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2011/1/31

HOTなエスプレッソITALY WEB SITE編集BACK NUMBER

HOTなエスプレッソ 



田中ちひろ

京都生まれ、91年よりミラノ在住。三井住友保険会社ミラノ支店勤務の一方で、日本、イタリア、フランス等各国で 異文化間マネージジメント、コミュニケーション、NLPセミナー・トレーニングを行っている(www.global-excell.com)。執筆は「ストレスは捨てられる」(中経出版)、「普段着のミラノ案内(晶文社)」をはじめ各種新聞雑誌コラム等多数。

 

2010/11/30

60. お隣さんの死

先日お隣の老夫婦の奥様が亡くなった。
今の家に引っ越してきてから4年半、仕事をしている私と時間帯が違うため それほど頻繁に顔を会わせる事はなかったとはいうものの 同じ階に2軒しかないうちのもう1軒に住むご夫婦は私にとって唯一のお隣さんだった。

引越しの挨拶をしてまもなく、癌で倒れた奥様は 何度かの手術やつらい治療にも耐え いつも笑顔を絶やさない人だった。
クリスマスのころになると クリスマスのリースを自分のドアに飾るついでに いつも私のドアにも飾ってくれたり、 電気の点検などが各家に回る通知が来ると 「よかったら、自分たちが立ち会ってあげようか」と 私が仕事からわざわざもどってこなくてもいいように 声をかけてくれたりするのだった。

そんなご夫婦の優しさにほとんどお返しできなかった私だけれど 1,2週間見かけない日が続くと 隣のベルを鳴らした。 元気なときは リビングで昔話を聞かせてくれる。 調子の悪いときはベッドに横たわりながらも 私の話を聞きたがった。

「僕が元気でよかった」と献身的に尽くすご主人に支えられて歩く奥様に 「こんな献身的なだんな様がいるなんて あなたは世界で一番幸せね」と言うたびに ふたりして ほほを染めてテレてしまうそんなほほえましい姿が 今もまだ心をやさしくする。

死は突然にやってきた。
火曜日の朝、建物の入り口でいきなり見つけたお葬式の印。 信じられない思いで引き返し お隣のベルを鳴らすと 目を真っ赤に腫らしたご主人がいた。
抱きしめるしかできない私に 「彼女にあってほしい」と一言。

薄く化粧を施した姿で いつものベッドに横たわる彼女。 人は亡くなると、どうしてこんなに小さく見えるんだろう。 柔和な表情と胸のところで組んだ細い両手にロザリオが 窓からさす光に浮かんで見えた。

「これが人生というもの」 そうつぶやくご主人に どんな言葉もなんの役にも立たない瞬間、手を握って離さないご主人の手を 強く握り返してあげるしか そのときの私にはできなかった。
誰もが必ずいつか行き着くその瞬間を 明日かも知らないそのときを 私はどのように迎えるのだろう。

奥様のように柔和な表情で迎えることができるのだろうか?
そのために 今のこの一瞬一瞬を 人との出会いや 人生の美しさを 大切にできているだろうか?

使い古された質問ではあっても 問いかけすぎることだけは決してない
そんな質問が今もこだましている。

残り少ない2010年が そして新しく訪れる2011年の一瞬一瞬が 皆さんにとって素晴らしい時間でありますように。

BUON NATALE!
e
FELICE ANNO NUOVO!  

 


2011/1/31

ITALY WEB SITE 
英語で楽しめるイタリアの注目WEBサイトの紹介


国際家具サローネ 公式サイト
http://www.cosmit.it

家具・インテリアデザインの分野で最大規模の国際見本市、ミラノの「国際家具サローネSalone Internazionale del Mobile」公式サイト。50回目となる今年は4月12日―17日にミラノ見本市会場(Rho)で開催され、これまで最高の2720社の出展が予定されている。同時にミラノ市内各所で数百にのぼる関連イベントが実施される。





