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ITALY NEWS
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2001/06/01 
 
  イタリアの日本人 
  GIAPPONESE IN ITALIA  

宇留野 鋭郎氏
Toshio URUNO


JTB ITALY srl ローマ支店長
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JIBO:プロフィールを教えてください

宇留野:出身は茨城県の水戸市です。1972年に立教大学法学部を卒業し、JTB(当時の日本交通公 社)に入社しました。86年まで、JTB海外旅行本社内支店というところに所属し、14年間海外営業 に従事しました。企業のお客様のところにいっての法人営業が主体です。私が入社した72年当時は、 外貨の制限も厳しく、海外旅行はまだ一般には普及していませんでした。したがって、外貨の制限枠 を広げるために日銀に申請したりと、会社役員等の海外出張のお手伝いが主要業務でした。

その後、だんだんと団体を組んでの海外旅行も普及してきました。当時は、現在のような添乗員の専門会社は存在せず,我々社員が団体旅行の添乗を行っており、私も年に5-6回、添乗業務を行いました。 86年から93年には、米国サンフランシスコ支店に勤務しました。当初はインバウンドつま り、米国にみえるお客様の受け入れ業務に従事しました。その後、88年には、サンマテオに営業所が 設けられ、現地に住む日系の方やアメリカの方を対象とした日本へのアウトバウンド業務の推進を担 当しました。89年3月にはサンノゼに営業所を移転し、初代営業所長となりました。日系企業が増 えてきましたので、企業対象の日本への旅行関係の業務を行いました。

93年に日本に戻り、98年まで、関連会社JTBグローバルアシスタント会社に出向し営業 部長をつとめました。クレジット会社と契約をし、顧客サービスの一環として海外のアシスタント業 務等を行う会社です。カード会社10社との契約業務に携わりました。 98年にマドリッド支店長となり、2000年3月にローマ支店長として赴任しました。

JIBO:JTB社のイタリアでの沿革・業務内容について

宇留野:1973年3月、ローマに仮事務所を設け、74年8月に、ホテル・エクセルシオール内にローマ 事務所を正式開設しています。75年にローマ支店へと昇格しました。それまでは、日本からの旅行者 の受け入れ業務が主体でしたが、76年に、こちらかのアウトバウンド営業をスタートしています。

89年には、ローマ支店から営業窓口業務を切り離して、「トラベル・プラザ」を別会社と して設立させました。そして96年には、イタリア法人JTB ITALY SRLを設立。さらに、91年にミラ ノ営業所、96年にヴェネツイア営業所、93年にフィレンツエ連絡事務所を開設しています。

イタリアでの弊社の業務は、グループとして3社の活動で構成されています。 まず、本体が、JTB ITALY SRL。 日本からイタリアにみえるお客様のサポートが基 本の業務となり、業界用語では、ランドオペレータということになります。イタリアでの旅行パッケ ージを企画し、見積もりをとる、それを本社に提案するということになります。

逆に本社側から注文 がきて、そのための見積もりをとることもあります。日常的には、日本からのお客様のためのホテル やレストラン、ガイド、移動手段などの手配が主たる業務となります。 一方、「トラベル・プラザ」社は、イタリア発の営業を行っています。対象は、イタリア に住む日本人、日本への旅行を計画しているイタリアの方々です。

さらに、「MY BUS ITALY」という会社を 96年に設立しており、ここでは、日本か らみえる個人客やイタリアに住む日本人を対象として、定期観光バスを運営しております。まあ、日 本のハトバスのようなものです。90年に三越イタリアさんからライセンスを譲り受けました。個人で イタリアにみえるお客様が増えているため、お蔭様で、マイバス社は大きく急成長しております。年 間取り扱い客数は、約2万人。ローマからのナポリやボンペイへの日帰り旅行。フィレンツエからの ピサへの日帰り。最近は、フィレンツエから、プラダやグッチのアウトレット行きのショッピングツ アーが人気を呼んで大成功です。2001年の売上高は、年間110億リラ程度を見込んでおります。時 代のニーズにあったことが成功の原因と考えております。 他社のツアーできて、自由時間に日帰りのバス旅行をしたいというお客様もいらっしゃい ます。

以上、ご説明した業務は、弊社の主要ヨーロッパ各国支店では共通していますが、業務ご との採算性管理を明確にするため、業務ごとに別会社として展開する方針を会社としてとっています 。3社のオフィスは、すべて200メートル以内の距離にありますが、場所は別々になっております 。私は、3社の社長を兼任しております。 陣容としては、3社と営業所などあわせて90名程度。日本からの派遣者は私を含め3名。現 地採用の日本人スタッフが20名です。後はイタリア人スタッフとなります。

私どもで扱っているお客様は、年間10万人程度で、日本からイタリアへのパック型旅行の 市場シェアの20%をしめていると推定しています。業界の競争は非常に厳しく、イタリア旅行市場に 日本の旅行代理店約300社が進入していると推定されます。

JIBO:イタリア旅行の最近の実績はいかがですか

宇留野:イタリアは非常に人気のある国です。毎年、取り扱い人数、金額がのびています。98年が ピークで一度さがりましたが、その後、またまたイタリアブームで順調にのびています。イタリアの 魅力は、第一には、食事のよさ、第二は文化遺跡とう大きな財産、第三は買い物。これだけ揃ってい る国は他にないと思います。

