12月の声をきくとミラノの町はどの店のショーウインドーも、業種を超えて、クリスマスの飾りつけを競うようになる。
私の仕事場のすぐ近くにあるクラウディオさんとフランカさん夫妻が経営する文房具屋もクリスマス色で一杯だ。
「9月は新学期が始まるので、ザックやノート類を買いに来る親子でにぎわう。次はクリスマス。そして、1月になると、オフィス類が新年度に入るので帳簿やファイル類がよく売れる。2月はカーニバルで仮装用グッズ、4月はパスクワ(イースター)関係の卵など。そして、父の日や母の日があってカードが売れて。。。」年間の季節行事や様々な節目をめぐっていくうちに瞬く間に1年間が過ぎていく。とはいえ、一番のかきいれ時はクリスマスシーズンだ。店内ところ狭しとお祝いのカード類、飾りつけの小物、プレゼント用おもちゃ類やラッピングペーパーが並んでいる。一番よく売れるのはオルゴール類とか。それと、日本製アニメのキャラクター・グッズ類。ポケモンほどの大ヒットには至っていないものの、今の人気は Yu-Gi-Ohと、Hamtaro だ。
この店のお客さんは、近所のオフィスや個人事務所や商店、そして3つある保育園、近くの小学校、病院関係者など。現在、売り上げの内訳は文房具類が40%、おもちゃ類30%、そしてコピー・サービスや切手、市電切符販売などが30%。「1歳半の孫へのお土産、何がいいかしら」という老婦人の相談にのるのも大事な仕事だ。
ところで、夫妻がこの文房具屋を開店したのは14年前、1989年のこと。一種の脱サラでこの店をはじめた。「文房具屋は経済危機とあまり関係がないの。コピー一枚、ノート一冊っていう小さな売り上げの積み重ねだから」というフランカさん。実際、朝から晩までお客が絶えることがない。しかし、来年3月、クラウディオさんが60歳になるのを機に、夫妻はこの店を閉め、年金生活に入ることを決めた。「これが最後のクリスマスになる。一人息子も一人前の弁護士になったし、後はのんびりすごしたい。42年間も働いたから」と淡々と語るクラウディオさん。ミラノの持ち家は処分して山の家と、リグーリアの海の家に半年ずつ住む予定だという。コピーなどでほとんど毎日のように利用している店だけに、4月のイースターの頃には二人の笑顔が見れないかと思うと、なんだか寂しくなってきた。 「E.O]