ミラノの街角には、至るところに、BANCOMAT、すなわち、銀行ATM, 現金引き落とし機が置かれている。
「365日、24時間稼働」の現金引き出し機、というと日本の人は、「すごい、休みなしですか。サービスがいいのですね」と、早合点する人が多い。が、ここはイタリア。日本の銀行やATMの至りつくせりのサービスとは比較にもならない、至って呑気な運用システムなのだ。
「365日、24時間稼働」というと聞こえがいいが、要は、運がよければ、現金を引きだせるが、運がなければ、用事の足せないマシンだ。機械の調子が悪ければ、「FUORI SERVIZI 」(サービス停止)の表示がでてそれでおしまい。1週間もその表示がでたままになっている場合もある。
私の観察するところ、現金の補給は、月―金の間、毎朝1回のみ。日中の現金補給はないので、朝補給した現金が出し尽くされると、翌朝まで現金は引き出せない。土日がはさむと、月曜の朝までダメだ。さらに困るのは、機械作動中に問題があっても、日本のように「ボタン」を押すと、即、「何でしょうか」と応えてくれるサービスはない。オペレーション上の問い合わせに応えてくれる電話対応もない。サポートシステムは、365日、24時間、ほぼ皆無である。
銀行が開いている時間であれば、それでも、銀行の中に入って問い合わせることも可能だが、窓口で「機械の調子が悪いのですが」と言っても、平然として「技術的問題です」といってすましている。「機械のせいで、私のせいではないわよ」というのが本音なのだ。そこで、「機械のメンテをして管理するのが、人間の、つまり、あなた方の役割でしょ」などと日本風に迫ると、なんて不思議なことをいう人かしら、という呆れ顔で睨まれてしまう。
なお、ATMには、一応、緊急時対応のフリーダイヤル番号が書いてあるが、これも、大変なシロモノだ。一度、金曜の午後、ATMを使おうとしてキャッシュカードを機械にいれたところ、カードが飲み込まれたまま、でてこなくなった。あわてふためいて、フリーダイヤルに電話したところ、「月曜の朝、銀行窓口にいって、出してもらってください」というダケの指示。こちらの名前も、銀行カードの番号をたずねてくれるわけでもない。心配してもしかたがないと開き直り週末をすごし、月曜の朝9時、銀行開店時間に窓口にいって事情を話すと、「担当者がまだこないので、機械を開けられない。10時ごろ出直してください」とのこと。10時にいってようやく話はついたが、自宅の近くだったのでいいけれど、これがたとえばイタリア旅行中だったら、どうなったのかと考えると冷汗ものだ。
反面、問題なくつつがなく引き出せると、何だか得をした嬉しい気分になる。何の変哲もない現金引き出し機の操作一つで、こんなにラッキーな気持ちになれるのは、イタリアだけの特典だろうか。Buona Fortuna !
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