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2011/6/30

HOTなエスプレッソITALY WEB SITE編集BACK NUMBER

HOTなエスプレッソ 



田中ちひろ

京都生まれ、91年よりミラノ在住。三井住友保険会社ミラノ支店勤務の一方で、日本、イタリア、フランス等各国で 異文化間マネージジメント、コミュニケーション、NLPセミナー・トレーニングを行っている(www.global-excell.com)。執筆は「ストレスは捨てられる」(中経出版)、「普段着のミラノ案内(晶文社)」をはじめ各種新聞雑誌コラム等多数。

 

2011/2/28

61. アラブ諸国の異変に思う

チュニジア、エジプトの旧政権崩壊から まだ戦いの続いているリビアまで、アラブ諸国の動きが世界中の注目を浴びている。 政権が崩壊していないそのほかの国々でも その動きは飛び火して、デモや衝突を生んでいる。

アラブ諸国とは石油をはじめ、経済的な関係で繋がっているとは言うものの、日常生活においてその地の人々とほとんど接する機会がない日本と違って イタリアにいると彼らは 日常のごく当たり前の風景の中にいる。

イタリア人にとって もっとも手ごろにいけるバカンス地は チュニジア、エジプト。
ローマからなら飛行機で1時間、パリに行くよりよっぽど近いチュニスやカルタゴは 私にとってもヨーロッパに住んで最初に行ったバカンスの土地。 いつもよく行くケバブ屋さんや角のピッツェリアのオーナーはエジプト人。 私の使っている銀行の最大株主はリビア政府。。。
毎日の生活の中で、アラブの人たちを見ることなしに一日たりともすごせないくらい、ミラノでは彼らの存在は日常化している。

これを機に民主化を願う声、イスラム勢力の拡大を懸念する声、さまざまな分析や思惑をよそに 居場所のなくなった大量の人たちの様子が 日々報道されている。
彼らに行くところ、そして帰るところはあるのだろうか。

この種の状況を耳にするたびに 思い出す友人がいる。
イラン人の友人、マホメッド。
パーレビ国王が追放されたイラン革命のときにヨーロッパへ命からがら逃れた人の一人。
国王に近かったエリートとして父親が捕らわれたときに、家族が彼を逃がしたという。

イタリアの外国人大学で 多くの留学生に混ざって身を潜めていた彼が ひょんなことで私のベルギー人の友達と恋に落ち、ベルギーに移ってから もう何年がたつのだろう。。。
今では3人の子供の父親となり、救急車の運転手として働く彼は イラン革命以後 一度もイランの地を踏んでいない。

イタリアの南の島には 毎日大量の難民が船でたどり着く。
チュニジア、エジプト、リビアから今後到着する難民の推定人数は なんと2,30万。
収容所の数は足りず 他の地へ送られていく多くの人へのインタビューをみながらマホメッドの面影が ダブって見える。

生き延びるだけで必死だった。
ベルギーにたどり着く前も、イタリア、フランスと仕事を求めて転々とした。 住む国の言葉と ルールを必死で学んだが、同時にイランに残してきた家族が心配で仕方がなかった日々。

日本のような平和な国にいると、そんなことが自分に起こることは想像さえできない。
そして同時に、そこまで必死で生きることも もしかしたらないのかもしれない。

数年前、マホメッドと再会したとき、彼が話してくれた夢を今でも忘れない。

僕は妻に救われた。
彼女に出会わなかったら、今の自分はいなかった。。。


いつか、いつの日か
今のイランの体制が変わって
僕がイランに戻れる日が来るとしたら、
今度は僕が彼女を幸せにしてあげたい。
そして イランの素晴らしさを

僕の子どもたちに
生きていくための誇りのために
見せてあげたいんだ。。。

本気で生きる姿勢と
政府や体制などを抜きにした自分のルーツに対する誇り、
ともすれば忘れてしまう大切なことを 彼は私に教えてくれた。  

 


