田中ちひろ
京都生まれ 大阪外国語大学イタリア語科卒業、88年イタリアのシエナに留学。91年よりミラノ在住。
著書「普段着のミラノ案内」(晶文社)をはじめ、新聞、雑誌、インターネットサイト等に執筆。三井住友海上ミラノオフィス勤務。
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クリスマスからお正月にかけて、なにかとパーティーの多いこの季節。
イタリアには、忘年会という発想はないが、友達同士はもちろん、事務所の同僚やお世話になった人と一席を設けての食事やドリンクが、12月の中旬から新年まで、連日のように続く。
イタリアでは、クリスマスは家族と過ごす日である。
南イタリアでは、24日の夜に、北イタリアでは25日の昼に、それぞれクリスマスの聖餐をするが、そのために、皆が生まれ故郷に帰り、
家族はもちろん、親戚一同との再会を楽しむ。
伝統的なクリスマスのメニュー、真夜中の教会のミサ、暖かい家族の団欒と、静かで神聖な、スピリチュアルなひと時をすごすのだ。
一方、お正月といっても、イタリアでは、1月1日というより12月31日に夜にパーティーをするが、それは友人と祝うものらしい。
新年に、お金が入りますようにと、お金の形に似たレンズマメの煮込みを食べ、年が変わる瞬間にカウントダウンして、
シャンパンで乾杯。同席のみんなとキスを交わし、明け方まで踊ったり、歌ったり、おしゃべりをしたり.......普段は決して、酔っ払ったりしないイタリア人が、羽目をはずして、はしゃぐ唯一の夜。
「行く年、来る年」のように、過ぎ去る年を静かに回想したり、新年の抱負を胸に誓うどころか、しゃべりまくって年を送り、これまたしゃべりまくって新年を迎える。元旦は、その疲れでぐっすり眠り、二日酔いで、食べ物は見たくないか、或いはスープという風に、簡単に済ませてしまう。
おいしい食事とおしゃべりを楽しみ、プレゼントを交換し、家族と出会い、宗教的、伝統的な儀式にも参加してと、この時期やることは、どこでもほぼ同じなのだが、イタリアと日本では、クリスマスとお正月の祝い方が、逆転しているのがおもしろい。
ところで、この時期、人々がクリスマスプレゼントと同じぐらい頭を悩ませるのは、パーティーの際の装いである。
友達の家や家族とのパーティーでも、クリスマスパーティーとなれば、普段とちょっと違うファッションをするのがイタリア人。
大晦日のパーティーに至っては、ホテル、ディスコ、レストランなどが、絢爛豪華なショーを用意したりするので、みんなここぞとばかり、着飾って出かけていく。
男性は、ジャケットにタイ、普段よりどこかちょっと華やかな雰囲気を漂わせるものをまとう。
女性は、胸や背中の開いたドレス、豪華なアクセサリー、そして毛皮というのが伝統的なスタイル。
とにかく、老若男女をとわず、おしゃれをするのが普通、おしゃれをするのが楽しい、さすがはイタリアファッションを自負する人たちである。
その中でも特に、ファッションに敏感なミラノッ子たち。彼らの、ファッションの流れをすばやくキャッチして取り入れる才能には、目を見張るものがある。
先日、150人ぐらいのパーティーに行ったときも、その変化に気づいた。
素敵なジャケットをしている紳士たちは、ほとんど、みんなノータイ。
女性も、ドレスというより、ノースリーブや半袖のレースやスパンコールのついたTシャツやロングブーツ姿。
今年の傾向は、エレガンスの中のカジュアルなのだそうだ。
もちろん、クリスマスなので、赤や金銀といった色、或いはラメやスパンコールなどの光ものも、華やかできれいだった。
というわけで、今年のクリスマスは、ちょっとミラノ風に、カジュアルでパーティーにのぞまれるのはいかが?
そうそう、装いということでもうひとつ。イタリアでは、流行とは関係なく、大晦日の夜に赤い下着をつけて年を越すと「新しい年に幸せになれる」と言われている。