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ITALY NEWS

イタリア中小企業訪問
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2002/05/25 
 

イタリア中小企業訪問

ROMEO MIRACOLI E FIGLIO SRL

銀製品を1800年代の伝統的技術のまま製造販売

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ミラノ市内のCorso Italia通り、もとベルサリエーリの兵舎を横にはいったところ、ブリゴッツィ通りに、レナート氏の、エレガントな銀製品の店がある。銀製品といっても日本人にはぴんとこないかもしれないが、イタリア人にとっては、スプーンやナイフ、フォークなどをはじめ、お盆や調味料入れ、コーヒーセットなどの食器として使われている。日本の上等な漆器のような感じであろうか。さらに、イタリアでは、結婚式やお祝い事などの引き出物にも銀製品がよく使われる。

photo 会社の設立は、1912年。現社長レナート・ミラーコリ氏の祖父、ロメオ氏が創業者である。それでロメオ・ミラーコリが社名になっている。1995年にある新聞社が、ミラノで3代以上続く老舗の店を探したところ、意外や意外、生地屋のガルトゥルッコ(残念ながらドゥオモ広場に面した店はこの冬に閉店してしまった)、マロングラッセのガッリなど、9社しかなかったという。というわけで、この会社はミラノ市、ミラノ県に残った最も古い、約100年の歴史を持つ銀製品製造販売会社である。

さらに、創業者ロメオ氏の父親リナルド氏は、銀製メダルに彫刻をする仕事をしていたので、職種選択、製品のセンスという意味では、会社の発祥は4代前にさかのぼると言ってもいいかもしれない。ロメオ・ミラーコリ氏が、最初の店を開店したのは、ミラノに残る運河ナヴィリオに近いサンタ・ソフィア通り。1920年代には、銀製品が大ブームとなり、この会社はすぐに、ミラノの上流階級の婦人たちが必ず立ち寄るサロンになったという。「当時は、貴族階級も、今と違って、お金があったので、会社はすぐに大繁盛したようです」とレナート氏は語る。彼らからの結婚式の引き出物などの注文で、ミラノの上流社会代々の婚姻関係は、すべて知っていたという。

その後、戦争で景気が悪くなり、一時営業を中断せざるを得なくなり、さらに爆撃でサンタ・ソフィア通りの家は焼けてしまった。しかし戦後、1946年1月に事業を一から再開すると、すぐに、調子を取り戻した。「人々は戦争が終わって、もう一度、家の調度品や食器を求めるようになったからです」。その年に法律学部を卒業したロベルト氏が結婚し、家業に参加する。その後会社は1956年には、今の住所に拡大して移転した。

photo 一方、レナート氏は、5年間イギリスで銀製品の勉強をしたあと、ニューヨークの証券取引所で株の仲買人を数年経験した後、1970年に父親の会社に入社した。「ごく最近になって、見本市にも出展するようになりました。それまでは、決まった顧客がいて、口コミで仕事はうまくいっていましたから。それに、今でも、手作りの生産工程は変更していないので、質を重要視し、量産の体制はとれないので、大量の注文がきても反対にお断りせざるを得ないことがあります」。手作りのカトラリー(ナイフ、フォーク、スプーン)は、職人が銀板を、スプーンなどの形に切ったものを、4時間ほどかけて叩いて、形にするのだそうだ。

ミラーコリ社の長年の顧客リストには、サウジアラビア、カタールの王家、英国ヨーク公爵婦人、イタリア大統領、イタリアオリンピック協会、冬季スポーツ協会、イタリア馬術協会、ほかフェンシング、ゴルフ、バスケット、テニスなどのスポーツの協会から、フィアット、ベンツ、フィリップモリス、コカコーラなどの大企業、ロンバルディア州、ミラノ市、大手銀行、出版・新聞社、テレビ局、マッシモ・モラッティ、ピレッリ、ヴィスコンティ・ディ・モドローネ、デッラ・ゲラルデスカ、スフォルツァ、ボッロメーオなどイタリアの有名人、貴族を始め、フランス、ベルギーなどの貴族の名前もある。

「お客様の中には、デザインを持ってこられる方もおられ、さらには大体の重さも指定されます。ですから、我々は伝統的な技術を守っている銀製品の、「仕立て屋」といったところです」。その他、今までに、多くのスポーツ協会と関係を保ち、優勝杯などトロフィーも数多く作ってきた。

銀製品の加工は1800年代にイギリスで盛んであったが、その伝統は失われてしまって、現在ロンドンで売られている銀製品の約70%はイタリア製なのだそうだ。イタリアで銀製品の生産が盛んなのは、フィレンツェ、ヴィチェンツァ。ミラノ。ミラノはミラーコリ社があるから。

店の地下には、代々受け継がれた道具のある工房があり、1800年代末の手動の道具を使って、すべての製品が、1800年代のやり方のまま、手作りされている。ミラノ市内に唯一残った、銀製品の工場である。社員は12人、工員は内外含めて約50人。原料である銀の板から、様々な大きさの円盤が切り取られると、次にトルニトゥーラと呼ばれる行程(銀板を木製の型にあわせて旋盤にかけながら、成形する行程)で、様々な型にあわせて、丸い円状の銀板が、あっという間に、お皿やお盆になったり、カップになったりするのである。 さらに装飾などを施し、最後に磨きをかけると、ぴかぴかの銀製品ができあがる。

修理ももちろん、工房が隣接しているおかげで、簡単に引き受けることができる。他の銀製品店からも修理を依頼されることがあるほどだ。なお、ミラーコリ社の製品にはすべて国庫省で決められた検印が施されている。ミラノの銀製品では一番若い数字の6で、<*6Mi>が押してあるものは、この会社のものという印だ。

photo その他、イタリア式加工法で最も有名な、ルネッサンス期のフィレンツエの彫刻家ベンベヴェヌート・チェッリーニ(Benvenuto Cellini 1500−1571)が開発した、チェーラ・ペルサと呼ばれる加工法がある。これは型に銀を流し込んで成形する方法である(今は型はシリコン製であるが)。この方法で、動物などオブジェの一点ものを製作する。型から出したら、一つ一つ、さらに手で彫刻を施し、彩色する。この手法でオブジェの動物シリーズができあがる。この会社で特に最近ヒットしたのは、カモのオブジェで、イギリスでも大ヒットしたそうだ。

「日本は生活様式が違うので、すぐに銀製の食器が、売れるようになるとは思わないけれど、一点ものの置物や、贈り物、写真たてなどは興味を持ってもらえるのではないか」とレナート氏。前社長、現社長の父親のロベルト氏も、80歳だがご健在である。代々ミラーコリ家の男子の名前は、Rで始まるのだそうだが、現社長レナート氏の長男の名前も、やはりRで始まるリッカルド。まだ7歳だということだが、きっと5代目を継いでくれることだろう。


ROMEO MIRACOLI E FIGLIO SRL
VIA BURIGOZZO 3
20122 MILANO
tel:+39-02-5831-0343
fax:+39-02-5831-0500
e-mail:info@romeomiracoli.it
Home Page:www.romeomiracoli.it


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