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ITALY NEWS
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2007/12/27 



  イタリアの日本人
  GIAPPONESE IN ITALIA  


イタリア進出 丸3年を経過したMUJI


株式会社良品計画 イタリア駐在事務所長 
新井真人さん Masato ARAI



イタリア・ミラノ市にMUJI1号店ができて丸3年。トレンディなミラネーゼの間ではMUJIの存在を知らない人はいないほど、MUJIのブランドは浸透中だ。日本食、日本式ライフスタイルなどに静かな関心が広がっているイタリアでMUJIはコンテポラリーな日本のイメージ普及に新鮮な貢献を果たしているようだ。ミラノ中心ドウーモから徒歩4-5分、トリノ通りにあるMUJI2号店を訪れ、良品計画ミラノ駐在事務所長の新井真人さんにお話をうかがった。

●新井さんのプロフィールを教えてください。
奈良県の出身です。2歳の時から6歳まで3年半を父親の仕事の関係で南米のペルーで暮らしました。その後、ブラジルに移り小学校を卒業する12歳まで7年間をブラジルで暮らした後日本に戻りました。1997年に同志社大学神学部を卒業後、株式会社良品計画に入社。弊社は「現場が一番大事」というポリシーを持っております。入社後早速に店舗に配属されました。最初の配属は当事では660坪と最大規模であった広島ウィズワンダーランド店の新店立ち上げでした。その後福岡に転勤し天神地区店舗で店長代行を経験。そのあと、同じ福岡の西新岩田屋店を店舗オープニングからかかわり2年間店長を務めました。その後大阪あべのHoop店で2年間店長をした後、2003年に東京本部の海外事業部勤務となりました。1年間、業務担当としてアジア地区を担当し、韓国と台湾の立ち上げ、シンガポールの支援などを行いました。2004年からイタリアの担当となり2004年12月にイタリア・ミラノの第一号店をオープンしました。ビザの手続きもあり2005年2月からミラノに駐在しています。

●MUJIのヨーロッパおよび世界市場での展開はどのような動きでしょうか
MUJIのコンセプトは国際的に通用すると考えています。
1991年にイギリス・ロンドンに初進出したのを皮切りに、その後ヨーロッパではフランス(1998年)、イタリア(2003年)、ドイツ(2005年)と出店国を増やし、アイルランド、スウェーデン、ノールウェー、スペイン等(以上はフランチャイズ出店)と順調に拡大をしています。アジアでも香港を皮切りとしてシンガポール、韓国、台湾と出店を重ねてきました。そして、この11月16日にはアメリカに初進出しニューヨーク・ソーホー地区に店舗を開店しました。2007年11月現在、海外店舗は世界15ヶ国、欧州計で43店舗、アジア計29店舗、米国1店舗、計73店舗となっています。

●ミラノへの進出はどのように?
イタリアについては、2003年4月のミラノのサローネ・デル・モービレの際、トルトーナ地区のフオーリ・サローネ企画として出展したところ、とても反響がよかったことが、ミラノ進出を決める直接的きっかけとなりました。

2004年12月にオープニングした第一店舗のブエノスアイレス通り(Corso Buenos Aires)は、ミラノ市内としては高級でもないし、低くもないミドルレベルの市場です。この場所を選んだのは人通りがとても多いところだからです。他国でも店舗の場所選びには人が沢山通る場所というのが基本条件です。ミラノ第二号店はチェントロに近いトリノ通り(Via Torino)に2005年11月に出しましたが、ここも大変な人通りの通りです。3店舗目についてはどこにするか検討し、2006年11月にトリノ市に開店しました。トリノを選んだ理由は、物流の観点からミラノを拠点として北イタリアに拡大した方がベターだと判断したことと、またオリンピック開催でトリノ市がダイナミックに動いている時期を捉えてのことです。トリノでも市内のガルバルディ通りVia Garibaldi という賑やかな通りに開店しました。

2004年12月11日にミラノ1号店をオープンしたとき、ブエノスアイレス通りに大変な大行列ができました。開店前日にコッリエーレ・デッラ・セーラ紙に大きな記事を書いていただいたこともあり、OPENING PARTYには2000名もきていただき、開店後数日間はボディガードを使って入場制限をしたほどです。初日の売上げは当時の海外の初日売り上げの記録をつくりました。大感激でした。

●丸3年を経過していかがですか
イタリア進出して丸3年経ちましたが、総じていうと、おかげさまで順調に拡大しています。昨年2006年の売上高は約590万ユーロ(プラス付加価値税20%)でした。
イタリアの特色は、ステーショナリーが25%、「ヘルス&ビューティグッズ」が20%とこれら二つのジャンルが日本と比べとても高い割合を占めていることです。特にステーショナリーは人気ですね。ファイル類、クラフト色のファイル、ノート類、ペンなど、イタリアの標準レベルの文房具と比較するとその品質には自信を持っています。おかげさまでリピータも多く、素晴らしさをわかっていただいていると感じています。単品として一番のヒット商品は壁掛CDプレイヤーです。120ユーロの価格ですが大人気となりました。

