田中ちひろ
京都生まれ 大阪外国語大学イタリア語科卒業、88年イタリアのシエナに留学。91年よりミラノ在住。
著書「普段着のミラノ案内」(晶文社)をはじめ、新聞、雑誌、インターネットサイト等に執筆。三井海上ミラノオフィス勤務。
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食欲の秋がやってきた。
とはいっても食べることが人生3大意義のひとつであるイタリア人の食欲は年中衰えるとは思えないが、
それでもやはり秋の食卓は格別のようだ。
新鮮なポルチーニ茸、トリュフ、ありとあらゆる種類の葡萄や栗、色とりどりの熟れた野菜.....
その情熱といったら、この季節、食材の話をもちだすと、老若男女とわず、まわりが一斉に得意のレシピーを披露してくれるほど。
年中なんでも手に入る日本と違って、イタリアのマーケットはまだまだ季節とともに変化するから
季節によって食卓も変わり、その楽しみはさらに増えるというわけだ。
海のヴァカンスですっかり充電して帰ってきたイタリア人たちはこれから
映画、コンサート、展示会など屋内の文化的なものにその活動を切りかえる。
そしてその後に必ずといっていいほど来るのが、家族や友人たちとの会話を楽しみながらの長い長いディナー。
その一方で近年イタリアでは深刻な問題が起こりつつある。
「肥満」、ただ太ってきたと自分が気にする程度のものではなくて いわゆる「健康に障害を与えるほどの肥満」。
2001年のデータによると、18歳以上の国民の10%、約400万人がこの状態にあり、さらにその比率は
年8%で速度で増加傾向にあるという。
地域別で見ると圧倒的に多いのは南イタリアの小さい町の人々。
たしかにイタリア人は太ったら、その太り方は半端ではない。
階段の上がり降りはもちろん、町を散歩するだけでもつらそうだ。
ダイエットをしているというものの、1日一回パスタを抜くとかケーキの量を半分にするとかで
それでも私なんかよりは食べる量が多かったりして、根本的にダイエットの観念が違う。
でもミラノなど北イタリアで見るイタリア人はすらっとしていておしゃれじゃないかと思われるかもしれない。
伝統的に南イタリアに比べてバターや生クリームなど脂肪分の消費が多かった北イタリアではゆえに事情が少し違う。
人々は小さいときから食事にもっと注意を払う教育を受けていて、しかもダイエットをやるときはもっと真剣。
健康はもちろん、常におしゃれに素敵にいることは彼らのステータスにかかわるというわけだ。
おかげでここ数年、ミラノではエステティック、ビューティ・ファームのヴァカンス、温泉などあらゆる美容療法
スポーツジム、ビューティージム、ダイエットセンター、そして自然食、菜食のお店やレストランが大流行。
食べることと体を動かすことを両方楽しみながら、自己コントロールに努めている。
確かに
おいしい食事をいただきたいのは、人生を楽しんで幸せでいたいから。
適度な体重をたもっていたいのは、健康を楽しんで幸せでいたいから。
もっとも深いところで目指すところが同じというところから、葛藤はしないで、なんらかの解決法がでてくればいいが。