ氏と、店を手伝う同氏の二人のお嬢さん

アンギアーリから7キロほど離れた中世の小都市サンセポルクロにはサッソリーニ氏のお兄さんジュゼッペ・サッソリーニ氏が経営するブザッティのフランチャイズ店がある。1931年にサッソリーニ氏のおじいさんであるリヴィオ・ブザッティ氏が開いた店だが、ここではサンセポルクロに何百年と伝わる「メルレット・ア・フゼッリ」と呼ばれる、麻糸のレースをおりこんだ布や、これもまた伝統的な、ヘンプから織られた薄い布など、ここにしかないオリジナルの商品も扱っている。

メルレット・ア・フゼッリを利用した布

サンセポルクロはアペニン山脈のふもとにある城塞都市で、城塞の中の家は日のさす時間が限られていたために、カーテンにはわずかな光でも良く通す薄い生地が昔から好まれたのだそうだ。
また、サンセポルクロ店ではデザインのオーダーメードも扱っている。去年はある客から、狩猟好きなご主人の誕生日プレゼントに、狩猟から昼食を食べに帰ってくるご主人をびっくりさせるようなテーブルクロスをつくってほしい、との依頼があり、狩りをテーマにデザインしたテーブルクロスを作ったそうだ。

気候や風土の中に育まれてきた伝統や文化を現代の生活の中にもさりげなく、そして美しく取り入れる。そんなイタリアの生活文化をブザッティは真摯に継承しているといえよう。


Busatti G.L.E.S.
Via Mazzini, 14
52031 Anghiari (AR)
Tel. 39.0575.788013
Fax.39.0575.789819
e-mail:busatti@busattitessuti.it
Home Page:www.busattitessuti.it

サンセポルクロ店
Via XX Settembre (angolo via P. della Francesca)
52037 Sansepolcro (AR)
Tel.39.0575.741539


トップへ  
    

www.japanitaly.com