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2007/5/31

HOTなエスプレッソITALY WEB SITE編集BACK NUMBER

HOTなエスプレッソ 



田中ちひろ

京都生まれ 大阪外国語大学イタリア語科卒業、88年イタリアのシエナに留学。91年よりミラノ在住。 著書「普段着のミラノ案内」(晶文社)をはじめ、新聞、雑誌、インターネットサイト等に執筆。三井住友海上ミラノオフィス勤務。 

 

2007/4/30

50. 「オステオパシー」

一ヶ月前くらいからオステオパシー(OSTEOPATIA)と呼ばれるものに通うことになった。
一年前に巻き込まれた電車の事故の後遺症で手足がしびれるのをなんとかしたいと総合病院の整形外科で訴えたら、先生がぜひ試してみなさいと薦めてくれたのだ。
舌をかみそうなこの名前、実は全くどんなものか見当すらつかなかった私だが、なんとなく名前の響きから 自然や身体と心の調和を大切にする、東洋医学の要素をたぶんに持ち合わせた、そんなイタリアで最近流行の治療法を想像した。

友人のつてでアポを入れたのがちょっと町外れの学校兼クリニック。
オステオパシーのドクターになるためには最低5年間学校に通わなくてはならないが、そのクリニックは5年間の勉強を終えて、資格を取るための試験を受ける直前の生徒たちが実習を兼ねて患者に接する。
患者はある意味で実験台だが、当然のことながら助手、資格を持ったドクター、先生なんかが必ず同席するから、彼らの真剣さといえば半端ではない。
最初の日は約1時間半かけてありとあらゆる身体のチェックをし、カルテを記入していく生徒たち。その間にも厳しい助手と先生のチェックや質問が入り、患者のどこに治さなくてはいけないものを見つけたか、それはなぜで、では具体的にどういう治療をするのかを先生が質問し、生徒がそれに答えていく。「生徒に見てもらうなんて大丈夫かな」とちょっとはじめは不安だった私も、こんなに真剣にそして丁寧に診察してもらったことはこれが始めだったし、すべてにおいて細かい説明が聞けるので まもなく安心する気持ちのほうが大きくなった。

イタリアではオステオパシーより普及しているものにフィジオセラピーというのがある。これは痛いところにレーザーをあてたり、マッサージをして筋肉をほぐしたり、症状が鞭うちだったりすると首の牽引をやったりと、日本の整形外科でもおなじみのもの。それに対してオステオパシーというのはちょっと違う。
なんでも90年代後半にアメリカ人によって考案された治療法で、西洋にありがちな”悪いところだけをみてそれを取り除く”タイプの治療ではなくて、身体全体に自然のバランスを取り戻させることによって、身体全体の中の自然治癒力を促進させ、頭痛や内臓の異常や身体の痛みをとっていくという、そういう意味では東洋医学に近い発想がある。
が、その一方で 針やお灸のように身体のつぼみたいなものをつかうのかなと思ったらそうでもない、ちょっと不思議な治療なのだ。
具体的に繰り返し繰り返しさせられるのが まっすぐ立ったり座ったりした状態で身体のゆがみを調べること、腕や足やいろんなところを動かしてみて骨や筋肉がその動きに正しくついていくか、正しい動きをするか、また身体のどこかを押さえてみたりして ほかの部分が本来健康状態のときにすべき反応をするかどうか.......そんなことをかなり細かく見ていくのだ。

手足のしびれもさることながら、事故で肋骨を折った私の場合はそこを守るため筋肉がその周辺だけ硬くなり、周りの筋肉や筋はそれをもとに新たなシステムというか発達の仕方をすでに作り上げていて、でもそれが今度は内臓や腰に負担をかけているとか....
そんな診断のもと、マッサージやかばんの持ち方を変えるようにというアドバイスや骨をボキボキッって鳴らして整えたり..... 
科学的な薬や手術などは一切行わない治療法だが、少なくとも私にはすぐに効果が現れてくれて 今のところ結構気に入っている。

