田中ちひろ
京都生まれ 大阪外国語大学イタリア語科卒業、88年イタリアのシエナに留学。91年よりミラノ在住。
著書「普段着のミラノ案内」(晶文社)をはじめ、新聞、雑誌、インターネットサイト等に執筆。三井海上ミラノオフィス勤務。
つい数年前まではイタリアのヴァカンスといえば8月と決まっていた。特に8月の2,3週目はミラノから人が消えて、お店もレストランもほとんどが閉まり、その週にまちがって町に残ったものなら、食べ物にすら困るありさまだった。
ところがここ1,2年で様子が少し変わってきている。
ひとのいないその8月のミラノがなかなかいいという人が増えてきたのだ。
事実、5年前には約1/5になった8月の人口が、今年は1/3、およそ70万人が町に残る、つまり製造業など8月には工場や会社自体がしまってしまうという人以外は、可能なら8月を避けてヴァカンスをするようになった。
確かに8月のミラノは快適だ。
交通渋滞はゼロで、普段30分かかるところへも5分ぐらいでいけてしまう。スーパーマーケットや銀行でも列に並ぶ必要はない。仕事もあってないようなものなので(仕事の相手が休みなので)オフィスでも人々はのんびり、ストレスはたまらない。
おまけにヴァカンスのピーク8月をはずすことで、自分がヴァカンスに行くときは航空運賃や旅のパックも安上がり、行く先々で同じく都会から逃れてきたミラノっ子の団体に会うこともない。
そんな人々のニーズに応えて 今年もミラノ市は8月に残る市民のために盛りだくさんの企画を用意している。
石畳の広場でのオーケストラ、美しい別荘を公開してのピアノの夕べ、アフリカやラテンアメリカなどをテーマにしたさまざまな催しや夏祭り、星空の下の映画など、楽しめることがいっぱいだ。
もっともそれでも半分ぐらいのお店は閉まるし、バスやトラムの数、市民を守る警官や病院のドクターの数も半減するから、市は
何日から何日まではどこの病院、どの薬局が開いているか、或いはどこのパン屋が営業しているかという特別な冊子を地区ごとに準備して、駅やお店などで配っている。
ショッピング、芸術、デザインで有名な町ミラノ..........
8月にはブティックも閉まるし展示会もないが、一味違ったミラノの素顔が覗けるかもしれない。