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2006/1/30

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HOTなエスプレッソ 



田中ちひろ

京都生まれ 大阪外国語大学イタリア語科卒業、88年イタリアのシエナに留学。91年よりミラノ在住。 著書「普段着のミラノ案内」(晶文社)をはじめ、新聞、雑誌、インターネットサイト等に執筆。三井住友海上ミラノオフィス勤務。 

 

46. イタリア人のダイエット

つい先週 我が家のすぐ近くにまた日本食レストランができた。また、というのは、すぐ通りの裏側にも1軒あり、さらに広場の向こうまで行けばまた1軒と、ここ数年のうちに我が家の周辺だけでも10数件の日本食のレストランができたからだ。ミラノっ子にとって日本食とは油を使わなくて新鮮で、ダイエットにぴったりな料理で、その上きれいな和食器や和のインテリアは粋でしかも心にやさしい(ヒーリング)というところらしい。
こうして日本食がミラノっ子の間に浸透したのは、このブームに乗って日本人というよりむしろ中国人が日本食レストランを手ごろな値段でどんどん出したというのも一役買っている。 

ところでイタリアで外食文化が発達するのは非常に難しい。
ミラノに来た当初、ミラノは他の町に比べて驚くほど外国料理のレストランがあるんだよといわれて調べてみたら、世界のどこの国でも最高のランクに入れられるフランス料理の店がたったの2軒、タイ料理、ロシア料理、韓国料理もそれぞれ1軒だったのでとても驚いたのを覚えている。(中華料理だけは例外で、これだけはイタリアのどこに行っても必ずあった。)
どうしてなの?と聞いてみると、皆が口をそろえて「イタリア料理はこんなにおいしくて奥が深いのだから、他の料理を食べる必要がない」といわれたものだった。
特に地中海式ダイエットと呼ばれる南イタリアの料理は、バターや生クリームではなくオリーブオイルをつかって、良い食材の持つ味をそのまま味わうように料理するから最高なんだというわけだ。(聞くところによると、オリーブオイルは生でとるとコレステロールを下げるらしい)。
確かにイタリア料理はおいしいし、日本人の口に合う。お米もごく普通に毎日の食卓に上るし、食材も本当に豊かだ。その自然の味をできるだけ生かした料理という点では日本食に通じるところがあるかもしれない......
それでも、イタリア第2の都市、国際性という意味では第1の都市ミラノで、外国料理が食べららないなんて...と欲張りな私は結構こだわっていたものだ。
幸い最近では、ミラノっ子もバカンスで世界のいろんなところへ出かけるようになり、いろんな料理に対する抵抗が減ったのと、そしてもうひとつ、アラブ諸国やアフリカなど多くの移民が自国の料理のレストランをはじめたことも多くなって、少なくともミラノではいろんな国の料理を食べ比べる楽しみが増えたようだ。

そんな中でつい最近ある新聞で「ヨーロッパの食に関するアンケート」というのがのっていた。ヨーロッパ20カ国の2万1千人を対象にしたこのアンケートではお国柄が出ていて実に面白い。

それによると、イタリア人の42%がフランス料理は評価が高すぎるといい、90%の人たちが毎日自分の家で料理(イタリア料理のはず)を作っているという。3人に一人が食事と一緒にワインを飲み、イタリア料理が太らないためには一番いいと信じている。やっぱりイタリア料理への忠誠は変わっていないわけだ。
フランスはというと、食事中ワインを飲む男性は28%、一方女性は98%が水を飲む。ワインを飲む人は減っている。そして22%が確かにフランス料理は過大評価されすぎと認めている。ドイツ人やオーストリア人、そしてチェコ人が食事中に飲むのはジュースかビール、イギリス人、ロシア人、トルコ人はお茶。
全体の40%の人がハンバーガーを代表とするアメリカの食事が一番太って身体に悪いと信じ、なんと5人に1人は中華料理が最も太らない料理だと思っている。
まさにところ変わればというところだが、ダイエットに関して言えば、イタリアでもアメリカの料理が最も太るというのはもう常識に近い感じだが、ダイエットに中華料理が上がることはなく、イタリア全体では地中海式ダイエット、そしてミラノではおそらく日本食が一番なのかもしれない。

