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2004/02/01

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HOTなエスプレッソ 



田中ちひろ

京都生まれ 大阪外国語大学イタリア語科卒業、88年イタリアのシエナに留学。91年よりミラノ在住。 著書「普段着のミラノ案内」(晶文社)をはじめ、新聞、雑誌、インターネットサイト等に執筆。三井住友海上ミラノオフィス勤務。 

 

37. 自衛隊イラク派遣


2003年も残すところあとわずかとなった12月19日、自衛隊のイラク派遣が決定された。
そして、日本へ向かう飛行機の中でそのニュースをとても苦い思いで耳にしたかと思ったら、わずか数日のうちに、航空自衛隊の先鋭隊が既にクウェートや米空軍司令部があるカタールへ出発し、それについで2004年1月中にも空陸自衛隊合わせてさらに約150人、3月までには440人近くが派遣されるという。
派遣先での任務は警備、給水、物資輸送等の支援と「戦いに行くのではない」ことが強調され、また、派遣先のイラク南東部サマワが「オランダ軍司令官が防弾チョッキなしに散髪にいった」ほど安全な土地だという、わけのわからない言い訳が毎日何度もTVや新聞で報道されていた。
そんな報道やそのニュースを聞いた一般市民を見ながら、イタリア人とのその反応の違いをまざまざと見せつけられた思いがする。

まず人々の反応。
「イラクに自衛隊を派遣したら日本にテロをおこす」と脅迫すらされているのに、町を行く人々やまるで平和そのもののように見える。
地下鉄に乗ればアラブ人と出会わない日がないミラノの日常とは人々の持つその危機感も違うだろうが、町にはクリスマスソング、あるいはお正月の用意を促す宣伝や広告があふれ、デモひとつみられなかった。
TV番組もイタリアならまずどの局も「イラク派遣」を取り上げ、政治家、経済界、軍事関係者、外交官、また一般市民が何日も飽きることなく大変な討論を行ったことだろう。
職場でもバールでも学校でも皆が自分の意見を述べ、大変な騒ぎ、あるいは抗議、ストが多発したに違いない。
自分の国や自分の生活や自分の未来は自分で守るそんな自覚が 日本ではあまり感じられないのはどうしてなのだろう。

メディアの責任も大きいのではないか。
「イラク派遣」の報道があって1週間、日本のTV番組を注意深く追ってみた。
そして毎日毎晩いろんな局で繰り広げられたのが、過ぎ行く一年間のヒット曲や話題の回想特集、お笑いやタレントたちの料理番組、クイズ番組、あるいは年末年始の特別番組。
そんな中でイラクについて話すタレントは一人もなく、なんだか皆が不自然にはしゃいでいる。 日本中の人々が大事なことを考えず、世界から浮いてしまっているような、そんな思いをさせられたのは果たして私だけなのだろうか.....

報道内容がどこの局やどんなメディアを見てもほとんど変わらないのにも驚いた。
イタリアでは一般に人々は、メディアの報道の内容に関してはまず疑ってかかるのが常識だ。たとえばTV報道。国営放送は3局あるが、それぞれの局にははっきりとした政党のカラーがある。民間大手3局はベルルスコーニ首相がオーナーということで中道右派。なんでも首相に有利な報道をする。
新聞でも同様、ほとんどの新聞が政治的カラーをもっているのは周知の事実で、したがって市民はいくつかの新聞を読み比べ、いろんな立場の意見や報道を見聞きし、できるだけ中立で正しい情報を得ようと努め、そして自分の頭で考える。

今回のイラク派遣に関しても 日本でお目にかかるのはアメリカ側の受け止め方、アメリカ賛同国の反応がほとんどで、たとえば イタリアでは日常茶飯に報道される「今回の戦争でアメリカがどれだか経済的に儲けるか」などの分析がないことも気にかかる。
20人あまりの兵士と一般警官がイラク南部で殺されたイタリアはいまだイラクへの兵派遣に関しては毎日のように討論、抗議が町のいたるところで繰り広げられているが、そんな報道は残念ながら聞こえてこない。
アメリカに賛同してはいけないと言っているのではない。
ただ、「政治的にも外交的にも、自分の意見をしっかり持ってそれをきちんと発言し、行動できる大人の日本」をイタリアは、ヨーロッパは切に望んでいる。
そして「大人の日本」になるためには、やはり自分自身も含めて一人一人が しっかり自分の目で見て考えて行動をおこせるようになること。
2004年、新しい年。平和な1年を創り出すためには やはりそこから出発する必要がありそうだ。

 


2004/02/01

ITALY WEB SITE 
英語で楽しめるイタリアの注目WEBサイトの紹介



http://www.lightingacademy.org/
Lighting Accademy (ライティング・アカデミー)の英文サイト

フィレンツエに本部を持つ照明の技術、デザイン、アートの総合アカデミア。照明に関するセミナーや研修講座実施、世界的建築家・照明デザイナーとのネットワーク、ライティングの作品例収集など、照明のすべての情報発信地ともなっている。


2004/02/01

編集後記
- 手作りパン屋さんの朝 -

 


ミラノの朝は早く始まる。新聞スタンドは6時には開店している。朝7時にはバール(コーヒー・スタンド)があく。普通のお店も8時には大半があいている。スーパーマーケットも8時半から。郵便局は8時、銀行は8時半。

だが、活動がどこよりも早いのが、手作りパン屋さんだろう。マリオ・ゲッツイさんの店は毎朝7時開店だが、すでに「明け方」からガラス越しに薄い明かりがみえる。毎朝2時、夜勤の職人がやってきて、パンをこ ね始めるのだ。4時すぎからは、マリオさんと二人でオーブンにいれて、パン焼が始まる。14歳の時にパン屋に奉公に入ったマリオさんのパン作り人生はすでに53年になる。53年間一度も仕事を休んだことがない。お店は奥さんがパートの女性ときりもりしている。笑顔のやさしい奥さんとおしゃべりを楽しんでいく常客も多い。

かって、ミラノに1400件あったという街角のパン屋の数も、この10年で激減している。一方、スーパーには工業製パンが山積みにされている。ま た、冷凍のパンを焼くだけというフランチャイズ式のパン屋が増えている。

子供のいないマリオさん夫婦の悩みは今後のこと。朝早く起きてパンをつくる仕事を今のイタリアの若者からみつけるのは事実上不可能だ。そんなマリオさん夫婦に一つの希望ができた。ペルーからイタリアに働きにきているルーチョさんが、パン作りの見習いにきてくれたのだ。以前から、「第三世界でパン作りを教えたい」といっていたマリオさんにとっては、ねがってもいないことだ。

1月29日、30日、31日、1月末の3日間は 、北イタリアでは、i giorni della merla (イ・ジョルニ・デッラ・メルラ、「メルラ」は雄のツグミのこと) と呼ばれ、一年中で一番寒い日といわれている。特に寒さがこたえるのが早朝だ。マリオさんとルーチョさん、厳冬にめげず今朝も早くからパン作りをしている。カーニバルも間近なので、リボン状の折リパイの揚げ菓子chiacchiera (キアッキエーラ)を揚げているのかもしれない。


2月1日
JIBO編集室
大島悦子

 



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