月2回更新  2000/12/01

スプマンテ業界
 
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まだまだ泡が出ていると日本では「シャンパン」と呼ばれてしまうイタリアのスプマ ンテSpumante。毎年クリスマス前のこの時期になると様々な雑誌の話題に出てくる し、街中のバール、ワイン屋、デパート、スーパーなどでは華々しいポジションをこ こイタリアでも押さえる。

イタリアのワインに分類される飲み物の中では、量こそ消費シェアで3%台であるも のの、金額的に見ると全体の10%となるという、きらりと光る存在ではある。因みに 国内消費マーケットは3,100億リラ(=約150億円)で、750cc換算で約42百万本が消 費されている。輸出も含めた総生産本数は130百万本といわれているから3分の2が 輸出ということになる。 分類の仕方などが様々でわかりにくいこの業界であるが、現状などをかいつまんでご 紹介して見たい。

やはりシャルマー法

製造方法からの分類で申し上げると、大きくわけてクラッシックタイプMetodo classicoとシャルマー式Metodo Charmatによるものとにわかれる。 クラシックな方法とは、いわゆるボトル内で2次発酵させて、あとで残留物を除くと いう古典的な方法だが、手間は数倍かかる。シャルマーではアウトカルベAutocalve と呼ばれる大タンクで2次発酵を行ってから瓶にいれるというものである。甚だ乱暴 な説明だがここではその程度に抑えさえておきたい。

さて、シェア(生産者販売段階)を金額でみると、この古き良きクラッシックタイプ の生産は10%台で推移。コスト高であることを考えて通常は高価なものであるから、 量的にはさらにぐっと下がることになる。そしてそれ以外の殆どがシャルマー式によ るもの。(因みにイタリアにこの方式を導入したのがマルティノッティMartinottiと いう方で、イタリア専門の当欄としては挙げておきたい名前だ。)

この2種類との分類とは別に、スプマンテ・ドルチェSpumante Dolceかそうでないか (辛口Secchi)という考え方がある。つまり甘いスプマンテであるが、量的には5割 のスプマンテが当てはまる。殆ど全てが上記の分類で行くとシャルマー方式に従った 大量生産品だ。(決してシャルマー方式が悪いと言うことでは無い。見方次第では品 質的にも優れている部分も多々ある。)早くから日本でもイタリアの甘いシャンパン のイメージで入ってきていたアスティー・スプマンテAsti Spumanteやモスカート Moscato、ブラケットBrachettoなどが該当する。生産者もガンチャGancia、マル ティーニ・エ・ロッシMartini e Rossi、フォンターナ・フレッダFontana Freddaを 始め、大規模生産者目白押しのとにかくスプマンテのメジャーの部分と言える。

あわせてプロセッコProsecco(甘口)というカテゴリーについてもひとこと。こちら も大分日本でも名前が知れてきた。スプマンテなのだがスプマンテとは呼ばれていな い。まず必ずプロセッコという単一のブドウから作られること、ヴェネト州と、フリ ウリ・ヴェネツィア・ジュリーリア州でのみで生産されること。生産方法はシャル マー方式。省略するが、詳細に至るまで別途独自の規定がある。せっかくスプマンテ という名前を覚えていただいて申し訳ないのだが、ヴェネツィアに行かれたら、プロ セッコと注文していただきたいものだ。

辛口という観点から

では甘くない、フランスのシャンパンをイメージする辛口系はどんな様子だろうか。 こちらも先ほどの大会社系が主に行っているシャルマー方式によるものと、確実に力 をつけてきた比較的小規模のクラシック方式を導入したものと大きく二つに分かれ る。品種はピノPino、シャルドネChardonnay、リースリング・イタリコRiesling Italico、ミューラー・トラウガウMuller Thurgauなど、あるいはそれらの混合であ る。

少し詳しい方ならフェッラーリFerrari(あのフェッラーリとは別。)、ベルルッキ Berlucchiなどの名前はご存知だろう。この分野では巨大グループを押さえてこの2社 で8割を押さえている。やはりイメージは高級で、客層は間違いなく富裕層を狙った ものである。イタリアのモエ・シャンドンとお考え頂いて良い。

この辛口のクラッシック方式は今更ながら大いに伸びている。まず、スプマンテ業界 における生産者販売ベース(つまり海外も含む)の量的シェアではまだまだ10%そこ そこだが、金額ベースで行くと20%を楽に越すようになってきた。そして、量、金額 ともに業界全体が数%大の成長であるのに対して15%に迫る勢いで近年伸びているこ とを特筆しておきたい。

一気にイメージ挽回

ともあれ、通常のワインなどからは若干遅れはしたものの、業界全体でやはり海外へ の輸出に力をいれる動きが更に高まっている。ヨーロッパではドイツなどを中心にか なり浸透してきているから、ターゲットはアメリカや、日本を中心とするアジアだ。 特に割高なクラシック方式による分野については、今までのイタリアスプマンテに対 する甘い、安いという評判を払拭或いは修正させつつ、新たなブランドイメージ作り に各社懸命となっているようだ。

又、ブラケットBrachettoなどのロゼ・スプマンテの積極的な売り込み、冷やした温 度が一定に保てるボトルの開発と商品で急進しているプロセッコ業者などもある。 又、ミレニアムに便乗するには絶好の商品でもあることからも今年、来年は更に業界 全体として華々しい話題で目白押しだ。

発泡性ワインはフランスのシャンパンに限ると言われて久しかったが、話題にかけて いたイタリアン・スプマンテ業界の巻き返しが始まった印象を強く受ける今日この頃 である。(A.Y.)





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