2011/1/31
編集後記
折り紙とNINTENDO


1月中旬、年末年始で日本に帰省した後、ミラノに戻ってすぐ、同じマンションに住むイタリア人の友人を、彼女の好きな干し柿をお土産にたずねたときのことである。 5歳の男の子と2歳の女の子も家にいて、クリスマスにもらったオモチャやゲーム類の披露合戦が始まった。へえ、今ごろの幼児はこんなもので遊ぶのかとこちらも一緒にしばらくお相手をした。5歳の坊やと「上がりスゴロク」的なゲームを一緒にサイコロをふって「怪人」だかの「駒」を進めて遊んでいると、2歳の女の子は、背の丈ほどある大きなママゴト・セットが自慢でそこでコーヒを用意してもってきてくれる。大昔の私の小さいころともあまり変わらない風景で懐かしいような気持ちになる。

友人がお茶をいれてくれたのでテーブルにつくと、「ねえ、オリガミの鶴を教えて」と突然いう。テーブルには、日本のきれいな千代紙のオリガミがおいてある。「え?鶴?」私は一瞬あわててしまう。最後に鶴を折ったのはいつのことだったかしら?と。おそらく10数年以上もやっていないので折り方がまったく頭に浮かばない。母親だけでなく、5歳の坊やもオリガミを前にしてニコニコしているではないか。ここで出来なかったら何たる醜態だろう。「鶴はね、少し難しいから、日本でも幼稚園のうちはまだしないのよ。小学校に入ってから普通は折るのよ」など、いい加減な弁明をしてみたが一向に動じない。オリガミの入っていた袋をみて、安心した。裏に鶴の折り方の略図が書いてあるではないか。これで大丈夫と安堵した。「最初に四角に折りましょうね」とはじめると、坊やも一生懸命折りはじめた。途中で5歳の子にはやっぱり難しくなり、こちらで仕上げたが、立派な鶴が完成し皆大喜び。こちらもほっとした。「折り紙の本は、近くの子供向け本屋さんでも売っているのよ」ということ。へえ、そんなに普及しているのかと改めて驚く。

すると、「相談したいことがあるのだけれど」と友人はいう。「この子に柔道か空手か合気道を習わせたいのだけれどどれがいいかしら。」という。確かにイタリアで日本の柔術を習う子供や大人が沢山いるのは事実だ。少なく見積もっても数十万人はいそうだ。どこにいっても「子供の時に柔道をやっていた」とか「私は30年、今でも空手をやっています」などというイタリア人に出会う。
「なんで習わせたいの」ときくと、「イタリアでは、ルールや規律といったことを学校では教えないので武術を通じて子供に触れさせたい。それに小学校も中学校も先生は全員女性で男の先生はいない。父親とは別に大人の男性のモデルを持たせたい」とのこと。日本に住んでいたら、柔道と空手と合気道の違いなど一生考える機会はないだろうが、友人の大切な子供のしつけとなると、さてどう答えたらいいか責任を感じてしまう。

その翌日の土曜日のことだ。朝、テレビでRAI(国営放送)をみていると、小さい子供が6-7人、モーニングショーのような番組に出演している。テーマは「子供の遊び」だ。司会者が子供たちに「ところで君たちはふだん何をして遊ぶの」ときくと、4歳の子供が「プレイステーション」という。次の7歳の子供にマイクをむけると「私もプレイステーション」という。司会者と大人のゲストは当惑して「我々の小さいころは、アパートの中庭で子供たちが遊んだものだが」「昨今はその中庭の遊びがなくなってしまった」などと現状を嘆いたあと、今度は5歳の子供に「君はどんなオモチャで遊ぶの」とたずねた。その子が「Nii」と大声でいうと、司会者はあせって、「商品名ではなくて」とたしなめた。国営放送だから、商品名がまずいことは日本のNHKと同様である。懇願するように次の子にマイクをむけると、3歳の女の子が毅然として「NINTENDOU」と言い放った。司会者もゲストもこれには大笑い。確かに、任天堂は企業名であって商品名ではないのだから。

毎日沢山放映されている日本のアニメはいうに及ばず、イタリアの子供の世界における日本の新旧カルチャーの存在は想像以上に大きそうだ。


2011年1月31日
JIBO編集室
大島悦子 (Etsuko Oshima)


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