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2006/6/22

HOTなエスプレッソITALY WEB SITE編集BACK NUMBER


HOTなエスプレッソ 



田中ちひろ

京都生まれ 大阪外国語大学イタリア語科卒業、88年イタリアのシエナに留学。91年よりミラノ在住。 著書「普段着のミラノ案内」(晶文社)をはじめ、新聞、雑誌、インターネットサイト等に執筆。三井住友海上ミラノオフィス勤務。 

 

47. こどもと未来

先日友人のアンナがひさしぶりに電話をかけてきた。
「来週、ついにロシアに行くの」電話に出るなりそう告げた彼女はかなり興奮している様子。
ロシア?
夏のバカンスの行き先としてはそれほどポピュラーといえない行き先だが、それにしても ついに、というのはどういうことだろう?
アンナと話すのは半年振りくらいだったが、特にロシア語を勉強しているとか、ロシアの文化が好きとかそう言うことを聞いたことは一度もなかったので、思わず「よりによっても何でロシアなの?」と聞き返してしまった。
よくぞ聞いてくれましたとアンナの声のトーンが上がる。
「実は私、数年前から チェルノブイリの女の子を夏の間、ヴァカンスに預かったりしていたの」

そういえば、イタリアではチェルノブイリの原発事故の大惨事で両親をなくしたり、或いは体の調子があまりよくない子供たちを 夏の間 お日様に良く当てるため イタリアに招いて世話をするということがずっと行われているということを最近知ったばかりだった。カトリックの教会レベル、或いは山や湖など空気のきれいな保養地の村レベル、そしてヴォランティアの個人レベルとこれが結構よく耳にするのである。
身近なところでは、私の大家さん夫婦も 毎年夏はそれで忙しいと言っているし、同じ建物の3階にもやっぱりそういう子どもを預かっている若い女性がいるが、アンナもその一人だとは知らなかった。
アンナの女の子は両親をなくし、ロシアにはおばさんがいるらしいが 貧しくてその子の面倒までなかなか見れないらしく、2年ほど夏の間預かったところすっかり情が移ってしまって、養子にできるように1年前手続きを始めたのだそうだ。そして今回、やっとその許可が下り、ロシアまでその子を迎えに行く、その連絡を受けたばかりの喜びの電話だったのだ。

イタリアではカトリックの影響か、こうして貧しい国の子供たちを養子にしている人がとっても多い。同じイタリア人の子供と違って、明らかに肌の色や人種の違う子供たちがふつうにイタリア人の子供たちと過ごしている。
子供に恵まれないカップルが養子を探すのはもちろん多いのだが、去年からイタリアでは経済力があって、人間的にも子供を育てるのに支障がなければシングルでも養子を取れるようになった。また自分の子供はすでにいて それでも養子を取るカップルも増えてきている。
世界でいろんな天災が起こるたびに、たとえばインドネシアの津波やパキスタンの地震など、そのたびに孤児になった子供たちを引き取ろうという申し出が殺到するらしい。

その一方で、イタリアの出生率は1.3人、日本と変わらないくらい、世界で最も低い水準である。
結婚年齢があがったことや、またイタリアの場合離婚が難しいこと、さらには経済的な不安、失業率の高さがそれらの原因だが、最近の調査で、25歳以下の男女がで3年以内に子供を持ちたいと思う人がなんと全体の10%にも満たない、25-29歳になってもやっと25%ときいて改めてその深刻さを思い知らされた。
その一方で移民の子供たちの出生率はイタリア人のそれに比べて数倍高い。そんなこんなで、最近のイタリアの小学校は養子でイタリアにやってきた子供たちや、移民子供たちがいっぱい、その割合が増えてきているのだそうだ。
もしも彼らがきちんと社会の一員になっていくのなら、また養子になった子供たちやイタリアで生まれた子供たちはイタリア国籍をもらえるから、イタリア人として生きていくのなら それはそれでいいのかもしれない。
小さいころから文化の違う子供たちに混ざって、それが当たり前のこととして育っていく子供たちは きっと今の私たちより偏見の少ない大人になるだろう。
これまた友人のアンジェロは 両親がスリランカの子供を養子にもらって、彼と一緒に育てたので 誰よりも大のスリランカびいきになった。
一年に1回はそのスリランカの兄弟と一緒に 第二の故郷スリランカに遊びに行く。

