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2003/03/01

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HOTなエスプレッソ 



田中ちひろ

京都生まれ 大阪外国語大学イタリア語科卒業、88年イタリアのシエナに留学。91年よりミラノ在住。 著書「普段着のミラノ案内」(晶文社)をはじめ、新聞、雑誌、インターネットサイト等に執筆。三井住友海上ミラノオフィス勤務。 

 

32. 近くなったオペラ



ミラノが世界に誇るスカラ座が約3年の年月をかけて修復される間、その代役を 務めるARCIMBOLDIシアターに先日はじめていく機会があった。
ミラノ中央駅の北西に位置するピレッリの工場跡地に、大学や数々の企業の入る 大きなビル、新しい大型のマンション住宅が次々と建設され、ミラノ市内では珍 しいモダンな地区が最近になってできたが、このARCIMBOLDIシアターはその中で もっとも目を引く巨大な建物だ。
赤とシルバーグレーの船のようなその形はもちろんのこと、入り口や周辺の空間 の取り方が イタリア旧市街の空間になれた人には新鮮で、ちょっと不思議な気 分になる。

見に行ったのは今まではほとんどチケットを手に入れるのが不可能に近かった プッチーニのオペラ、ラ・ボエムだった。
ラ・ボエムが見られるのも、本来のスカラ座よりずっと収容人数が多いこのシア ターのおかげだ。
さて、入り口でチケットを見せ 中に入ると まず4階まで吹き抜けの大きな ホールにでる。
天井までガラスの窓或いは透明の壁が伸び、空が見える。2階から4階までの廊 下がそのホールに面していて 入り口のホールを見下ろせるようになっている。 その建築自体を見せるため、装飾はいたってシンプル。
まばゆいばかりのシャンデリア、真っ赤なビロードのカーテンや金の縁取りのあ る鏡がいくつも壁にかかっているスカラ座とはまさに両極にある感じがする。

シアターの内部もスカラ座とは似ても似つかない。
金の刺繍が施された舞台の真紅の幕は同じだが、オペラハウスの、あの豪華なロ イヤルボックスがない。
4階席もプラテアと呼ばれる1階席もシートは同じで、イタリア人でも聞き取る のが難しいオペラの歌詞がイタリア語と英語で出る小型スクリーンが各座席につ いている。
どの席に行くにも入り口も一緒。
入り口が一緒なんて当たり前じゃないかと思われるかもしれないが、スカラ座で はいい席とそれほど良くない席、例えば天井桟敷では入り口も使うクロークもト イレも別だったからだ。
芸術がまだ特権階級だけに許された娯楽であった時代の名残りなのだろう。 そういった区別がARCIMBOLDIシアターではすべて取り払われていた。

オペラを鑑賞に来ている人々の服装も着飾っているとはいうものの 以前ほど派 手でなくなった。
男性はジャケットにネクタイ、女性も普通のスーツやワンピース、時々肩を出し たドレスの人も見かけたが、スカラ座時代のように羽根のついた帽子や豪華なイ ヴニングドレスという人は皆無に近かった。
昔は良く見かけた、幕と幕の間に腕を組んでスノッブに劇場を散歩するカップル もいなくなった。
すべてを取り巻く雰囲気が、普通の劇場と変わらなくなりつつある。

ところで、ラ・ボエムは素晴らしかった。
パリを舞台に繰り広げられる悲しい恋物語が スカラ座のオーケストラをバック に見事に歌い上げられる。
恋人に出会ったときの喜び、情熱、嫉妬の苦しみ、そして愛する人を失う悲し み、変わらぬ思い....
どれほど時代がたっても決して古くならないそんなドラマを ザッフィネッリの 舞台演出がただただ美しく彩り、描きあげる。

堅苦しかったオペラが庶民に近くなった。
その日スーツをばっちり決めた友達は、その次の日インテルのマフラーを首に巻 いて、サッカーの応援にスタジアムへ出かけるといっていた。


 


ITALY WEB SITE 
英語で楽しめるイタリアの注目WEBサイトの紹介


http://www.triennale.it/
LA TRIENNALE DI MILANO

ミラノ・トリエンナーレのHP。現在開催中のGio Ponti展は見逃せない。Ponti家からの出展も含めた400点を超える公私コレクションを始め、建築、家具、絵、とPontiの全世界が回想されている。4月27日まで。

www.parmigianino-2003.it/
www.parmigianino-2003.it

ルネサンス後期、マニエリスムを代表する画家パルミジャニーノの生誕500年を 記念する「Parmigiano and European Manierism」展のHP。パルマのナショナ ル・ギャラリーで5月15日まで開催されている。





 

このところ灰色のミラノの街のあちらこちらに鮮やかな虹色の旗が翻るようにな り、街が少し明るくなったようだ。そう、《PACE》平和への意思表示をする旗 だ。新年を過ぎた頃から旗をバルコニーや窓下に掲げる家が目立ち始め、2月に 入ると旗を販売するフェア・トレードの店には旗を買う人で行列ができた。
「これってゲイのシンボルじゃないの・・・?」と、外国から来る人に尋ねられ る。確かに70年代後半以降、アメリカではゲイ・プライドのパレードなどで彼ら のシンボルとして使われるようになった。しかし、もともとは旧約聖書「創世 記」のノアの箱舟の中の、「大洪水の後、神は、人間との、そして人間間の和解 と連帯のしるしとして虹をおかけになった」というエピソードが、その発祥であ るらしい。イタリアでは1961年、「イタリアのガンジー」と呼ばれた哲学者アル ド・カピティーニがペルージャからアッシジまでの平和行進を実現させた、その ときに、虹色の旗がシンボルとして使われたのが最初であった。
「武力行使による問題解決が、本当に平和な世界を築くのか?」そんな問いが、 今多くの人の心の中で大きくはためいている。
JIBO編集部 大橋由紀



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