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2007/4/30

HOTなエスプレッソITALY WEB SITE編集BACK NUMBER

HOTなエスプレッソ 



田中ちひろ

京都生まれ 大阪外国語大学イタリア語科卒業、88年イタリアのシエナに留学。91年よりミラノ在住。 著書「普段着のミラノ案内」(晶文社)をはじめ、新聞、雑誌、インターネットサイト等に執筆。三井住友海上ミラノオフィス勤務。 

 

2007/4/30

50. 「オステオパシー」

一ヶ月前くらいからオステオパシー(OSTEOPATIA)と呼ばれるものに通うことになった。
一年前に巻き込まれた電車の事故の後遺症で手足がしびれるのをなんとかしたいと総合病院の整形外科で訴えたら、先生がぜひ試してみなさいと薦めてくれたのだ。
舌をかみそうなこの名前、実は全くどんなものか見当すらつかなかった私だが、なんとなく名前の響きから 自然や身体と心の調和を大切にする、東洋医学の要素をたぶんに持ち合わせた、そんなイタリアで最近流行の治療法を想像した。

友人のつてでアポを入れたのがちょっと町外れの学校兼クリニック。
オステオパシーのドクターになるためには最低5年間学校に通わなくてはならないが、そのクリニックは5年間の勉強を終えて、資格を取るための試験を受ける直前の生徒たちが実習を兼ねて患者に接する。
患者はある意味で実験台だが、当然のことながら助手、資格を持ったドクター、先生なんかが必ず同席するから、彼らの真剣さといえば半端ではない。
最初の日は約1時間半かけてありとあらゆる身体のチェックをし、カルテを記入していく生徒たち。その間にも厳しい助手と先生のチェックや質問が入り、患者のどこに治さなくてはいけないものを見つけたか、それはなぜで、では具体的にどういう治療をするのかを先生が質問し、生徒がそれに答えていく。「生徒に見てもらうなんて大丈夫かな」とちょっとはじめは不安だった私も、こんなに真剣にそして丁寧に診察してもらったことはこれが始めだったし、すべてにおいて細かい説明が聞けるので まもなく安心する気持ちのほうが大きくなった。

イタリアではオステオパシーより普及しているものにフィジオセラピーというのがある。これは痛いところにレーザーをあてたり、マッサージをして筋肉をほぐしたり、症状が鞭うちだったりすると首の牽引をやったりと、日本の整形外科でもおなじみのもの。それに対してオステオパシーというのはちょっと違う。
なんでも90年代後半にアメリカ人によって考案された治療法で、西洋にありがちな”悪いところだけをみてそれを取り除く”タイプの治療ではなくて、身体全体に自然のバランスを取り戻させることによって、身体全体の中の自然治癒力を促進させ、頭痛や内臓の異常や身体の痛みをとっていくという、そういう意味では東洋医学に近い発想がある。
が、その一方で 針やお灸のように身体のつぼみたいなものをつかうのかなと思ったらそうでもない、ちょっと不思議な治療なのだ。
具体的に繰り返し繰り返しさせられるのが まっすぐ立ったり座ったりした状態で身体のゆがみを調べること、腕や足やいろんなところを動かしてみて骨や筋肉がその動きに正しくついていくか、正しい動きをするか、また身体のどこかを押さえてみたりして ほかの部分が本来健康状態のときにすべき反応をするかどうか.......そんなことをかなり細かく見ていくのだ。

手足のしびれもさることながら、事故で肋骨を折った私の場合はそこを守るため筋肉がその周辺だけ硬くなり、周りの筋肉や筋はそれをもとに新たなシステムというか発達の仕方をすでに作り上げていて、でもそれが今度は内臓や腰に負担をかけているとか....
そんな診断のもと、マッサージやかばんの持ち方を変えるようにというアドバイスや骨をボキボキッって鳴らして整えたり..... 
科学的な薬や手術などは一切行わない治療法だが、少なくとも私にはすぐに効果が現れてくれて 今のところ結構気に入っている。

