月2回更新 2000/5/15

食品見本市「CIBUS」会場訪問 その1
 
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国際食品見本市「CIBUS」(チーブス)が今年もイタリア北部のParma市(エミリア・ ロマーニャ州)にて5月4日(木)から8日(月)までの5日間開催された。 今回で第10回となるCIBUSであるが、そもそもラテン語で“食べ物”を意味する。 イタリア国内外を問わずレストランやバー、ホテル関係者、食品関係の貿易商や仲介 業者、メーカーの新商品開発担当者やマーケティング責任者、或いはその分野の ジャーナリスト達にとって、目新しい商品を見つけたり、最新の情報を目と耳、そし て口で確かめる場としてかかすことの出来ない機会となっている。

日本では一般的に、スタンダールの「パルムの僧院」で有名なパルマの町だが、最近 では食品業界の方でなくとも「パルミッジャーノ」に代表されるチーズや、「生ハ ム」でも聞きなれた都市と言えるだろう。意外と知られていないのがパルマ周辺の地 域、ロンバルディア州からエミリア・ロマーニャ州にかけての平野部が、農業や酪農 に加えて「機械生産」でも有数の地域であること。食品製造機械についても例外でな く、大手の食品メーカーなどを訪問しても、殆ど全ての工程で「地元で生産された」 機械や制御機器が使用されているのに気づく。

「食」を大きい目で一つの産業と捉えるならば、イタリアでもっとも重要な見本市が パルマで開催されるのももっともなことと言える。

今年のCIBUSには、大小併せて8パビリオン(約11万平方メートル)に2,380の展示参 加者が顔を並べた。この中には世界20ヶ国からの参加者も含まれる。 参加者の部門は多岐に渡る。保存野菜や飲料、パスタ、パン、米などの穀物類、食 肉、食肉加工品、魚介類、卵、牛乳、チーズなどの乳製品からオイルや調味料類な ど。又取り扱い商品は、材料から半製品、完成品と様々である。今年は特に、会場内 に「CIBUS DOLCE」として、菓子産業にスポットをあてたパビリオンが独立して設け られたことも付け加えたい。(見本市自体のより細かいデータは追って次号でも報告 して行きたい。)

期間中は好天気とは言えなかったものの、あらゆる言語が飛び交う会場内は毎日熱気 に包まれていた。その中でも幾つか現地で気づいた点を速報としてお届けしたい。


日本へ行こう!(サラミ・ハム業界)

一番の賑わいを見せていたのはやはり、サラミ、ハム類などの「食肉加工品」のスタ ンドだろう。大小併せて300近くがこの分野の出展である。日本からのビジターの中 には「先の幕張で行われたFOODEXで既にコンタクトを取った会社への再訪と他社比較 が目的。」と言う方も。

既に加工食肉で輸入実績のある日本の会社の担当者から話しが聞けた。「家庭用にし ろ業務用にしろ、一連の規制緩和といっても日本人がサラミや生ハムを爆発的に消費 するようになるとは思っていませんね。まだまだ売り方を良く考える時期。だからこ そ日本人の好みを理解し、それに併せて味やパッケージングをフレキシブルに対応で きる会社を絞り込まなくてはなりません。」このあたりは比較的「融通があまり聞か ない」と言われる中小の生産者が多いこの分野では一つのポイントかも知れない。当 面は「大手で海外経験も豊富」という生産者が先んじることになるのだろうか。

前述の担当者は、「当社でも取引開始にあたって潜り抜けなければならない『お役所 関係の手続き』にはそれなりに体力を使って来た。肉類の輸入には変わりありません から、これからも現地生産者と手を取り合って品質管理などをしていかなくては輸入 許可一つとってもまだまだ“簡単”とは言えないでしょう。」と付け加える。と同時 に、「許可する側も以前に比べると、随分迅速に対応してくれるようになったのでは ないか。」という声も。

まずはイタリア側生産者が、「特殊で厳しい」といわれる日本の消費者の味覚、包装 や検疫などなどについて「理解し、受け止める意思と体力を持ち合わせているかどう か」という点が大事なようである。製品そのものよりも、第一に組織の柔軟さや取り 組み姿勢を確認したいということか。「最初の走り出しはどこでも変わり無く、早い 応対をしてくれます。要は今までは想像もしていなかった点でクレームや注文を突き つけられた時、びっくりせずにきちんと対応できるかどうかですね。」そしてだから こそ、「海外でどういう実績や経験を持っているかは大事なポイントになる。」そう である。


生産者側は….

逆に、幕張のFOODEXにも出展し、複数の国で実績を持つイタリアのハム業者から話し が聞けた。「日本の輸入者の関心の高さにあらためて驚いている。が、まずはマーケ ティングを徹底して“ブランド”の位置付けを間違えないようににしたい。日本市場 が相手であれば尚のことだと思う。」「売るためにはイタリア国内や、欧米での当社 のブランドイメージより高めに設定するか、極端な話し多少落とした方が良いのかも 検討する。」投入商品については「日本には大きいハムの生産者がいくつもあるし、 器用に既に何でもやっている。イタリアからわざわざ持って行くのだから“イタリア で生産しているものそのまま”で良いのではないか。特別なことはしない方がむしろ 良いと考えている。又、味覚の肥えた日本の消費者は“安ければよい”とは思ってい ないことも勉強してきました。」と。

まずは「ブランドの位置付け」と「本物志向をどこまで押し出すか」、この辺りの見 極めがまずは第一段階というところのようだ。その上で「マーケティングの後、 ひょっとすると自分達で現地法人をつくってやった方が良いという結論が出るかもし れない。」と言うように、具体的な参入戦略を描いて行くそうだ。

そして、「もう一つ大事なことだが…」と前置きして、「もし日本の誰かと組むな ら、当社と“フィロソフィーを共有できるところ”と一緒に長いタームでじっくりと 育てて行きたい。」とイタリアらしい締めくくりをしてくれた。(A.Y)





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