クリスマス、お正月で食べ過ぎて1月中旬からダイエットを始めたという人が周りにもいっぱいいるが、イタリア人のダイエットはなんとなくおきらくだ。
りんごだけとかで精神力と戦ったり、厳しいカロリー制限をしたりという悲壮感が全くない。
しばらく夜はパスタをやめて肉だけにするとか、今週はチョコレートケーキを抜きにするとか、それから、そう、おすしを食べに行く。

 


2006/1/30

ITALY WEB SITE 
英語で楽しめるイタリアの注目WEBサイトの紹介


http://www.eurometeo.com/english/home
「EURO WEATHER」 イタリア&ヨーロッパの天気予報サイト


イタリア各地の天候、天気予報、過去の気象記録などの詳細データが表示。



2006/1/30
編集後記
- ミラノの大雪 - 

1月下旬、ミラノは30年ぶりという大雪に見舞われた。2日以上もとどまることなく雪が降り続け、街中が白い雪景色となった翌朝のこと。やっと雪がやみ、今度は雨が少し降っている。私は堪忍して山歩きの靴を履いて渋々と外に出た。積もった雪の部分、雨で少し溶けた部分、人が歩いてグチャとなった部分がまぜこぜで道路のコンデションは最悪。すべらないよう気をつけて一歩ずつ歩き出した。
100メートルも歩かないうちに、道端で一人の老婦人が私に「AIUTO」(助けて)という。「え?」とみると、毛皮のコートを着たこの婦人、杖をついており、歩道の道路側に止めてある車まで、一人で行くのが心配で『手を貸して』ということで私に声をかけたのだ。車の運転席には心配そうにこちらをみているご主人の姿もみえる。それで、この婦人の肩を抱く形で、一緒に歩きはじめようとすると、「こうしたほうがいいの」といって私の手を振り払って、自分でしっかりと私の腕に手を入れ握り締めた。二人で転びでもしたら大変と、責任重大、一緒にゆっくりゆっくり、わずか5メートルほどの歩道を車のところまで歩いた。無事に車の助手席にのぼることができて一安心。老婦人は「Grazie」(有難う)と一言私にいって、車は出発した。

この間わずか、4〜5分の間のこと。この老婦人の素直に人に「助けて」とヘルプを求め、「ありがとう」と一言いって立ち去ることのできる「さわやかな勇気」に少し感動した。以前にも同じようなことがあった。ミラノ中心部の大交差点で信号の変わるのを待っていたら、老齢の婦人が、信号が変わらないうちにあちら側まで一人でわたりきれるか心配だから一緒にわたってほしいという。長い交差点をゆっくりわたる間、私の手をしっかりと握り締めていた。この後は一人で大丈夫なのか気になったが、毅然として『ゆっくり行くから大丈夫』というので、そこで別れた。

もし同じことが日本でおこったとしたら、えらく恐縮したり、申し訳ながったり、何度もお礼をいったりと大変なことになるのではないか。気軽にちょっと『助けを求める』ということは、小さいころから『人に迷惑をかけてはいけません』ということを常にしつけられてきた日本人の私たちには、なかなかしにくいことなのかもしれない。しかし、高齢化も進む中、発想をかえて、お互い『小さな迷惑』を気軽にかけあえる率直さやおおらかさがあってもいいのではないか。
バリアフリー社会の建設ということが強調されている。物理的に道路や建築物の『段差』をなくすことも重要だ。しかし平らな歩道も雪が降れば、足の弱い人には『大きなバリア』となりえる。長い交差点しかりだ。ハード面でのバリアフリーを急ぐのも大事だが、小さな「バリア」を気軽に解消しあうイタリア流人間関係をつくることも大事ではないだろうか。

2006年1月30日
JIBO編集室
大島悦子


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