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2011/2/28

HOTなエスプレッソITALY WEB SITE編集BACK NUMBER

HOTなエスプレッソ 



田中ちひろ

京都生まれ、91年よりミラノ在住。三井住友保険会社ミラノ支店勤務の一方で、日本、イタリア、フランス等各国で 異文化間マネージジメント、コミュニケーション、NLPセミナー・トレーニングを行っている(www.global-excell.com)。執筆は「ストレスは捨てられる」(中経出版)、「普段着のミラノ案内(晶文社)」をはじめ各種新聞雑誌コラム等多数。

 

2011/2/28

61. アラブ諸国の異変に思う

チュニジア、エジプトの旧政権崩壊から まだ戦いの続いているリビアまで、アラブ諸国の動きが世界中の注目を浴びている。 政権が崩壊していないそのほかの国々でも その動きは飛び火して、デモや衝突を生んでいる。

アラブ諸国とは石油をはじめ、経済的な関係で繋がっているとは言うものの、日常生活においてその地の人々とほとんど接する機会がない日本と違って イタリアにいると彼らは 日常のごく当たり前の風景の中にいる。

イタリア人にとって もっとも手ごろにいけるバカンス地は チュニジア、エジプト。
ローマからなら飛行機で1時間、パリに行くよりよっぽど近いチュニスやカルタゴは 私にとってもヨーロッパに住んで最初に行ったバカンスの土地。 いつもよく行くケバブ屋さんや角のピッツェリアのオーナーはエジプト人。 私の使っている銀行の最大株主はリビア政府。。。
毎日の生活の中で、アラブの人たちを見ることなしに一日たりともすごせないくらい、ミラノでは彼らの存在は日常化している。

これを機に民主化を願う声、イスラム勢力の拡大を懸念する声、さまざまな分析や思惑をよそに 居場所のなくなった大量の人たちの様子が 日々報道されている。
彼らに行くところ、そして帰るところはあるのだろうか。

この種の状況を耳にするたびに 思い出す友人がいる。
イラン人の友人、マホメッド。
パーレビ国王が追放されたイラン革命のときにヨーロッパへ命からがら逃れた人の一人。
国王に近かったエリートとして父親が捕らわれたときに、家族が彼を逃がしたという。

イタリアの外国人大学で 多くの留学生に混ざって身を潜めていた彼が ひょんなことで私のベルギー人の友達と恋に落ち、ベルギーに移ってから もう何年がたつのだろう。。。
今では3人の子供の父親となり、救急車の運転手として働く彼は イラン革命以後 一度もイランの地を踏んでいない。

イタリアの南の島には 毎日大量の難民が船でたどり着く。
チュニジア、エジプト、リビアから今後到着する難民の推定人数は なんと2,30万。
収容所の数は足りず 他の地へ送られていく多くの人へのインタビューをみながらマホメッドの面影が ダブって見える。

生き延びるだけで必死だった。
ベルギーにたどり着く前も、イタリア、フランスと仕事を求めて転々とした。 住む国の言葉と ルールを必死で学んだが、同時にイランに残してきた家族が心配で仕方がなかった日々。

日本のような平和な国にいると、そんなことが自分に起こることは想像さえできない。
そして同時に、そこまで必死で生きることも もしかしたらないのかもしれない。

数年前、マホメッドと再会したとき、彼が話してくれた夢を今でも忘れない。

僕は妻に救われた。
彼女に出会わなかったら、今の自分はいなかった。。。


いつか、いつの日か
今のイランの体制が変わって
僕がイランに戻れる日が来るとしたら、
今度は僕が彼女を幸せにしてあげたい。
そして イランの素晴らしさを

僕の子どもたちに
生きていくための誇りのために
見せてあげたいんだ。。。

本気で生きる姿勢と
政府や体制などを抜きにした自分のルーツに対する誇り、
ともすれば忘れてしまう大切なことを 彼は私に教えてくれた。  

 


2011/2/28

ITALY WEB SITE 
英語で楽しめるイタリアの注目WEBサイトの紹介


コスモプロフ・ワールドワイド・ボローニャ
http://www.cosmoprof.com

化粧品、美容関連製品の国際見本市「COSMOPROF WORLDWIDE  BOLOGNA」公式サイト。ボローニャ・フェアー会場で3月18日から21日まで開催される。香水、スキンケアーをはじめ、ヘアー、ナイルケアー、SPA用品などビューティ分野の企業2254社が出展する。