イタリアでも最近は自然の力をできるだけ利用しての治療法、自然治癒力、身体のバランスということに人々の関心が集まっている。
ひょんなことで知ったこのクリニックだが、姿勢や体調のコントロールをかねて 運動不足なひとが 一年に数回通ったりする、つまり予防の意味もあるというオステオパシー。
治療が終わった後も時々いくことになるのかなぁなんて思い始めている今日この頃だ。

 


2007/4/30

ITALY WEB SITE 
英語で楽しめるイタリアの注目WEBサイトの紹介


UIC(Ufficio Italiano dei Cambi)
イタリア為替局の公式サイト
http://www.uic.it/

本日の為替レートから過去の為替レート、国際収支、為替に関する法規、統計、出版物など為替のすべてを知ることのできる便利なサイト。


2007/4/30
編集後記
- 「ミラノ経済産業史セミナー」 - 

今思えば、この3月末に、イタリアのナショナルトラスト団体F.A.I.が主催した春の特別一般公開デーが、きっかけとなったのだ。 FAI の催しはイタリアの200都市であわせて500に及ぶ歴史的建築物を一般市民に開放するもので、ミラノ市内で公開され市民の注目を集めた「ミラノ証券取引所」Borsa Italiana 本部に私も行ってみた。

1932年に完成したという同建物は、ファシズム建築特有の巨大な前ファサードが周囲を圧倒している。イタリア株式取引の歴史の生き証人となってきたという意味でおもしろい建物だ。とはいえ本当に驚いたのは1930年代初頭の建設工事の過程で敷地の地下に西暦3世紀ローマ時代の遺跡、テアトロ(競技場)跡が発掘されたこと。そのためこの遺跡を保存し内包する形で建物は完成され、今でも同遺跡をガラス張りの上から見学することができる。そうか、ここが古代ローマ時代のミラノの中心地だったのだと思うと感慨を覚えた。そしてそのすぐ上に約1700年の年月を経て、イタリア経済近代化を推進した証券取引所が建設されたことにも歴史の不思議な因果関係をみるようで興味がつきない。

この出来事のおかげで、急にミラノへ愛着が生まれ、特にミラノの経済産業史への関心が深まった。少し関連書籍を読み出したがなにしろややこしい歴史だ。古代ローマ人による征服・支配の後も、ロンゴバルディの侵略やら、各国からの征服、いつの時代も政治的権力紛争の中心地となって変遷・また変遷の継続だ。そんな折、4月中旬から5回連続で「ミラノの産業経済史」セミナーが日刊経済新聞Il Sole 24 Oreの主催で開催されるときいて、早速申し込んだ。11世紀のコムーネ(自治都市国家)の時代から現在に至る8世紀にわたる産業経済の発達を、毎回、各時代の専門家によるレクチャーに加えて、その時代を描いた文学作品を俳優が朗読、また代表的美術作品を評論家が紹介するという「五感」を使って当時を知ろうという贅沢な企画だ。

1回目は残念ながら出張で出席できず、最初の出席となった2回目の講義は「スペインの覇権」時代。1535年から1705年までミラノの歴史のうち「暗黒の時代」というべき期間で、スペインの統治下の社会・経済の低迷、度重なるペストの流行と、気が滅入るような「暗い」時代だ。女優が朗読したのはイタリア近代文学の父と呼ばれるマンゾーニのPromessi sposi(「婚約者」)の一節。スペインの圧政下、主人公がミラノを後にしミラノ北東50キロのベルガモに落ちつき先をみつけ、小さな繊維工房経営者となって生活をたてていくくだりだ。講師の話ではベルガモは現在でも繊維産業の盛んな地域で、その歴史的背景にはこの時代にミラノを逃げ出した人々の貢献も寄与しているとか。ああそういうこともあるのかと、妙に納得した。
これから3回あるレクチャーで何が発見できるか、楽しみだ。
(写真は「ミラノ証券取引所」本部の一般公開デー。)


2007年4月30日
JIBO編集室
大島悦子


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