イタリアでも最近は自然の力をできるだけ利用しての治療法、自然治癒力、身体のバランスということに人々の関心が集まっている。
ひょんなことで知ったこのクリニックだが、姿勢や体調のコントロールをかねて 運動不足なひとが 一年に数回通ったりする、つまり予防の意味もあるというオステオパシー。
治療が終わった後も時々いくことになるのかなぁなんて思い始めている今日この頃だ。

 


2007/5/31

ITALY WEB SITE 
英語で楽しめるイタリアの注目WEBサイトの紹介


BANCA D'ITALIA イタリア銀行
http://www.bancaditalia.it/

このたび全面リニューアルされ、使いやすくなったたイタリア銀行の公式サイト。各種統計データ、多様なレポート、刊行物、プレスリリースなどすべてサイトからダウンロードが可能。重要会議や声明のビデオも収録されている。


2007/5/31
編集後記
- 南イタリアの「Ginestra(エニシダ)の村」 - 

5月下旬の週末、南イタリアのまたまた奥深い南部にある国立ポッリーノ公園Parco Nazionale del Pollinoを訪れる機会を得た。同公園はバシリカータ州とカラブリア州の両州、県ではポテンツア、マテーラ、コセンンツアの3県に広がり、面積が19万2500ヘクタールにおよぶイタリア最大の自然保護地域を形成している。
1500メートルから2000メートル級の山々や渓谷など起伏に富む地形で、不思議なことに日本の田舎を思い出すどこか懐かしさのある風景が続く。このシーズン100種以上にのぼる花々や野草が同時に咲き誇り、その一つ一つを見ながら散策するだけでも興味がつきない。牛や馬も放し飼いにされており、風をきって走っていく馬の毅然とした姿には息をのむ。文字通り「手つかずの広大な自然」という表現がぴったりの地域だ。

私が宿泊したのはヴィッジャネッロViggianelloという村のお城。ヴィッジャネッロ村は同公園内に点在する56の市町村の一つで人口約3500名、海抜549メートルの高台にあり、面積は200平方キロにもおよぶ。村の歴史的中心部にそびえる城は1494年に築かれたもので現在は昔からの建物を厳格に修復した上で内部はホテルに改装されている。
城の修復とあわせて、この村では戦後のある時期に「アスファルト化」されてしまっていた歴史的中心部の道路を、中世のおもかげを残す石畳の道に全面修復したばかりである。EUの資金もひっぱってきて3年がかりで実現したと、31歳の若い副市長は話してくれた。自分たちの村の歴史的資源と公園の自然資源をいかした村おこしの第一歩だという。

ところでこの地域で最も印象的なのは、濃い緑の中でひときわ鮮やかに咲き誇るジネストラGinestra(日本名は「エニシダ」)の黄色い花だ。長く伸びた枝にマメ科特有の蝶型の小さな花を咲かせる美しい花木である。この地域に限らず、春から初夏にかけて南イタリアを旅すると必ず出会う花だ。前から気になっていた花だが村の人の話からこの村が「ジネストラの村」と呼ばれていることを知った時はなぜかとても嬉しくなった。ミラノに戻って、早速にイタリア語や日本語の辞書や資料検索を行って、思わぬ発見をした。
「エニシダは江戸時代に中国を経由して渡来した地中海地方原産の落葉低木」とあり、「エニシダという名前は古い学名のゲニスタ(Genista)に由来している」というのだ。つまり、「ゲニスタ」という原語から直接に日本語名「エニシダ」が生まれたというのだ。 南イタリアの「ジネストラの村」と日本の「エニシダ」の距離がぐんと短くなったような感じがした。

参考サイト www.comune.viggianello.pz.it
写真上:「Ginestra(エニシダ)」
写真下:「ヴィッジャネッロViggianelloの城からの眺め」


2007年5月31日
JIBO編集室
大島悦子


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