年金をもらえるようになれば老後は絶対スリランカで暮らしたいというアンジェロ、チェルノブイリの女のこのためにロシア語と心理学を勉強し始めたアンナ、そんな姿を横目に、敬虔なカトリック信者で、経済的にも十分余裕のあるだろうあのブッシュ米大統領が、もし彼がイラクの戦争孤児を養子にしていたら、果たして彼はイラクに派兵しただろうか......そんな夢のような空想が一瞬頭をよぎった。

 


2006/5/31

ITALY WEB SITE 
英語で楽しめるイタリアの注目WEBサイトの紹介


http://www.autostrade.it/en/index.html
Autostrade per l'Italia
イタリア高速道路管理会社のサイト

今春、同社の筆頭株主ベネトングループが、スペイン高速道路会社ABERTISとの合併(スペイン側優位の条件)を発表したことでインフラ事業の「外国資本への売り渡し」と政界・産業界へ強い波紋を生じている。

各地の渋滞情報のほか、高速道路上のWEBCAMの映像も簡単に見ることができる便利なサイト。



2006/6/22
編集後記
- ミラノの日本人サッカーチーム「ソルレバンテ」 - 

ミラノで毎週金曜日の夜に集まってサッカーで汗を流す日本人チームがある。その名は「ソルレバンテ」。イタリア語の"Sol Levante" は「日出る国」すなわち、「日本」を表す言葉だ。

ソルレバンテは今年で結成10年目をむかえる。創設メンバーの話によると、ミラノにある日本企業近くのバールに集まる日本人とイタリア人で、「カルチェットを楽しもう」が本チーム創設のきっかけだという。「カルチェット」は5人制のフットサルのこと。当初は日本人がギリギリ5人集まるかといった小さなチームだったが、その後、口コミや日本人商工会議所、日本人会などで人集めを重ね、段々と人数を膨らませていった。

現在のチームメンバーは24名。日本企業の駐在員が中心だが、オペラ歌手もいれば留学生、こちらで起業している人もいる。年齢層は30歳代が主軸だが、一番若手は高校生と幅がひろい。サッカーの経験者は3分の2。初心者でソルレバンテにきてサッカーを始めた人もいる。駐在員が多いのでメンバーは随時交代しそれに応じてチームの色も変わるが、とにかく共通しているのは「サッカーが大好き」なこと。
毎週金曜の午後9時にサンシーロ・サッカー場脇にある「テニスクラブ・サンシーロ」に10人から15人の仲間が集まってくる。二手にわかれて試合を楽しむ。モットーは「楽しく真剣に。全員参加」
ミラノに来て、様々な職場で月曜から金曜まで忙しい時間をおくり、1週間の仕事を終えた後でこの場所に集まる。日本人同士でサッカーを通して体を動かし、汗をながし、日本語で声をかけあう。練習の後のビールはさぞおいしいに違いない。

6月10日、マルケ州のアスコリ・ピチェーノでの「YKK杯」をかけての遠征試合に、私も同行させてもらった。YKKの二工場のイタリア人チームとの試合で5年前から続いている企画だ。一試合目1対3、二試合1対4と2敗し3位に終わった。両試合とも先取点はいずれもソルレバンテがとった。
アスコリの夏の空のもと、のどかでさわやかな試合だった。普段はカルチェットの小さなコートでの練習なので、広いサッカー場で沢山駆け回らなければならない試合はきつかったのかもしれない。

考えてみたら、15年間もイタリアにいて始めて生でみるサッカーの試合だった。はるか昔の学生時代、当時の運動部の持つ集団主義やヘンな精神主義が鼻について、スポーツ試合とは遠い世界にいた。でも「ソルレバンテ」の試合をみて素直にいいなと思った。一人一人本当に好きで楽しんでやっている。そして年齢も職業も違い、サッカー技能も差があるチームだからだろうか、メンバー同士が互いのプラス面を評価し、各自の立場をさりげなく大切にしていることがよく伝わってくる。これが10年続いてきた秘訣なのかもしれない。 FORZA SOLLEVANTE! でも、あまりがんばりすぎないでほしい。

(ソルレバンテ 問い合わせ先 E-mail:sollevantemilano@yahoo.co.jp

2006年6月22日
JIBO編集室
大島悦子


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