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ITALY NEWS
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2002/08/01 
  日本のイタリア人
  ITALIANO IN GIAPPONE  

ディエゴ・タリオーニ氏
(Dott. Diego Taglioni)


テレコミュニケーション分野の専門家

 

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JIBO:日本で働くようになったきっかけは?

タリオーニ:日本は私にとって昔からきわめて魅力的な国でした。謎めいた部分 があるからでしょうか。また、自分がテクノロジーに関する分野で仕事をしてい ることから、日本企業の技術革新力、およびそれを現実に応用する力に強い関心 を持たずにはいられませんでした。98年の春、EUがスポンサーしている ETP(Executive Training Programme)に応募し、合格したのです。

JIBO:ETPとはどのようなプログラムなのでしょうか。

タリオーニ:最初の12ヶ月は日本語のほか、日本経済、制度などについて企業訪 問などを交えながら勉強しました。さらに、これはとても重要なことだと思いま すが、参加者の実務経験に応じて実際のビジネスプロジェクトをたちあげまし た。さらにその後、日本企業で6ヶ月間インターンシップを経験しました。この 間、日本における仕事の仕方・進め方、そして会社社会のルールなどについて学 びました。

JIBO:日本で実際に仕事をしてみてどんな印象をもたれましたか。

タリオーニ:企業の強みは「組織」であるという考え方に基づいた労働環境であ るということです。この「集団」を基本におく考え方はもともと日本社会一般の 中に根強いために、結果として企業運営においてもその慣習が踏襲されているの でしょう。たとえば良い結果が出た場合、結果を出したグループを代表するもの だけが益するのではなく、グループ全体が益します。イタリア人の場合は非常に 個人主義的ですから、このことは理解しがたいでしょう。組織が大きい企業の場 合、なおさらそうです。インターンをした6カ月間、私もあるグループの一員と して働きましたが、ある意味では「家族」の一員として働いたという感がありま す。そして、そのように自分が受け入れられたということを非常に嬉しく思いま した。

JIBO:タリオーニさんは日本語を習得されましたが、それでも仕事をする上でな にか困難に感じられることはありましたか。

タリオーニ:日本語はとても難しく、自分では大分上達してきたように思って も、さらにそこからまだ学ばなければならないことが多いことに気づきます。話 す相手、状況、場次第で何通りものコミュニケーション方法がある言語です。日 常会話の中で使う日本語以外にも、丁寧語、謙譲語、尊敬語があります。した がって、外国人にとってことは大変複雑で、とくに仕事の上で不自由ないレベル に達するまでには何年もかかるでしょう。私にとっても、異なる状況ごとに日本 語を使い分けるのが非常に難しい点でした。

JIBO:仕事上の人間関係という点ではどのような印象を持たれましたか。

タリオーニ:幸い多くの同僚を得、友情を培うことができ、イタリアへ帰国後も 連絡を取り合っています。全般的に人間関係については非常に好い印象を持ちま した。集団に基本をおく考え方については先にも触れましたが、仕事を離れた場 でも同僚と付き合うさまざまな機会を持つことができました。

JIBO:同僚の日本人に対してどのような評価をされますか

タリオーニ:多くの若い同僚たちが、イタリアに対して強い関心を抱いていまし た。アート、音楽、サッカー、料理その他イタリアに関するさまざまな質問をひ んぱんにされました。日本人にとって、イタリアは旅行に行きたい国として人気 がありますが、イタリア人の友人がいるとなれば、なおさら休暇にイタリアに 行ってみたい、と思うようです。同僚は私に対して非常に好意的であり、仕事の 面でも私の質問や疑問に対しとても親切に応対してくれました。

JIBO:日本での滞在中、どのような成果を得られたとお考えですか。

タリオーニ:非常に有益な経験をしたと思います。仕事の面では、イタリアとは 異なる働き方や他者との付き合い方を習得することができました。一方人間的な 面では、これまで気づくことのなかった、自分の内的な力を見い出すことができ ました。地理的にも文化的にも非常に遠い地で、人間関係もないところでゼロか ら始めることは、そう簡単なことではありません。とくになにか困難に直面した とき、自分しか頼れるものはないのです。日本語には「我慢強い」という言葉が ありますが、実際我慢すると同時に、ことがうまく運ばないときにもあきらめず に持続する、ということを学びました。 

JIBO:日本のマーケットの将来をどのように見られていますか。

タリオーニ:大きな信頼を持っています。日本のマーケットはアジアの域内総生 産の三分の二を占めており、アメリカに次いで世界第二位の規模です。ここ数 年、難しい状況にあるのは事実ですが、また将来回復し、成長することを信じて います。過去百年の日本経済を分析すると、30年のサイクルで経済の減速と成長 が交互に訪れています。また、日本人は過去の失敗や経験を教訓として将来に生 かしていく能力に長けています。

JIBO:最後に、日本でビジネスを行いたいと思っているイタリア人にどのような アドバイスをされますか。

タリオーニ:やりたいと思っていることに対して、根拠もなく、安易な思い込み をしないことですね。日本の市場で成功するためには他の市場以上に、周到な事 前知識を必要とします。それら知識とは、市場のルールにとどまらず、社会、歴 史、文化、また日本人が西洋人とどのように付き合うか、というようなことまで 含みます。実際多くのイタリア企業がこれまで日本と関係を築いてきましたが、 商業的に成功した例はごく一部にすぎないのです。

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