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2009/7/31

HOTなエスプレッソITALY WEB SITE編集BACK NUMBER

HOTなエスプレッソ 



田中ちひろ

京都生まれ、91年よりミラノ在住。三井住友保険会社ミラノ支店勤務の一方で、日本、イタリア、フランス等各国で 異文化間マネージジメント、コミュニケーション、NLPセミナー・トレーニングを行っている(www.global-excell.com)。執筆は「普段着のミラノ案内(晶文社)」をはじめ各種新聞雑誌コラム等多数。

 

2009/4/30

56. 「ドバイにて」

先日ドバイを訪れた。
アラブ首長国連邦、ペルシャ湾に突き出したアラビア半島の先にある小さいけれどとても豊かな国のなかの、これまた非常に豊かな町。
石油マネーで急成長を遂げ、今やシンガポール、香港に次ぐ世界第3の中継ぎ貿易地となった、この町は私にとって、長い間なぞに満ちた町だった。

年間7千万人が利用するというドバイ航空に早朝についた私は、まず税関で真っ黒なブルカ(アラブの女性の民族衣装)をまとった女性から通関検査を受けた。
通関の男性もまた、アラブの白いベールと白い長い服、そして頭には例の黒い輪をつけている。
「ああ、アラブの国に着いたのだ」、そんな当たり前のことにいまさらながら感動した。

ドバイは、やしの木の形をした人口島、パームアイランドとその豪華なリゾートマンション群、ヨットの形をした有名な7星ホテルや、世界一高いビル、最近では45度を超える灼熱の地にスキー場を創るなど、世界の注目を浴び続けている。
その豊かで超モダンなイメージと、目しか見せない女性たちや砂漠を行くらくだの姿、そしてモスクから聞こえる祈りの声といったイメージが、どうしても結びつかない。あまりにもギャップがある。
そんな私の疑問を覆すように、そこではすべてが、ごく普通に共存していた。

ところで、イタリア人がアラブの人、特にアラブの女性の話になると、非常に感情的になるのはどうしてなのだろう。
「カルチャー」に関するセミナーをいろんな国籍の人相手にする機会が多い私だが、黒いブルカはもちろん、アラブの男性の白い長い衣装とベールを見ただけで、警戒心を持ち、攻撃的になる人を今まで何人も見てきた。
今回の旅を一緒にしたイタリア人の友人もその一人だった。
彼女自身、これがはじめてのアラブの国の訪問だった。アラブ人の友人を持ったこともないという。つまり、本来なら「白紙」であるべき人が、知らないうちにこれほどまでの偏見を持っていたことに彼女自身が驚いた。

一般の日本人にとっては アラブの人々はまだまだ「遠い人」だろう。
イスラム教も、せいぜいTVでみるくらいのもので、ミラノのように、日常生活でその祈りに出くわすこともない。

それに対してイタリアは、中世以降、歴史的に何度も好ましくない接触をもち、また最近では、イタリアの労働市場を脅かす移民問題や、或いは極端なテロ報道がアラブの人たちのイメージをさらに悪くする。
つまり、「近くにいすぎる異質で、厄介な存在」ということが、いつの間にかみんなに刷り込まれているようだ。

「自分の目で見たわけでもない」、「本来なら未知でニュートラル」であるべきことが、知らない間に周りの人のこれまた無責任な感覚にゆがめられて、大きな偏見を生んでいる.....
私たちは、いったいどのくらいの偏見を持っているのだろう。
そしてまた、そのために「知る」チャンスや「出会い」のチャンスを逃しているのだろう。

3日間という短いたびの中で、できるだけいろんな日常の場へ出かけ、現地の人たちと話をし、人々を観察した。
スークの屋台で働く人たちやフィリピンやインドからの移民と世間話をしたり、アラブのビジネスマンはドバイの経済事情を延々と説明してくれた。

有名ブティックでカラフルな衣装を試着するブルカの女性、レストルームでブルカの下のかっこいいスーツを整える女性、真っ赤な口紅をベールの下につける女性。
家族連れや夫婦では子供の手を引き、面倒を見るのは男性のようだ。子煩悩の白い衣装のパパは、大きな荷物もすべて運び、さらに女性を守っている。初々しく手をつないで歩くカップル、若い女の子たちが、きれいなブティックの前でお気に入りを友達と比べあっている。高校生くらいの少年たちが、スターバックスの前でふざけあっている。民族衣装を身に着けて、男女は別々に行動しているが、そんなどこの国でも見るごく普通の光景に心が和んだ。

一緒に言ったイタリア人の友人の偏見が一つ一つほどけていく....

