八木宏美(やぎ ひろみ)
1952年鎌倉生。インプット・イタリア・ジャパン社 代表取締役。日伊コミュニケーショ
ン・アドバイザー。ボッコーニ大学、トリノ大学で教鞭をとる傍ら、日伊文化交流協会を設立し、ビ
ジネス日本語講座を開講中。その他、日本の官公庁・外郭団体等の技術・法律・産業・社会部門にお
けるイタリア調査を委託で行っている。
日本の義務教育は、"国民全体が一定の教育レベルに達する義務"という感じだが、イタリアの義務教育は"親が子供に一定の教育機会を与える義務"という感じが強く、近頃はEU各国との横並びの必要から、小中学校の落第者数が減ってはいるものの、未だに中学を卒業しない若者もおり、中卒レベル以下が国民の大半を占めている。
この状況下、少数派の大学卒業者のエリート意識は、日本では想像もできないほど強いものがあり、初めから高卒までの事務員とはキャリアの出発点が違い、責任ある仕事を任されている場合も多い。またこれに輪をかけるように、数多い中小零細企業の大卒後継者が20代からすでに経営陣の一角として行動し、責任ある地位にあることもあって、世間一般の大学出への期待や扱いが日本とははっきり異なっている。
従って、日本企業がイタリア人を使う場合、大卒者の労働条件には気を使う必要がある。日本でのように、いろいろな部署の経験をさせられて"一から教育される"といった価値観を全く持ち合わせていない彼らは、エリート意識も邪魔をして辛抱のないこともままあるので、長く雑用レベルに留められると不満をためる。
チームプレー感覚もあまり持ち合わせない彼らを上手に使うには、やはり小さくてもまとまった一つの責任ある仕事を任せた方が、結局は組織にうまく馴染むようである。