2011/2/28
編集後記
ある日突然「あっと」思うことが 


イタリアでは時々、あっと思うような法律が、一般の眼からは前触れもなく、急に国会などで決定され、実施されることがある。今回もその「あっと」と誰もが思ったに違いない出来事がおこっている。

ことのはじまりは昨年12月のはじめ。
イタリアで2011年1月1日から、スーパーで使うポリ製レジ袋(プラスチック・バッグ)の製造と販売が全面禁止され、これらの袋を店舗で客に配布することが全国一律に禁止される、と報道されたのだ。最も、在庫を使い切るまではレジ袋の使用は認められるものの、今後は、生分解性の袋を利用するか、布袋、紙袋への切り替えを図ることが義務づけられたのだ。

おそらく、イタリア消費者の99%以上の人は、寝耳に水の形で、この新しい条例を知ったのではないだろうか。消費者だけでなく、実際にポリ袋を生産しているメーカーもあわてて抗議運動をおこしているようなので、生産者メーカーもそれほど前から知っていたとは思えない。全国の主要大型流通店でつくる団体Federdistribuzioneも、「この種の条例は段階的導入が基本のはず。現在のエコ・コンパティブルな生分解性の袋の生産レベルではとてもポリ製レジ袋の代替えには不十分」と抗議している。メーカーや流通業がかくも慌てているのをみると、これら関係者も直前まで知らなかったのでは?と思えてくるほどだ。あるいは、知っていたものの、どうせ制定されないと、タカを括っていたのかもしれない。 

ところで、イタリアの政治といえば、日本でも知られているように、中道右派と中道左派が何事でも対決し、その他にもさまざまな政党もあり、どの党派も、どの政治家も互いに意見を主張しあうばかりで何一つ決まらないのが通常だ。ところがごく稀ではあるが「誰も反論できないような立派な正論根拠」があると、普段はケンカをしている右も左も反論の余地がなく、全員一致で通ってしまうことがある。とりわけ特別の予算措置や財源を必要としない場合はなおさらである。今回のレジ袋についても環境保護対策の一環として提案されると確かに「反対する理由」はみつからなかったのだろう。

実際に、新聞報道によれば、イタリア人一人当たり毎年400枚程度の使い捨てレジ袋を使用しており、イタリア全体では200億枚以上に及ぶというのであるから、環境保護の観点からは、これを無くすことに「正面から反対」しようとする政党は存在しないのだろう。

数年前にも、かなり似たようなことが似たような時期にイタリアでは起こっている。やはり12月のある日突然に報道された「来年1月1日からイタリア全国で飲食店の喫煙を全面禁止する」という条例だ。条例違反をすると喫煙した者もお店側も罰金が課される仕組みだ。「へえ?まさか」と思った人も多かっただろうが、クリスマスや年末のお祭り騒ぎが終わって年があけると、文字通りこの条例が1月から施行されていた。これも「健康問題」という「大義」「正論」を前にどの政党も反対できず満場一致で決まったようだ。喫煙家の間でもまとまった反対運動もなく、他国に先駆けて、信じがたいほど順調にイタリアでの飲食店での全面禁煙は全国津々浦々まで完全に浸透して現在に至っている。

ところで、私がよく行く最寄りのスーパーでは2年位前に店舗リニューアルの際に地元の顧客全員に使いやすい青色のエコバックをプレゼントしてくれたので、普段はこの青色バックを使うように心がけている。 近所を歩いていてもこの青色バックを持ち歩いている人が結構いて、なんとなく微笑ましい。

今回のレジ袋条例、実際には、違反に対する罰則が地方自治体にゆだねられ、まだ決まっていないなどの理由で1月1日からの実施は回避され多少の猶予期間が設けられているがいずれにしても時間の問題のようだ。 2月末、このスーパーに、出先からの帰りに立ち寄った際、「あ、エコバック忘れてしまったわ」というと、見慣れないレジ袋を渡してくれた。色は半透明で手のひらに馴染むような「クチャ」とした感触のレジ袋である。 袋には「プラスチック製のレジ袋よ、さようなら! 私はマタービー(MaterBi)でできた生分解性の環境に優しい袋です」と印刷されている。 

この調子でいけば、飲食店の全面禁煙と同様に、レジ袋条例も、意外なスピードで全国に浸透するのかもしれない。導入のフィジビリティスタディなしの「出たとこ勝負」に見えるこの種の条例導入、もしかしたら、イタリアではベストの方策なのかもしれない。


2011年2月28日
JIBO編集室
大島悦子 (Etsuko Oshima)


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