ローコスト切符販売やティケットレス化を進めるイタリア国鉄Trenitalia
の公式サイト。使いやすい時刻表が人気。オンラインでの切符購入も可能。
2005/1/01
編集後記
- ミラノの街角から 薬局とベンチャー・キャピタル
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ミラノを歩いていて目に付くのは薬局の数の多さ、いかめしさではないだろうか。
同じ薬局といっても、安売り製品が積み上げられスーパー化した日本の薬屋とは趣が違う。「緑十字のマーク」をかかげ、ショーウインドウは、ファッションの国イタリアには似つかわしくないクラシック調。中では、医者のような白衣を着た薬剤師が客の対応をしている。
イタリアでは大手病院もクリニックも、あるいは家庭医も、患者には処方箋を与えるだけなので、各自が近くの薬局で薬を求めなければならない。そのため、薬局も病院の一部という位置づけなのかもしれない。
ところでこの薬局、イタリアでは地区ごとの定数制で、新たな開局や新規参入は事実上不可能で親から子供へと引き継がれている。いずれも、メインストリートや「角地」など抜群の立地にあって、町のエリートとして扱いをうけているといえそうだ。「ファルマチスタ」と呼ばれる薬剤師になるのは医学部を卒業するのと同程度に難しく、赤い資格バッチをつけた薬剤師は、なんとなく誇らしげに見える。
十数年前、遊学したミラノの大学で、経営学部の講義をぼんやりと聴いていた私はびっくりして目をさましたことがある。講師が「イタリアでは、“ベンチャー・キャピタル”というアメリカ的な概念やシステムはないが、新たに会社を興す際の投資話などは、これまでも町の会計士や薬剤師が仲介する場合が少なくなかった」というくだりをきいた時だ。会計士というのはわかる。しかし、「薬剤師」がなぜ?と、イタリアに来て間もない頃の私は驚いた。しかし現在は納得。地域のファミリーのいわば「家庭医」に近い役割を何代にもわたって果たしているのが薬局の位置づけ。住民の健康状況から家庭環境まで知り尽くしているだろうから、積み上げられた人間関係の中で、投資や儲け話の仲介をすることもごく自然の成り行きのようだ。新しい企業の誕生に、街角の薬局が一役買っていると思うと、世界的に名高いイタリア中小企業のダイナミズムの秘密が少しわかってくるような気がする。