世界の多くの国で「父の日」は6月の第3日曜日に祝われるが、イタリアにおいては実は「父の日」は3月に祝う。
3月19日 SAN GIUSEPPE(サン・ジュセッペ) 聖ヨセフの日である。
ジョセッペというのはキリストの父親ヨセフのイタリア語名で フランスやイギリスではジョセフ、ジョーとなる。
イタリアの男性の名前のランキングでトップなのがこのジュセッペ、”ジュセッペちゃん”とかわいく呼びたいときにはジュセッピーノとなり、そしてこれがペッピーノという愛称になる。
それに対して女性の名前でトップがマリア、2位がアンナ、そして3位がこのジュセッペの女性版、ジュセッピーナだ。(ちなみに男性の名前の2位がジョバンニ、3位がアントニオとなる)
キリスト教が深く浸透した国で、イエス・キリストの父親のヨセフを記念する日が「父の日」となるのは なるほどとうなずける。
キリスト、その母親である聖母マリアと比べて、いつも影が薄いこの大工のヨセフだが、ここ数年彼に関する研究は関心を集めているらしく、つい最近もイタリアのテレビで
「ヨセフの生涯」なる映画を見た。
自分には身に覚えがないのに、いいなずけのマリアが身ごもっていると知る時の動揺。信心深いヨセフであったが、大天使からの受胎告知と聞かされても信じられなくて悩みに悩むその人間的なその一面。
貧しさの中で苦労しながら家族をまもり、その一方で知識においても、洞察力の深さにおいても 息子が自分よりはるかに上であることをことあるごとに知らされ、一人の父親としての資格がないのではないかと悩む姿....そうしながらも息子を信じ、息子を励まし、自分の道を進むように説く。
キリストが本格的に家を出て人を導き始める前にヨセフはなくなってしまうのだが、強さと弱さを持った一人の人間として一生懸命生きた、立派な父親だったにちがいない。
聖ヨセフは、貧しい人、見捨てられた人を護る聖人とされるが、この「聖ヨセフ」の日には、イタリアの教会では 貧しい人たちに食事を施す日となっている。キリストを身ごもった聖母マリアをつれてベツレヘムの町に着いたヨセフに宿や食事を与えてくれる人が一人もいなかったことを思い出すためだという。 また、その日 町のいろんなところに屋台が出て、そこではフリッテッレとよばれる、中にクリームが入ってドーナツのような揚げ菓子が売られるが、それが聖ヨセフのお菓子なのだ。
ところで 3月19日が聖ヨセフの日といったように イタリアのカレンダーには大抵聖人の名前がついている。
そして イタリア人の子供の名前はほとんどといっていいほど聖人の名前からとるので 普通イタリア人は誕生日以外に オノマスティコといって自分の名前の聖人の日を誕生日のように祝うのだ。
さて、「父の日」はイタリア語で FESTA DEL PAPA’ (フェスタ デル パパ)だが、このPAPA’は 最後のアクセントが取れると PAPA(パーパ)、ローマ法王の意味になる。
現ローマ法王のヨハネ・パウロ2世はイタリア語で言うと ジョバンニ・パオロ。英語で言うと ジョンとポール。
ビートルズではないが、ヨーロッパにはこういうありがたい名前がごろごろしているのである。