JAPAN-ITALY Business On-line
0 BUSINESS ON-LINEITALY NEWS

COFFEE

2009/3/31

HOTなエスプレッソITALY WEB SITE編集BACK NUMBER

HOTなエスプレッソ 



田中ちひろ

京都生まれ、91年よりミラノ在住。三井住友保険会社ミラノ支店勤務の一方で、日本、イタリア、フランス等各国で 異文化間マネージジメント、コミュニケーション、NLPセミナー・トレーニングを行っている(www.global-excell.com)。執筆は「普段着のミラノ案内(晶文社)」をはじめ各種新聞雑誌コラム等多数。

 

2009/1/30

55. 「肺炎」

ミラノに住むようになってかなりの年月がたつが、今年ほど寒くて、雪が多い冬ははじめてだった。
雪化粧の古いミラノの町並み、木々を覆う細かな雪、宙をまう柔らかなボタン雪、すべてが音をなくしてしまったような錯覚を楽しんだのもつかの間、雪に慣れていないミラノは交通マヒをはじめ、さまざまな問題に直面した。
しかし、そんな中でこの冬一番驚いたのは”肺炎”だったかもしれない。
毎年この時期になると必ずやってくる数々のインフルエンザ、今年はやれ、香港型だの、オーストラリア型と連日、インフルエンザに関する報道が伝えられるが、異常な寒さと湿気が原因なのか、かなりの多くの人がお年寄りでも子供でもないのに今年は肺炎にかかった。私の周りにも3人が40度以上の熱に連日うなされ、10日以上入院することになったのだ。

熱が少し下がるのを待ってお見舞いに行く。
診察を待つ人であふれかえる外来を抜けて、大きなエレベータと病院独特のにおいがする殺風景な白い廊下を進み、めざす病棟にたどり着く。
お見舞いができる時間は一応決められているものの、そのあたりの取り締まりは日本よりかなりルーズ。
おしゃべり好きのイタリア人だからなのか、少し元気になった人は 自分のベッドでゆっくりしていないので、見つけ出すのに一苦労。
違う病室に行って話し込んだり、売店まで散歩したりで、ベッドにいないことがほとんどだ。
詰め所のそばにある談話室は、まるで社交の中心であるかのようにいつも大変なにぎわいようだった。

それにしても、ここ数年でイタリアの病院は変わってしまった。
病院によって多少の差はあるものの、イタリア人の看護士さんがほとんどいなくなった。
この冬、3人の友達を訪ねて5回病院に行ったが、見かけた看護士さんの80%が、東欧、インドなど明らかに外国からの人たちだった。
入院している友達らが口をそろえて言う。
「彼女たちはやさしいし、プロなんだろうけど、なんとなく不安なんだよね。」
「偏見なのかもしれないけど、衛生に関する観念が違うなって感じることがある。」
「本当にこちらが話していることが全部伝わっているのか、分からないことがある。」
「食事の質も落ちたし、たとえばパスタがゆですぎだといっても、そのことを分かってもらえない。」
病院で唯一の楽しみといってもいい食事への不満は文化摩擦に繋がっていく。 

今や数少なくなったイタリア人の看護士の友人も、職場が変わってしまったことを心配する人の一人だ。
EUの拡大で東欧からの出稼ぎ看護士がここ数年、ものすごい勢いで増えたのだという。
看護士のようにきつくてつらい仕事は今のイタリアの若い人には流行らない。
病院側も外国人を雇ったほうが安くつくので 便利だというわけだ。
一応、資格を持っている人が採用されているはずだが、資格試験の水準や、許可書の配布に不透明なところが多いらしく、彼女自身が戸惑っているという。
一方で失業の問題を抱えながら、仕事を選ぶイタリア人。
コスト面で移民の採用に走る雇用側。
人道的な立場からその規制に介入する教会勢力と キリスト教徒票を前に改革を進められない政治家たち。
そしてその一方で加速する人口の老齢化と経済危機.....
イタリアという国が肺炎にかかっている.....

ところで、今回肺炎にかかった友人のひとりは52歳の女性だったが、彼女を訪ねておどろいた。
5人部屋に入れられた彼女と同室の人は76歳、83歳、94歳、104歳だった。
シニョーラ ジョーバネ(Ms. Youngの意味)と呼ばれた彼女は苦笑しながら、彼女たちの関心ごとについて聞かせてくれた。
94歳の彼女は、ペディキュアをするのが大好き。ただ、検査のたびにとりなさいと看護師さんから叱られている。
83歳と76歳は、少しステキな男性医師の回診のある日はパジャマを着替える。
そして104歳の彼女は、2日に一度のシャンプーを決して欠かせないのだそうだ。

肺炎にかかったイタリアが、それでも輝きを失わない、そんなしたたかさを垣間見た気がする.