弊社で扱っている観光旅行は、大きく分けて3つに区分できます。第一は、ルックなど 、パッケージ・ツアーで、全体の約6割を占めています。次は、企業などの社員旅行やインセンティ ブツアーで、3割程度。そして、第三が個人客で10%程度です。傾向としては、パッケージ・ツア ーは、増えていますし、個人客も伸びています。ただ、日本の景気停滞と呼応して企業ツアーが減っ ています。景気のいい時代は、法人需要は大変大きかったのですが。

いずれにしても、全体としては、イタリアへの旅行は伸びています。今年は2001年イタリ アブームですのでなおさらです。

JIBO:最近のイタリア旅行のトレンドとしては

宇留野:旅行のパターンは大きく変わってきました。少し前までは、ロンパリ・ローマというよう に、ヨーロッパ周遊旅行の中にローマが組み込まれているというパターンが主流でした。現在では 、イタリアだけ、1週間、10日間、じっくりみてまわるという形に移行してきています。イタリア周 遊型で、ローマ、フィレンツエ、ヴェネツイア、ミラノという形がパッケージ旅行の7−80%を 占めています。

また、最近の傾向としては、まだ、数量ベースでは少ないのですが、南イタリアが人気で 、シチリアも伸びています。プーリア州は、数は少ないのですが、発生してきています。少し前には 、なかった現象です。リピータの方が増えてきたということだと思います。

流れとしては、これまでは、若い女性が圧倒的でしたが、最近、熟年層が増えてきており 、重要なターゲットとなりつつあります。おもしろい話があるのですが、熟年層に「どなたと海外 旅行にいきたいですか」というアンケート調査をしたところ、男性は、「奥さんと」とこたえ、女性 は「気の合った友人と」と答えた方が多かったということです。奥さんの方は気楽に女性の友達と の旅行を望んでいるようですが、ご主人の方は、海外旅行となると奥さんがついていてくれないと不 安のようですね。

個人客のご手配も増えています。新婚旅行の手配、熟年ご夫妻、家族旅行と様々です。学 生やOLからの注文も増えています。

JIBO:イタリアの旅行業界についてのご意見など

宇留野:他国と比べて、厳しいのは、ホテル事情ですね。 第一にイタリアは年がら年中旅行シーズンで、ホテル予約がむずかしいのですが、特に 、4月-6-7月、9月-11月のいい季節には、非常に厳しいですね。ヴェネツイアやフィレンツエなどは いつもホテルが足りない。ホテルがとれないのが悩みです。

さらに、ミラノは、見本市が年中あり、その間はホテルがとれない。もちろん、事前仕入 れはしていますが、繁忙期には、部屋が足りない。ホテルのキャパシティが増えて、事情が改善され れば、お客様はもっともっと増えるのに、このままではお手上げです。

第二の問題点は、ホテル設備が日本のニーズとかみあわないことです。たとえば、ローマ では、お客様が買い物や散歩を気軽にするためには、中心部のホテルが望ましいのですが、その場合 は、ホテルは小さく古い、設備も老朽化している場合が多い。一方、郊外のホテルであると、アメリ カ型で、新しく広くて清潔で快適であるけれど、気楽に市内散策というわけにはいかない。ロケーシ ョンをとるか、新設備をとるか、むつかしいですね。

それと、永遠の課題ですが、日本人の湯船バスタブ付への願望と、イタリアホテルの現実 とがミスマッチ。こちらのホテルでバスタブ付は2-3割。後は、シャワーオンリーですので。 もう一つは、ベッドです。イタリアでは、カップルの場合は、日本でいうダブルベッドが 原則ですが、日本の方は、ご夫婦でもツインベッドを希望する。これもかみ合わない。ともかく 、オフロとベッドについては、頭痛の種です。

JIBO:日本とイタリアの違いなどどのようにお考えですか

宇留野:海外旅行が特別な行事であった30年前と比べて、旅行者の意識は大きく変わってきていま す。黎明期は、ある程度、海外事情を勉強し、「郷にいれば郷に従う」という覚悟をしてやってきて いた。現在、誰もが海外旅行ということで、海外旅行が安価で簡単になってきた。一億化していく 中で、旅行者も国内旅行にいく感覚で参加してみえる。国内と外国との違いを認識していない。いわ ば、ゲタバキできて、日本国内と同じ感覚のサービスを求める。それぞれの国は、異質の文化や事情 があることが理解できない。極端な話をいうと、イタリアに限らず、ヨーロッパのホテルには、ク ーラが入っていないところが多いのですが、これが日本人には理解できない。

困るのは、イタリア人のサービスに対する考え方と、日本人の期待との間に大きな溝があ ることでい。日本側は補償など考えにもなく、ていねいにあやまってくれれば、それで気がすむこ となのですが。このあたりは、言葉の問題ではなく、異質なカルチャー間の「通訳」が必要となって きます。カルチャーのみぞをどう埋めていくか、間に入る我々としては、大変大きな課題です。

JIBO:プライベートな生活について

宇留野:ローマでの生活は、家内と二人です。娘は結婚して日本にいますが、結婚式は、ローマで あげました。会社のPRになって恐縮ですが、プロテスタント教会でのブレッシングという形で、イ タリアでのウエディング手配を弊社ではしており、娘も弊社のサービスを利用しました。 趣味は、ゴルフとワイン。イタリア・ワインは最高ですね。私自身は、月に4-5回出張が あり、旅行業界にいながら、あまり、イタリア国内の旅行ができないのが残念です。その分、ローマ 市内の散策を楽しんでいます。 (聞き手 大島悦子)




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