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2004/09/01

HOTなエスプレッソITALY WEB SITE編集BACK NUMBER


HOTなエスプレッソ 



田中ちひろ

京都生まれ 大阪外国語大学イタリア語科卒業、88年イタリアのシエナに留学。91年よりミラノ在住。 著書「普段着のミラノ案内」(晶文社)をはじめ、新聞、雑誌、インターネットサイト等に執筆。三井住友海上ミラノオフィス勤務。 

 

40. 徴兵制廃止

先月末、イタリアの徴兵制度を廃止する法案がほぼ満場一致で議会を通過した。 これにより143年続いたイタリアの徴兵制は幕を閉じ、2005年1月からイタリ アの青年たちは兵役の義務から解放されることになった。
どこから見てもまだ幼い面影を残した青年が新品の軍服をまとい 家族や友人に駅で 別れを告げる、そんなイタリアではどこの町でも見られた風景が イタリアから姿を 消す。

国家を守るのが国民の使命というのは分かる、また平穏に過ごした兵役であれば 同 期の仲間達との団結ができ、過ぎ去ったあと懐かしいらしいが、それでも強制なのは どうか?それがもともと大多数のイタリア人の意見だった。
ましてやイラク派兵などますます微妙になる今日の国際情勢において、派兵自体に賛 否両論のある中、その危険な部隊に強制に召集された人を送ることが許されるのか、 そんな疑問は最近ますます大きくなっていた。
一方 部隊を組織する側にとっても、こういった危険な使命を担う部隊は自ら選んで 参加したプロだけを使いたいという強い主張があったという。
今回の決定はそういった両者の疑問に答えた形になる。
経済面においては 例え10ヶ月であっても数百ユーロの報酬で何十万という若者を 一時保留する兵役、それは失業率の高いイタリアでなんらかの緩和財の役割を果たし ていたのではないかと思っていたが、若者を一刻も早く社会の労働力として出すほう が経済を活性化させるのだそうだ。

ところで、これを機に軍隊は職業軍人(プロ)と志願兵(ボランティア)のみから構 成されることになる。 総兵力の4分の1を占めるこの義務で兵役に従事していた若 者を補うため 今後 警察、憲兵、消防士、税部警察(国境部で密輸を取りしま る)、森林警察などありとあらゆる治安、法の取締りに従事する公務員は 最低1年 の兵役に従事することが応募資格になるという。

ところで今回廃止されるこのイタリアの徴兵制、実は案外知られていないユニーク な一面をもっていた。
OBIEZIONE DI COSCENZA(良心、あるいは思想的な理由による兵役拒否)といって  思想的な理由から武器を持つことを拒否する権利が認められていたのである。
自分がどうしても武器を持つことを受け入れない人はその旨を宣言し、兵役に変わっ てSERVIZIO CIVILE、すなわち社会奉仕を同期間することでその代用とすることが出 来たのだ。
社会奉仕とは具体的には、病院や老人ホームでの手伝い、寝たきり老人の在宅看護や 話し相手、市町村の役所での手伝いなど幅広く社会一般に役に立つ奉仕をさす。
実際 私の周りにも兵役でなくこの社会奉仕をした人が結構いるが、社会の一員とし て何らかの役に立つということ、奉仕の大切さを実感した素晴らしい経験だったと皆 が口をそろえる。
イタリアが 難民を始め、社会の弱者の状況に敏感また寛容で、また日常生活の中で も 困っている人を放っておかない助け合いの精神が今だ多くの人の中に健在なのは 案外こういう経験によるところが大きいのかもしれない。

徴兵制の廃止は喜ばしいことだが、何らかの形でSERVIZIO CIVILEは残せないのだろ うか?

 


2004/10/01

ITALY WEB SITE 
英語で楽しめるイタリアの注目WEBサイトの紹介


http://www.bimu-sfortec.com/eng/index.cfm
BIMU
工作機械・ロボット・自動化機械の見本市 BIMUの英語サイト。

ミラノの見本市会場で10月1-6日開催



2004/10/01
編集後記
-  ミラノの街角から タクシー  -

ミラノの街は、メトロ、市電、路線バスが網の目のように走っているので、公共交通機関はかなり便利だ。とはいえ、タクシーの世話になることも少なくない。

イタリアに暮らしていると、行政や交通機関については非効率や不親切にあきれることが多いが、日本の実情と比べて、格段にサービスの質が高いと思うのは、タクシーだ。タクシーにのると、「イタリアでよかった」と思えてくる。運転手が道を知っているからだ。

タクシー運転手になるには、制度的に二つの条件が必要だ。まずは運転資格。ミラノであれば、ロンバルディア州が行うタクシー運転手の資格試験に通らなければならない。それには、市内の道や広場、それに病院や拠点をすべて熟知する必要がある。試験管が面接で「リナーテ空港から○○通りに行くには」というような質問があり、最短コースを正確に答えなければならない。
運転もできず、方向音痴の私は、市内の地図を把握していて、通り名をいうだけでどこにでもつれていってくれることにえらく感動してしまう。東京で、知らない場所に行くのにタクシーに乗らざるを得ない際の不安と緊張感、あるいは、新宿駅の近くでタクシーにのって、運転手から「新宿駅はどこでしょうか」と聞かれた苦い経験がふっと頭によみがえる。

ところで、タクシー運転手になるには、道を知っているだけではダメだ。第二の関門は、リチェンザLicenzaと呼ばれるタクシー免許を持っていること。 イタリアではタクシーはすべて自営業。タクシー会社に雇われている運転手というのはいない。地方自治体が授与しているタクシー免許を持っていないとタクシー業を営むことはできない。ミラノの場合、新規免許授与はほとんどないので、すでにもっているものから「譲って」もらわないとならない。この価格は、年々上がり、先日乗ったタクシー運転手の話では、12万ユーロから14万ユーロ程度とのこと。円にすると1600万から1900万程度とかなりの投資が必要だ。これだけの投資をするわけだから、一生仕事とはいわないまでも、この道で生きていこうという気合が必要な職業であることは確かだ。

ところが、タクシーで困るのはつり銭の問題。ある晩、出張帰りに中央駅から自宅までタクシーにのって12.2ユーロ。10ユーロ札と5ユーロ札を出して、「おつりがない。前の客に小銭を全部払ってしまった」といわれた時にはあきれ果てた。タクシーに乗る際、おつりの心配をするのは、ここでは乗客の役割のようだ。

2004年10月1日
JIBO編集室
大島悦子


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