日本の場合は、衣服雑貨40%、生活雑貨50%で、ファッションが抜きん出ています。一方、ミラノ店では開店当時はファッションの構成比が低かったのですが、少しずつマーケットが広がってきていています。衣服雑貨は欧州店舗向けの商品開発を英国で行っているため、当初はどうしても英国寄りの開発でパリやミラノなど大陸とは今一つセンスが会わなかったようです。最近は大陸向けの商品開発をすることで衣類も伸び始めたのだと思います。イタリアではファッションは毎シーズン、新しいトレンドで新しい商品が一般ショップには並びますが、MUJIではベーシックなもの、普通のものを扱っていますのでそれを好む人が来店してくれるのだと思います。イタリアでファッションの売上比を増やすことが大きな課題となっています。

●日本との違い、ブランディングの位置づけは?
日本ではMUJIの知名度は高く、日常的に使う商品として購入していただいています。若い方からお年寄りまで幅広い層で使っていただいています。
一方、ヨーロッパではMUJIは市場の高いポジショニングで進出しています。したがって、ターゲットは年齢的には30歳代から40歳代。収入のある方。感度のいい方。デザイン関連の学生さんはいらっしゃいますが普通の学生さんや若い方は少ないですね。性別は男女半々。日本では8割が女性であることと比べると大きな違いですね。
イタリアの場合は、生活雑貨商品のコンペティター(競合)はいないといってもいいと思います。いってみれば、市場に存在していなかった種類の商品群を提供していることになります。IKEAと比較される方も多いですが、価格帯、品質ともにMUJIとは異なっていると認識しています。

お客様の平均単価は比較的高く日本と比較すると2倍以上です。同じ欧州内でもドイツと比較しても高いです。客層の違いもありますが、この商品群を気に入って買ってくれているのだと思います。売上げの高い曜日は土曜日です。
いずれにしても、イタリアのミラノの2店舗、トリノ店、それとヨーロッパの他の店舗と売上げ構成や売れ筋に大きな違いはありません。いってみれば、MUJIの製品に感度のあう方がどの国でもお客様になってくださっているということなのだと解釈しております。

●どのような体制で店舗を運営されていますか。
事務所には私と総務会計担当のイタリア人女性が1名の合計2名。店舗では3店舗全体をみる総店長のイタリア人女性が1名と店員はミラノ2店舗で23名、トリノ店8名という体制です。
イタリアの労働環境は労働者保護が原則なので、店員はすべて正式雇用の正社員として雇用しなければなりません。労働コストは他の欧州のMUJIと比べて高くはありませんが、一度正式雇用すると一生雇用し続ける義務があり、管理が難しいですね。
MUJIのコンセプトをきちんと理解するのは容易でありません。イタリアの人はいい意味でも悪い意味でも創造性「ファンタジア」がたくましいので、店員が自分で勝手に解釈していくことを避けるためにも、取りまとめ役の店長クラスにはピシっとコンセプトを理解してもらっておくことが必要です。そのため、店長、副店長クラスを毎年、2名ほど日本に1週間程度研修に送っています。日本の本部、店舗、そこで働くスタッフの姿、お客様への対応など実際に見てもらうことが肝心です。実施に日本のMUJIの空間を体験し、空気を感じてもらうのが目的です。

●今後のイタリアでの展開については?
イタリアについては、何年に合計何店舗という構想で店舗開発を行ってはおりません。
イタリアの場合、大都市はミラノかローマ程度でその他は人口30万人程度の中都市が大半です。各都市に一店舗は作れるが複数店舗の展開は無理ですので多店舗戦略を目標にはしておりません。1店舗ずつ吟味し利益がでる店舗を出していく方針です。1年に1店舗がおおよその目標です。各地からフランチャイズ出店をしたいというリクエストもきています。将来に向けての可能性の1つです。
トリノは保守的な都市ですが反応はまずまずです。次の出店はローマかボローニャを考えています。特にローマへの出店はイタリア全体への展開にとって重要な意味を持つと考えていますが不動産が高くしかも流動性が高いためロケーションの選定が難しいですね。

MUJIの知名度はこの3年間で目に見えて高くなりました。特にミラノで高くなってきています。また建築、インダストリアル・デザインなどデザイン関連の業界ではよく知られています。とはいえ、ミラノ外含めてまだまだこれからだと認識しています。宣伝活動としては、ミラノのサローネやクリスマス時期に雑誌媒体への広告を行ったりリーフレットの折込を行っています。10月からはミラノ地下鉄の車両での広告を開始致しました。今後の課題はMUJIを知ってくださる方をどれだけ増やすかということだと思います。

●イタリアで仕事をして感じていること
初めて海外赴任でしたが幸いなことに常に身近に協力者がいて力を貸してくれたのでなんとかこの3年間やってくることができました。イタリア人も、働く人はよく働きます。現在、総店長も総務会計担当もイタリア人女性ですがとてもよく働いてくれて力強い人たちです。総店長は第一号店のオープニング当時からのスタッフです。お客様はイタリア人、店員もイタリア人ですので、店舗のコントロールや店員の統括管理は経験あるイタリア人でないと難しいと感じます。

日本で行ってきた仕事との違いとしては、少ない人数ですべてを運営していること。私も実務とマネージメントという役割をこなし、任されていることにやりがいを感じています。

(聞き手:JIBO編集部 大島悦子)


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