 


2009/3/31

ITALY WEB SITE 
英語で楽しめるイタリアの注目WEBサイトの紹介


VINITALY
http://www.vinitaly.com/index.asp

ヴェローナで毎年開催されるイタリア最大のワイン見本市の公式サイト。 今年は4月2日から6日まで。出展はイタリアからの3950社を含め29ケ国から総計4250社が91000uの展示スペースに揃う。昨年のビジター数は43600名。経済不況の中、バイヤーの反応に注目が集まっている。



2009/3/31
編集後記
ああ、ミラノ中央駅!
美しく全面リニューアルはしたけれど

日本から仕事や旅行で始めてミラノに見える方が、「ホテルはミラノ中央駅のそばにしました。便利だと思って」というのを聞くと、「ああ、やっぱり日本人」と思わざるを得ない。
東京であれば駅というと新宿駅や渋谷駅のような活気があり清潔で便利な駅のターミナルが当たり前だから、ミラノでも「駅のそば」がベストと思ってしまうのに違いない。

ところがところが、ミラノに限らず、イタリアでは駅構内や駅のそばは、治安上決して「オススメの場所」ではない。駅のまわりは、様々な目つきや人相の外国人がいるしホームレスの人もいる。 イタリアの駅には改札がなく検札は列車がスタート後に車内で行われる。そのため、駅構内はもちろんのこと、プラットホームにも列車の車内にも事実上誰でも入れるので、駅はいろんなオモワクの人がチャンスをねらっている場所でもあるのだ。
かつて、ミラノ総領事館の方が、日本人がミラノであうスリや置き引きなどの約90%がミラノ中央駅周辺でおこっていると報告されていたが、まさに、何でもありが、中央駅なのだ。
残念なことに大切なカバンやハンドバック、あるいはパスポートや現金など、本人がまったく「気がつかない」うちに「盗まれてしまう」事件が後をたたない。ニューヨークのようにピストルで脅されて!というたぐいのことは起こらないが、事実上泣き寝入りするしかない「不愉快な」経験を味わうことになる。

もちろん、日本人だけが狙われているわけではないが、「プロ」からみると日本人はきっと狙いやすい人種のカテゴリーに入っていることは確かだ。
たとえば、若い日本女性が「ミラノ中央駅」で友達と待ち合わせの約束をして、事件にあいそうになったという話を聞いたときは、「絶句」してしまった。おそらく、渋谷駅前での待ち合わせの感覚で、思いついたことだろうが、ミラノ在住者にとっては中央駅は列車の乗り降りのためにのみでかける場所。そんなことをする若い女性がいると聞いたらミラネーゼも仰天するに違いない。

そもそもが、主要駅を基点に線路網を広げて町自体が発展してきた日本のターミナル駅とちがって、イタリアでは、ローマ時代あるいは中世、いずれにしても近代以前に町の主要構造は出来上がっていて、「近代の産物」である鉄道や駅は、町の「辺境部」に設置された場合が多い。ミラノの場合も、町の中心部は「チェントロ」といわれている「ドゥオーモ広場」付近であって中央駅は今でも「中心部」ではない。

このミラノ中央駅、3年以上の年月と総額1億2000万ユーロの費用をかけた修復工事の基幹部分が昨年12月に終了し、全面リニューアルした。今回の工事で1930年代に建設された歴史的な駅もモダンで広々とした切符売り場や16台のスロープ式動く歩道が新設されるなど機能性が格段とアップした。これまでとうってかわって清楚に輝く新しい駅がお目見えしたのは事実だ。
でもご用心!驚くほど高く立派な天井を見上げて駅でのんびり写真をとっているそこの方。注意してくださいね。スキをねらって見ている誰かがいるかもしれません。仕事や旅行でのミラノ滞在をポジティブな経験にするには、小さな注意をお忘れなく! 


2009年3月31日
JIBO編集室
大島悦子 (Etsuko Oshima)


TOP

ご質問・ご意見は/e-mail:jdesk@japanitaly.com
www.japanitaly.com
(C)Japan Plus Italy Co.,Ltd All right reserved.