2011/6/30

ITALY WEB SITE 
英語で楽しめるイタリアの注目WEBサイトの紹介


アルタガンマ財団
http://www.altagamma.it/

アルタガンマ財団 Fondazione Altagamma は1992年に設立されたイタリアを代表する世界ブランド企業を統括する組織。イタリアの優れた産業とその背景にあるカルチャーを世界に向けて発信・振興することを目的としている。会員企業はファッション、ジュエリー、食品、自動車、家具デザイン、ホテルなど広範囲の部門で活躍する約75社。





2011/6/30
編集後記
「技術的理由」という不思議な言い訳


暑い夏の午後、歩きながら何気なく銀行の傍を通りかかると、ATM現金引き出し機に小さな張り紙のあるのに気が付いた。 「『技術的理由』のため、現在使用できません」と書いてある。

この「技術的理由」(イタリア語で「Cause Tecniche カウゼ・テクニケ」)という言い方、イタリアでは年中耳にする表現である。 たとえば国営テレビRAIのニュースで、メインキャスターのいるスタジオから、現場中継へと画面が切り替えになった時、現場のアナウンサーの声が入らないとする。そんな時日本だったら、関係者の「始末書もの」事件になりかねないと思うが、ここイタリアでは「『カウゼ・テクニケ(技術的理由)で』音声が入りません」とキャスターが平然としていい放ち、「次の話題に移りましょう。音声が戻ったら、この話題に戻りましょう」といって、次の場面に。

街で市電に乗っていて目的地はまだなのでのんびりと座っている時、急に市電が止まる。周りの乗客がどんどん降りていくので何かと思ってきくと、「カウゼ・テクニケ(技術的理由)」で車両交換とのこと。しょうがないので私も慌てて降りるしかない。

その他、自動販売機など「技術的理由」で利用不可だったり、「技術的理由」でお金をいれてもモノがでてこなかったりなどという現象は少なくない。

かくも様々な場面で「技術的理由」ゆえの問題があること以上に驚くのは、ATM故障の場合も、TVの現場中継で音声がでない場合も、市電の車両故障も、「技術的理由」という説明だけで、イタリアでは物事が平穏に進んでいくことである。申し訳ないといったお詫びの言葉もない。なぜなら、原因は「技術的理由」なのだからしょうがないというのがスタンスである。さらに不思議なのは、「技術的理由」といわれると、消費者や利用者側も、大変に寛容でそれで納得してしまうという反応である。世の中の「機械」や「システム」というのは人格があって、それぞれに独自に機能していて、それが「技術的理由」で機能しないのも、「機械」や「システム」のせいなのだからしょうがないと受け止められているようなのだ。

イタリアに来て間もないころは、この現象と発想の違い、そして責任の取り方の違いに驚いた。 日本の場合は、それが銀行でも商店でもTV局でも、自らのサービスを実施する機械やシステムが常にパーフェクトな状況で機能するように整備することが、サービスの基本と考えている。そのため、定期点検や整備にエネルギーもコストもかけている。利用者側もそれが当然と考えているので、技術面で不備があり機能しないことが多々あると場合によっては、「大問題」になり、その銀行やTV局の経営責任にまで発展することさえある。「技術的理由」などというのは、「言いわけ」としてまったく通用しない世界である。 

当初は、どうしても釈然とせず、このような場面にでくわすと、現場にいる担当者などに「機械を常にメンテをして機械がスムーズに動くように整備するのが管理する人間側の責任では」などと申し立ててみたが相手は「なんて変わったことをいう外国人」というような表情になり、何の効果もなかった。

幸い、以前と比べるとイタリアでも「技術的理由」ゆえのトラブルの数は近年かなり減少してきた。しかしながら、「技術的理由」に派生する問題の起こらない体制を求める日本と、問題があっても「技術的理由」で片づけがちなイタリアという構図はそのままだ。この根底にはイタリア側の管理責任感覚が甘いということだけではなく、そもそも「機械」や「技術」と「人間」の関係に対する認識に大きなギャップがあるように思えてくる。この差異の根っこを理解するには文化的・社会的・歴史的な面にまで深く掘り下げる必要がありそうだ。


2011年6月30日
JIBO編集室
大島悦子 (Etsuko Oshima)


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