町で出会った人々が、老若男女を問わず口々にドバイを語ってくれた。
税金というものがほとんど存在しない。学校も病院もすべて無料。治安はよく、夜中に町を歩いても問題はない。町はごみも落ちていないし、清潔できれい。そして「ここはとってもいい国だ」と断言した。

世界のあちこちで起こる紛争や問題に、おそらく、宗教も民族も関係ないのだ。
人々は豊かであれば、違いを受け入れる余裕も持つのだ。
人口の80%が外国人というドバイで、人々が違う宗教、違う風習、違う民族と毎日ふつうに共存しているのが、その何よりの証拠だろう。

アフガニスタンやパキスタン、アフリカの各地、その他、紛争が続く土地はいまだたくさんある。
そこの治安に貢献するといって使われる軍事費のすべてが、もし、その土地を豊かにし、食べ物や教育や医療がすべての人に届くように使われれば.......そんな夢のような物語を思わずにいられなかった。

 


2009/7/31

ITALY WEB SITE 
英語で楽しめるイタリアの注目WEBサイトの紹介


イタリア共和国 大統領府
 公式サイト
http://www.quirinale.it/

「クイリナーレQuirinale」と呼ばれるイタリア共和国大統領府のサイト。党派を超えてイタリア国民各層から敬愛されているジョルジョ・ナポリターノ大統領の活動のすべてが掲載。なお同大統領はこの9月中旬に「日本におけるイタリア2009」を記念して公式来日が予定されている。テノール歌手マリオ・デル・モナコによるイタリア国歌「L'inno di Mameli (Fratelli d'Italia)」」(1961年録音)も楽しめる。





2009/7/31
編集後記
いよいよミラノは「夏休み」

毎年、夏が近づくと、ミラノの街角のレストランや店舗に小さな張り紙が目に付くようになる。一つは、数は少ないが目立つように太字で書かれた「AGOSTO TUTTO APERTO」(8月毎日開店)という種類のもの。多くのレストランや店舗が夏休みをとる中で、「当店はオープンすることを強調する告知である。ミラノ居残り組みにとって、せめて、外食でもという時の貴重な情報となる。

一方、数でいえば圧倒的に多いのは、夏休みの閉店期間を表示する小さな張り紙である。「夏季休暇につき、○月○日〜○月○日まで閉店」というたぐいの内容である。

例年8月は日本に一時帰国することが多いが、今夏は諸事情で8月中旬近くまでミラノにいることになった。それで日常の行動範囲内で8月にも開店する店を軽くリサーチしてみた。 

夏の間も通常は開店が保障され、居残り組みの「命綱」となるスーパーだが、最寄りのスーパーは全面改修のため8月2日から9月15日までクローズだという。二ブロック先のスーパーにまで足を延ばすことになりそうだ。その代わり、近くのパン屋は「8月は休まず開店」とあるので、「ラッキー」と喜んだ。毎日早朝からパンを焼いてくれてありがとうと感謝したくなる。

クリーニング屋も文房具屋も8月7日から休みに入るときいて、忘れないうちにクリーニングを持っていったり、プリンター・カートリッジのストックを確かめたりしてしまう。行きつけの美容院も同様に8月初旬から休むが、いつもカットをお願いしているご主人は7月末で一足先に休暇に入るとか。新聞・雑誌スタンドと薬局は地域内輪番で店舗を開くのでこのあたりは心配ない。

この時期、ミラノにいるのは私にとってほぼ初めてのことだ。車も人通りも少なくなる静かなミラノをこの際興味深く体験したい。


2009年7月31日
JIBO編集室
大島悦子 (Etsuko Oshima)

8月はJIBO編集室も夏休みとさせていただきます。
次の定期更新は9月末です。
お元気でこの夏をお過ごしください。Buone Vacanze !


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